2026年2月17日

新卒採用

新卒の通年採用とは?3社に1社が導入する理由や導入5ステップを解説

通年採用は「難しい」と言われがちです。

採用担当者の工数が増える、母集団が集まらない、結局は大手企業向けの手法ではないか─そんなイメージから、検討段階で止まってしまう企業も少なくありません。

ただし、その多くは「通年採用そのものが難しい」のではなく、一括採用と同じ設計のまま通年化しようとしていることが原因です。採用時期や対象、選考の考え方を整理せずに進めると、確かに負担は増えます。

この記事では、新卒の通年採用の基本から一括採用との違い、メリット・デメリット、導入している企業事例を解説します。通年採用が本当に自社に必要なのか、導入するならどのように設計すべきかなど役立つ情報をお伝えします。

JPXプライム150銘柄企業を対象に、新卒採用におけるサイト・SNS活用の実態を調査しました

新卒の通年採用とは

通年採用とは、特定の時期に一斉に募集・選考を行うのではなく、年間を通して新卒採用を行う考え方です。一括採用と混同されがちですが、単に採用期間を延ばすことを意味するわけではありません。

ここでは、新卒における通年採用の特徴と、一括採用との違いを整理します。

新卒の通年採用の特徴

新卒の通年採用とは、募集や選考の時期を固定せず、年間を通じて新卒者を採用する手法のことです。
「3月広報解禁・6月選考開始」といった一斉スケジュールに縛られず、学生の動きや自社の採用状況に合わせて柔軟に選考を進められます。

近年は早期に就職活動を終える学生がいる一方、留学や研究で動き出しが遅くなる学生も増えています。
通年採用であれば多様なタイミングで動く学生と接点を持てるため、出会える人材の幅が広がります。

新卒一括採用との違い

両者の最大の違いは、「決まった時期に採り切る」か「年間を通じて必要なときに採る」かという、採用スケジュールの考え方です。

比較項目

新卒一括採用

通年採用

募集・選考時期

特定の時期に集中

年間を通じて随時

主な対象

翌春卒業予定の学生

留学生・既卒・秋卒業者なども含む

内定辞退・欠員への対応

途中からの再募集が難しい

随時募集を再開できる

入社時期

4月に一斉入社

複数回に分けて設定できる

ただし、通年採用は自由度が高い分、設計が曖昧なままだと場当たり的な採用になりがちです。

3社に1社が新卒の通年採用を行う背景

一括採用で長年うまく運用してきた企業ほど、「あえて切り替える必要があるのか」と感じるかもしれません。

しかし、データを見ると、通年採用はすでに一部の先進企業だけが取り入れる手法ではなくなっています。

出典:リクルート 就職みらい研究所「就職白書2021~2026」より作成 

「就職みらい研究所「就職白書2026」によると、通年採用を実施予定の企業は、2026年卒採用で35.1%、2027年卒採用でも28.3%と、ここ数年はおおむね3社に1社前後の水準で推移しています。

では、なぜ通年採用を取り入れる企業が増えているのでしょうか。

その背景の一つに、 採用競争の激化があります。採用直結型インターンシップの解禁や選考の早期化が進み、「3月広報解禁・6月選考開始」という従来の採用スケジュールだけでは捉えきれない動きが広がっています。

学生側の動きも変化しています。留学や大学院進学、長期インターンシップ、秋卒業など、「3年生の春から一斉に就活」という型に当てはまらない学生が増えました。

厚生労働省が、卒業後3年以内の既卒者を新卒枠で受け付けるよう企業に呼びかけていることもあり、「新卒」の範囲そのものも広がっています。こうした学生との接点を広げるうえでも、通年採用は有効な選択肢です。

新卒の通年採用のメリットとデメリット

通年採用に切り替えると何が良くなるのか、逆に負担だけが増えないか、気になるところです。

ここでは、新卒通年採用のメリットとデメリット・対策を順に解説します。

新卒の通年採用のメリット

まずは、一括採用にはない3つのメリットから見ていきましょう。

メリット①留学生・既卒など多様な人材と出会える

通年採用の最大のメリットは、一括採用のスケジュールでは対象外になりがちな人材と出会えることです。

留学からの帰国が就活ピークとずれる学生、海外大学に在籍する学生、卒業後に就職活動を行う既卒・第二新卒などが代表例です。募集の窓口が年間開いていれば、こうした層とも自然に接点を持てるため、自社に合う人材と出会える可能性が広がります。

メリット②じっくり選考してミスマッチを減らせる

選考期間に余裕が生まれることも大きなメリットです。

一括採用では選考が短期間に集中し、企業も学生もお互いの理解を深めきれないまま内定に至ることがあります。通年採用なら、インターンシップを選考に組み込むなどの設計がしやすく、入社後の「イメージと違った」という早期離職の原因を選考段階で減らせます。

メリット③内定辞退や欠員を補充しやすい

新卒採用では、内定辞退を完全に防ぐことは困難です。
一括採用のみの場合、辞退が出てから選考を再開するのは難しく、採用予定数を満たせないまま入社時期を迎えることもあります。

通年採用の体制を整えておけば、辞退が発生した後も募集を継続できます。採用基準を下げて急いで人数を確保するのではなく、自社に合う学生との出会いを待てるため、採用の質を保ちやすくなります。

新卒の通年採用のデメリットと対策

通年採用にはメリットもたくさんある一方で、デメリットも存在します。デメリットと対策をセットで見ていきましょう。

デメリット①採用担当者の工数が増えやすい

年間を通じて選考対応が発生するため、一括採用に比べて、採用担当者の負担が大きくなりやすい点にも注意が必要です。

対策としては、「応募は通年で受け付け、入社時期は限定する」という方法があります。入社時期を年2〜4回にまとめれば、受け入れ準備や研修を一括して実施しやすくなり、採用担当者や現場の負担を抑えられます。

デメリット②母集団形成が難しくなる

合同説明会やナビ媒体の掲載が集中する時期を外れると、待っているだけでは応募が集まりにくくなります。

そこで重要になるのが、企業から学生へ直接アプローチするスカウト型の採用です。
時期に左右されず、自社に合う学生を探して接点をつくれるため、通年採用と組み合わせやすい手法です。詳しい進め方は、新卒採用向けダイレクトリクルーティングの解説記事も参考にしてください。 

デメリット③受け入れ・育成体制の設計が複雑になる

入社時期が分散すると、研修や受け入れ対応の回数が増え、育成にかかる負担も大きくなります。

対策として有効なのが、研修内容の標準化です。オンボーディング資料や研修動画を整備しておけば、入社人数や時期が異なっても一定の内容を提供しやすくなり、受け入れ担当者の負担も抑えられます。

新卒の通年採用を実施する企業事例

制度の説明だけでは、自社でどう運用すべきかのイメージが湧きにくいものです。

ここでは、新卒の通年採用を実施する4社の事例を紹介します。

ニトリ

ニトリは2026年度から総合職の通年採用を本格化し、面接を随時実施するとともに、入社時期を従来の4月・10月に7月・1月を加えた年4回に拡大しました。既卒者も最終学歴卒業後3年未満なら新卒採用に応募できます。

学生が自分のタイミングで選考に臨める設計にすることで、応募層を広げている事例です。

ソフトバンク

ソフトバンクは「ユニバーサル採用」として、新卒・既卒を問わず、入社時30歳未満であれば時期を選ばず選考を受けられる仕組みを設けています。

学生が自由な時期に選考に参加できることを重視し、従来の就活スケジュールでは出会えなかった人材の獲得につなげています。

ファーストリテイリング

ファーストリテイリングは応募の締切を設けない通年採用を実施し、人事面接を通過した学生に3年間有効な「FRパスポート」を発行しています。パスポートがあれば、いつでも最終面接に進めます。

大学1・2年生から応募できるため、企業側から見ると優秀層と早期に接点を持てる設計です。入社時期は3月・9月の年2回に集約されています。

通年採用が向いている企業の特徴

ここまで読んで、「結局、うちは導入すべきなのか」と迷っている方もいるでしょう。

通年採用はすべての企業に必須の手法ではなく、向き不向きがあります。
次のチェックリストに当てはまる項目が多いほど、導入の効果が出やすい状態です。

チェック項目

通年採用で期待できる変化

☐ 一括採用の期間だけでは、十分な応募者を確保できない

募集時期を広げ、学生との接点を増やせる

☐ 内定辞退によって、採用予定数を満たせないことが多い

内定辞退が発生しても、募集を再開しやすい

☐ 理系・専門職など、学業が忙しい学生を採用したい

研究・学業のスケジュールに合わせて選考できる

☐ 留学生や既卒者にも採用対象を広げたい

卒業時期や就職活動の時期に縛られず選考できる

☐ 年間を通じて安定した採用体制をつくりたい

採用活動を継続しながら、社内にノウハウを蓄積できる

3つ以上当てはまるなら、職種や時期を限定した部分導入から検討する価値があるといえます。

導入する価値がありそうだと感じたら、次に考えたいのは「どのチャネルで学生と接点をつくるか」 です。
ここからは、通年採用を無理なく続けるための具体的な導入手順を見ていきます。

失敗しない新卒通年採用の導入5ステップ

通年採用は、募集期間を延ばすだけではうまく機能しません。採用する人物像や年間の計画を定めたうえで、学生との接点、選考基準、受け入れ体制まで一貫して設計する必要があります。

ここでは、通年採用を無理なく運用するための手順を、5つのステップに分けて解説します。

①採用ターゲットと年間計画を決める

最初に、どのような学生を、いつまでに、何人採用するのかを明確にします。

通年採用では募集期間が長いため、目標が曖昧なままだと、時期によって採用基準や施策がぶれやすくなります。採用人数や求める人物像を決め、年間目標を四半期ごとのKPIに分解しておきましょう。

理系や留学生、既卒者など、対象によって動く時期や利用する媒体も異なります。誰に採用情報を届けるのかを決めることが、その後の接点設計の土台になります。

②学生との接点と情報発信を設計する

通年採用では、募集ページを公開して待つだけでは、学生との接点を十分につくれません。
採用したい学生がどこで情報を集めているのかを踏まえ、採用サイトやスカウト、SNS、動画などを組み合わせることが大切です。

トラックレコードがJPXプライム150銘柄を対象に実施した「新卒採用メディア活用実態調査 2026年」では、150社中131社(87.3%)が新卒採用ページやコンテンツを公開していました。

さらに、2024年の同社調査と比べると、新卒採用にYouTubeを活用する企業はこの2年で約3.3倍に増加するなど、動画やSNSを新卒採用に活用する企業が大きく増えています。

出典:トラックレコード株式会社「新卒採用メディア活用実態調査 2026年」

では、実際にどの媒体の活用が伸び、各社はどのような内容を発信しているのでしょうか。資料では、主要メディアの活用状況と、参考になる企業事例をまとめています。

▶新卒採用で活用されている媒体と企業事例を見る

③採用基準と管理体制を整える

通年採用では、時期や面接担当者が変わっても、同じ基準で学生を評価できる状態をつくる必要があります。

評価項目や合否基準を共通のシートにまとめ、面接担当者の間で認識をそろえましょう。
また、スカウト・人材紹介・自社サイトなど、複数の経路から入る応募者情報は、ATS(採用管理システム)で一元管理すると対応漏れを防ぎやすくなります。

④学生が動く時期に合わせて施策を調整する

通年採用だからといって、年間を通じて同じ施策を続ける必要はありません。
学生の動きに合わせて、スカウトや情報発信、選考の比重を変えることが大切です。

たとえば、学生の動きが鈍い時期は記事や動画の作成に注力し、活動が活発になる時期はスカウトや面談に工数を集中させます。年間の波を見ながら施策を切り替えることで、限られた採用リソースを効率的に配分できます。

⑤入社時期と受け入れ体制を整える

募集や選考を通年化しても、入社時期まで随時にする必要はありません。

入社時期を年2〜4回程度にまとめれば、研修や受け入れ準備を効率化できます。
あわせて、オンボーディング資料や研修動画を整備し、入社時期や人数が異なっても一定の教育を提供できる状態をつくりましょう。

社内だけで回せない場合はRPOも活用する

通年採用では、スカウト送信や日程調整、候補者対応、情報発信などの業務が年間を通じて発生します。
設計が整っていても、実行する人手が足りなければ、対応の遅れや施策の中断につながりかねません。

その場合は、RPO(採用支援)を活用し、運用負荷を分散するのも選択肢です。
RPOの支援範囲は、スカウト送信や日程調整の代行だけではありません。
採用ターゲットや訴求軸の整理、チャネル選定、採用コンテンツの企画まで支援する会社もあります。

トラックレコードでは、採用戦略と訴求軸の設計から、スカウト運用、候補者対応、採用コンテンツの企画まで一気通貫で支援しています。

▶ サービス内容や事例を見る

新卒の通年採用に関するよくある質問

最後に、新卒の通年採用を検討する採用担当者からよく寄せられる質問に答えます。

秋採用・二次募集と通年採用の違いは何ですか?

秋採用や二次募集は、春の採用で予定人数に届かなかった場合などに、特定の時期だけ追加で行う採用活動です。一方、通年採用は、年間を通じて募集・選考を行うことを前提に、採用基準や運用体制を設計する手法です。

毎年のように追加募集が発生している場合は、その都度対応するのではなく、通年採用として採用スケジュールや体制を見直す方法もあります。

新卒の通年採用はいつから始めるのがよいですか?

通年採用を始める時期に決まりはありませんが、一括採用の選考が落ち着く夏から秋は、導入を検討しやすいタイミングです。

この時期は、内定後も就職活動を続ける学生や、留学から帰国した学生などと接点を持てる可能性があります。まずは、内定辞退が出た職種や採用が難しい専門職など、対象を限定して始めると運用しやすくなります。

通年採用の内定者フォローはどうすればよいですか?

通年採用の内定者フォローでは、入社時期が異なっても継続的に接点を持てる仕組みを整えることが大切です。

たとえば、月1回のオンライン面談や、いつでも参加できる内定者向けイベントを定期的に実施する方法があります。
入社時期ごとにグループをつくり、先輩社員や同期予定者と交流できる機会を設けることで、入社までの不安を和らげやすくなります。

新卒の通年採用は設計から逆算し、自社に合った採用体制をつくろう

本記事では、新卒の通年採用の基本から、メリット・デメリットとその対策、4社の企業事例、導入の5ステップまでを解説しました。

通年採用を無理なく続けるには、年間を通じて応募を受け付けながら、入社時期は数回にまとめるなど、自社の採用体制に合った仕組みを整えることが大切です。また、学生の動きに応じて、スカウトや情報発信の内容・時期を調整する必要もあります。

トラックレコードでは、採用ブランディングや採用戦略の設計から、スカウト運用などの実行まで一気通貫で支援しています。自社に合った形で通年採用を取り入れて、時期に縛られない採用力を育てていきましょう。 


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