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「新卒採用で母集団形成がうまくいかない」「SNSを活用したいが、何から始めればいいか分からない」―そんな悩みを抱える採用担当者の方は少なくありません。
特に2028年卒以降のZ世代は、企業の公式サイトよりも先にSNSを見る傾向にあります。
InstagramやTikTok、Xで企業名を検索し、「どんな人が働いているのか」「雰囲気は自分に合いそうか」をタイパ重視で判断しています。つまり、SNSは単なる広報ツールではなく、新卒採用における“第一接点”そのものになっているのです。
この記事では、新卒採用におけるSNS活用のメリット・デメリットから、媒体別の使い分け、SNSから応募へつなげる導線設計、成功功事例などを具体的に解説します。


新卒採用におけるSNS活用は、もはや「やるか・やらないか」ではなく、「どう戦略的に設計するか」のフェーズに入っています。
まずは、SNS採用の基本概念と、なぜここまで注目されているのかを整理しましょう。
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)とは、InstagramやTikTok、XなどのSNSを活用し、企業の認知拡大から志望度醸成、応募・選考までをつなぐ採用手法です。
従来のナビサイト中心の「待ちの採用」に対し、SNSは「接点を作り続ける攻めの採用」と言えます。

母集団形成の拡張ができる
ナビサイト未登録層や、まだ就活を意識していない学生にもリーチできます。
ブランディング強化につながる
投稿を通じて「企業らしさ」「社員の雰囲気」「価値観」を発信できるため、カルチャーフィットを高めやすくなります。結果としてミスマッチ防止にもつながります。
採用コストを削減できる
広告出稿やショート動画の活用により、ナビ媒体依存を下げることができれば、長期的には採用単価を抑えられます。
内定辞退防止に効果的
選考中・内定後もSNSやLINEで接点を持ち続けることで、企業理解とエンゲージメントを高められます。
成果が出るまでに時間がかかる
フォロワー増加や認知拡大には継続的な運用が必要で、短期成果を求めすぎると失敗しやすいです。
炎上リスクがある
不適切な投稿やコメント対応の誤りが、企業イメージの毀損につながる可能性があります。ガバナンス設計が不可欠です。
運用負荷がかかる
コンテンツ企画、撮影、編集、コメント返信など、想像以上に工数がかかります。体制構築が不十分だと形骸化します。
KPI設計を誤ると迷走する
フォロワー数だけを追うと、本来の目的である応募や母集団形成につながらないケースもあります。
SNSは万能ではありません。しかし、戦略設計次第で「認知→志望→応募→内定承諾」までを一気通貫で設計できる強力な武器になります。
なぜここまで新卒採用×SNSが注目されているのでしょうか。背景には、採用市場と学生行動の大きな変化があります。
少子高齢化により労働人口は減少し、新卒市場は売り手優位が続いています。
リクルートワークス研究所の調査によると、近年は大卒求人倍率が1.5倍以上と、強い売り手市場が続いています。従業員300人未満の中小企業に限定すると、大卒求人倍率8.98倍となっており、学生1人に対して約9件の求人があるという極めて激しい人材獲得競争が起きています。

出典:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2026年卒)」
「エントリー待ち」だけの従来手法では、優秀層との接点すら作れなくなっているのが現実です。
そんな中、選考前から自然に学生とつながれるSNSは、中小企業にとって強力な差別化ツール。「身近さ」や「リアルさ」を活かせば、大手に負けない接点を作り出せます。
学生の行動変化は、データからも明らかです。株式会社リソースクリエイションの2025年の調査(26卒対象)によると、就活生の85.8%がSNSで社名を検索しており、86.1%が「企業のSNSアカウントは必要」と回答。
さらに、企業アカウントを見た学生の約9割(88.4%)が入社意欲が高まったと答え、半数以上が「SNSをきっかけに選考を受けた経験がある」としています。
つまり、SNSは「あったらラッキー」なオプションではなく、ほぼ確実にチェックされる「必須チャネル」になっているのです。
また、マイナビの2026年卒調査(インターンシップ・就職活動準備実態調査)では、TikTokの利用率が前年12.9%(前年比+5.2pt)から継続して上昇傾向にあることが示されています。さらに、企業のLINE公式アカウントを活用している学生は45.6%にのぼります。

引用:マイナビ「2026年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(10月)」
Instagramで職場の写真・ストーリーを、TikTokでショート動画を通して働く人の雰囲気を、Xでリアルな声を、LINEで最新情報を直接受け取るというのが多くのZ世代の学生たちの情報収集スタイルです。
タイパを重視し、長文説明より短時間で「なんかいいかも」と感じるビジュアル・動画を好む傾向にあるので、SNS上に存在しない、あるいは更新が止まっている企業は、比較検討の土俵に上がれていない可能性があります。
だからこそ、新卒採用におけるSNSは戦略的に設計し、継続的に活用するべき施策なのです。


新卒採用でSNSを活用する際に重要なのは、「流行っている媒体を使うこと」ではありません。 重要なのは、自社の採用課題に合わせて媒体の役割を設計することです。
ここでは、新卒採用におけるSNSの戦略的な使い分けと、各媒体のメリット・デメリットを解説します。
Instagramは、企業の空気感や働く人の魅力を視覚的に伝える媒体です。オフィス風景や社員紹介、福利厚生などを通じて、「ここで働く自分」を想像させることができます。
メリット
・ 視覚的にブランディングできる
・ カルチャーフィット向上でミスマッチ防止
・ ストーリーズで継続接触が可能デメリット
・ 投稿クオリティが低いと逆効果になる
・ 継続更新が前提
・ 拡散力はTikTokほど高くない特に、知名度がまだ高くない中小企業や、社風・働き方を強みにしたい企業に向いています。社員の人柄や日常の様子を自然体で発信することで、ナビサイトでは伝えきれない魅力を補完できます。
ハイライト機能を使い、「Q&A(よくある質問)」「社員紹介」「福利厚生」をわかりやすく整理しておくのもおすすめです。
TikTokは、ショート動画を通じて企業のリアルな一面を届けられる媒体です。独自のレコメンドアルゴリズムにより、フォロワーがゼロでも爆発的な拡散(バズ)が期待できる媒体です。
メリット
・ 拡散力が高い
・ 潜在層にもリーチできる
・ Z世代との相性が良いデメリット
・ 動画制作の工数がかかる
・ 炎上リスクへの配慮が必要
・ バズ狙いがブランディングとズレる可能性知名度不足に課題がある企業や、若手人材を積極的に採用したいベンチャー企業には特に有効です。社員の1日密着やオフィス紹介など、つくり込みすぎない自然なコンテンツが共感を生みます。母集団形成の“入り口”として設計すると効果を発揮します。
Xはテキスト主体の拡散媒体であり、いわゆる「就活垢(就活アカウント)」を持つ学生と最も密に繋がれる場です。
メリット
・ 双方向コミュニケーションが可能
・ 拡散性がある
・ 就活文脈との相性が良いデメリット
・ 批判的なコメントが集まりやすく、炎上リスクが高い
・ 発言が企業姿勢として強く受け取られる
・ 継続的な運用が求められる採用担当者が積極的に発信できる体制がある企業や、学生との距離を縮めたい企業に向いています。インターン募集や選考告知をリアルタイムで発信することで、接触頻度を高められます。
YouTubeは、SNSの中でも「長尺動画」をじっくり視聴してもらえる唯一の媒体です。社員インタビューや1日密着動画を通じて、より深い企業理解につながります。
メリット
・ 深い情報提供ができる
・ コンテンツが長期的に資産化する
・ 志望度向上につながりやすいデメリット
・ 制作コストが高い
・ 更新頻度を保ちにくい
・ 再生数を伸ばす工夫が必要専門性の高い事業を展開している企業や、理系・技術職採用を強化したい企業に向いています。説明会前後に視聴導線を設けることで、理解不足によるミスマッチを減らすことができます。
LINEは、オープンな発信媒体ではなく、エントリー後の学生と1対1で繋がりや説明会案内やリマインド配信、内定者フォローなどエントリー後の接点維持に強みがあります。
メリット
・ 開封率が高い
・ 個別最適な情報配信が可能
・ 内定辞退防止に有効デメリット
・ 配信設計を誤るとブロックされる
・ シナリオ設計に工数がかかる母集団は一定数確保できているものの、選考途中の離脱や内定辞退に課題がある企業に特に有効です。SNSで認知した学生をLINEに接続し、選考までスムーズにつなぐ導線設計が成果を左右します。
SNSは単体で成果を出すものではありません。
TikTokで認知を広げ、Instagramで共感を生み、Xで接触を増やし、YouTubeで理解を深め、LINEで選考へ接続するという一連の導線設計こそが、新卒採用SNS活用の本質です。
では次に、その最も重要な導線の設計の仕方について見ていきましょう。

SNS採用の失敗で最も多いのは「とりあえずアカウントを作って、なんとなく投稿を始める」パターンです。戦略なき運用は、担当者の工数を削るだけで成果に結びつきません。
ここでは、戦略的に新卒採用でSNSを導入・活用するための6つのステップを解説します。
まず決めるべきは、「なぜSNSをやるのか」です。
母集団形成を増やしたいのか、ブランディングを強化したいのか、内定辞退を減らしたいのか。目的によって、選ぶ媒体もKPIも変わります。
例えば、
認知拡大が目的なら「リーチ数」「動画再生数」
志望度向上が目的なら「保存数」「プロフィール遷移」
選考接続が目的なら「LINE登録数」「説明会参加率」
フォロワー数だけを追うと、本来の目的とズレてしまいます。SNSは手段であり、採用成果にどう結びつけるかが重要です。
「就活生全員」に届けようとすると、誰の心にも刺さらない薄い内容になってしまいます。自社が求める人物像を深掘りした「ペルソナ」を設計しましょう。
属性:学部、専攻、居住地
価値観:タイパ重視派か、じっくり成長したい派か。安定志向か、挑戦志向か。
SNS利用習慣:21時以降にTikTokをダラダラ見るタイプか、移動中にXで情報収集するタイプか。
ターゲットの生活リズムや悩みに寄り添った投稿を意識することで、エンゲージメント(反応率)は向上します。
ここで初めて媒体を選びます。
すべての媒体を同時に始める必要はありません。 リソースを集中させるために、前章で解説した媒体特性に合わせて「役割」を割り振ります。
入り口(拡散):TikTok、X
教育・信頼(理解):Instagram、YouTube
刈り取り・繋ぎ(選考):LINE
例えば、「TikTokでバズらせて認知を広げ、Instagramで社風を理解してもらい、LINEで説明会へ誘導する」といったカスタマージャーニー(学生の動き)を設計します。
SNSは「バズって終わり」では意味がありません。
重要なのは、
投稿 → プロフィール遷移 → LINE登録 → 説明会予約 → 選考参加という一連の流れを設計することです。
特にLINEの活用は、離脱防止に大きく影響します。登録後の配信内容や頻度まで設計しなければ、成果は安定しません。
Xなどで気になる学生を見つけたら、積極的にいいねやリプライで接触し、自社を認識してもらう動きも有効です。
SNSは継続が命です。担当者任せにすると、繁忙期に更新が止まりやすくなります。
誰が企画するのか、誰が投稿するのか、コメント対応は誰が行うのか。最低限の運用ルールを決めておく必要があります。
また、炎上リスクへの備えも不可欠です。担当者だけでなく、必ず第三者の「ダブルチェック」を経てから公開する仕組みを作ります。学生のプライバシー(顔出しの有無など)への配慮や炎上など問題発生時の対応フローも考えておきましょう。
SNSは「投稿したら終わり」ではありません。
どの投稿が保存されたか、どの動画がプロフィール遷移につながったか、LINE登録後の離脱率はどうか。数値を見ながら改善を重ねることで、徐々に成果が安定していきます。
新卒採用のSNS活用は、短期施策ではなく中長期の取り組みです。
だからこそ、最初から完璧を目指すのではなく、回しながら改善する設計が重要です。

ここまで、新卒採用におけるSNS活用の戦略や導線設計について解説してきました。では実際に、SNSはどのように母集団形成や採用コスト削減につながっているのでしょうか。
ここでは、2つの成功事例からわかるSNS採用の活用ポイントを整理します。

宮城県の従業員70人規模の地方工務店・あいホームは、コロナ禍で「学生との接点がなくなった」という課題を抱えていました。
同社はInstagramとYouTubeを軸に、学生目線の情報発信を徹底しました。Instagramではライブ配信や社員の日常、会社イベントの様子などを発信。YouTubeでは、社長の思いや社員インタビュー、工務店ならではの仕事のリアルを丁寧に伝えています。
こうしたSNSの接点づくりによって、オンライン会社説明会に100名の学生が集まり、結果として8名に内定を出し、内定辞退はゼロだったと報告されています。
この成功のポイントは、
・学生の生活導線上にあるSNSで発信したこと
・視覚・動画を通じて実際の働き方や社風をリアルに伝えたこと
にあります。 Instagramで興味を引き、YouTubeで理解を深めるという導線は、まさに戦略的SNS運用のモデルケースだと言えるでしょう。
参考:あいホームがInstagram・YouTubeを活用した新卒採用成功事例(ダイヤモンド・オンライン)

平均年齢50代という新宿区の警備会社・大京警備保障株式会社は、TikTokを活用することで大きな成果を出しています。アカウント開設からわずか1年でフォロワー約9万7千人を獲得し、若年層からの応募を増加させることに成功しました。
運用戦略として「従来の警備会社らしさ」を全面に出すのではなく、社員の日常の姿や、社員の個性を活かしたユーモラスな動画を投稿することで、警備業界に対して持たれがちな堅いイメージを払拭しました。結果として、TikTok経由での応募だけでなく、他の求人媒体からの応募でも「TikTokを見た」と答える学生が増えたという成果につながっています。
この成功のポイントは、業界イメージに縛られず、TikTokの文脈に合わせたコンテンツで“出会いの接点”を先につくったことにあります。いきなり応募を求めるのではなく、まずは興味・共感を生む発信を続けたことが、結果的に母集団形成の拡張につながった事例と言えるでしょう。
参考:大京警備保障株式会社がTikTokで若年層の応募を獲得した事例(TikTok for Business公式)
新卒採用でのSNS活用の重要性は理解できても、「具体的にどう進めればいいのか」で立ち止まる企業は少なくありません。
ここでは、新卒採用におけるSNS活用でよく寄せられる質問にお答えします。
結論から言えば、「今すぐ」です。遅くともインターンシップ広報の3〜6か月前から開始しましょう。
理由は、SNSは投稿してすぐ成果が出る施策ではないからです。フォロワーの蓄積やアルゴリズム評価には時間がかかります。
例えば、2028年卒向けに夏インターンを6月から広報する場合、遅くともその前年冬〜春には運用を開始しておくのが理想です。すでに接点がある状態で告知するのと、ゼロから発信するのとでは、応募率に差が出ます。
また、早期接触は志望度形成にも影響します。就活解禁後に急いで始めるのではなく、「募集開始前から関係性を築く」意識が重要です。
自社運用であれば、基本的には「無料」で始められます。
ただし、コンテンツの質を高めるための撮影機材(スマートフォンや照明)や、動画編集ソフトの月額費用(数千円程度)は必要です。
プロの制作会社やコンサルティングを入れる場合は、月額30万円〜100万円程度の運用代行費用がかかるのが一般的です。まずは自社のリソースでスモールスタートし、型ができてから外注を検討するのがリスクの少ない進め方です。
むしろ中小企業のほうが相性が良いケースもあります。
SNSは“リアルさ”と相性が良い媒体です。大規模な広告費よりも、社員の人柄や職場の雰囲気といった等身大の発信が共感を生みます。
実際に、地方企業や警備会社など知名度が高くない企業でも、TikTokやInstagramを活用して母集団形成を拡大した事例があります。重要なのは、完璧な動画制作ではなく、「誰に届けるか」を明確にし、継続的に発信することです。
本記事では、新卒採用におけるSNS活用の戦略設計や導線づくり、成功事例までを解説してきました。最も重要なのは、TikTokやInstagramで認知を広げ、YouTubeで理解を深め、LINEで選考へつなぐといった導線を設計することです。
しかし、実際に自社で設計するとなると、「他社はどの媒体をどれくらい活用しているのか」「本当にSNS活用は主流になっているのか」といった客観データも気になるのではないでしょうか。
トラックレコードが公開している「新卒採用メディア活用実態調査2026年版」では、JPXプライム150企業を対象に、YouTube・Instagram・X・TikTok・LINEなど各媒体の活用状況について独自に分析しています。自社の立ち位置を客観的に把握する材料として、ぜひ参考にしてみてください。

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