2026年2月18日

新卒採用

なぜ新卒デザイナーの採用は難しい?成功企業が実践する戦略と目的別手法

新卒デザイナー市場は、いまもなお売り手市場。さらに採用の早期化が進み、大学3年の春〜初夏には動き出している学生も珍しくありません。

一方で、採用単価は上昇傾向にあり、限られた予算の中でどう設計するかが問われています。母集団を増やすこと自体は難しくありません。しかし、「自社にマッチする人材を見極め、惹きつけ、入社までつなげる」設計ができている企業は、決して多くありません。

この記事では、最新の新卒採用の市場動向から具体的な採用の成功のポイントから採用手法や内定辞退を防ぐための戦略まで、実務ですぐに使えるノウハウを解説します。

新卒デザイナーの採用は難しい?市場動向や最新トレンドも解説

新卒デザイナー採用が難しいと言われる背景には、単なる「人手不足」だけではない構造的な変化があります。

ここでは、なぜ新卒デザイナーの採用が困難と言われているのか、現在の市場動向と最新のトレンドからみていきます。

超・売り手市場が続く中、採用の早期化がさらに加速

現在、新卒デザイナー採用の現場では、驚くほどのスピードで早期化が進んでいます。 かつては大学3年生の冬から春にかけて動き出すのが一般的でしたが、現在は3年生の夏、あるいは2年生のうちから長期インターンシップを通じて優秀な学生にコンタクトを取る企業が増えています。

マイナビの調査によると、26年卒学生の3月時点での内定保有率は54.6%(前年比+7.2pt)に達しており、4月には70.0%(前年比+5.7pt)もの学生がすでに内定を保有していることがわかります。

引用:マイナビ「2026年卒 大学生キャリア意向調査10月中旬」

表からも分かる通り、6月時点で8割以上の学生が内定を持っている状況です。

このタイミングを逃すと採用充足率は一気に低下します。「気づいたときには市場に母集団がいない」という致命的な状況を防ぐためにも、大学3年4〜6月の接点設計が、いまや勝負の分かれ目といえるでしょう。

生成AIの普及でデザイナー像が変化

もうひとつ大きな変化が、生成AIの普及です。

バナー制作、画像生成、ワイヤーフレーム作成など、これまで時間をかけていた作業の一部はAIで代替できるようになりました。その結果、企業が新卒デザイナーに求める役割も変わっています。

これから重視されるのは、

  • 課題の本質を捉える力

  • 言語化・構造化する力

  • AIを使いこなしながらアウトプットを高める力

単なる「制作スキル」ではなく、「思考力×ツール活用力」が評価軸になっています。

そのため、ポートフォリオ審査でも「完成度」だけを見るのは危険です。 「なぜそのデザインに至ったのか」「どんな仮説検証を行ったのか」など、プロセスを見極める視点が欠かせません。

ナビ離れが進み、スカウト・ダイレクトリクルーティングが主流に

近年はナビ媒体だけに頼る採用では、デザイナー層を十分に集めきれないケースが増えています。

その理由は、 デザイナー志望の学生は、SNSやポートフォリオサイト、コミュニティ経由で情報収集する傾向が強いからです。

そのため、企業側からアプローチする

  • ダイレクトリクルーティング

  • 逆求人型サービス

  • カジュアル面談の設計

が重要になっています。

「応募を待つ採用」から「会いにいく採用」へとシフトができている企業ほど、採用単価を抑えながら質の高い母集団を形成できています。

デザイナー採用の難易度が高いからこそ採用コストも高くなる

市場環境が厳しくなる中で、もうひとつ無視できないのが採用単価コストの上昇です。

新卒デザイナーは母数が限られているうえ、IT・Web業界を中心に争奪戦が起きています。その結果、媒体費・スカウト費・人件費を含めた総額は、年々高騰傾向にあります。

以下は新卒デザイナーの採用コストの相場です。

・ ナビ媒体中心:60〜100万円前後

・ ダイレクトリクルーティング併用:80〜120万円前後

・ エージェント活用:100万円以上になるケースも

もちろん企業規模や設計次第で差は出ますが、「想定よりコストがかかった」という声は少なくありません。

しかし、本当に見るべきは採用単価そのものではなく、ROI(投資対効果)です。

例えば、

  • 早期に戦力化し、プロダクト改善に貢献できる

  • カルチャーフィットが高く、定着率が高い

  • 将来的にリードデザイナーへ成長する

こうした可能性を含めて考えれば、初期コストがやや高くても合理的な投資になります。

一方で、設計を誤ると母集団は多いがマッチ度が低かったり、内定辞退が多発するなど、結果として採用充足率が伸びず、実質的な採用単価がさらに跳ね上がることになります。

だからこそ重要なのは、 無駄打ちを減らし、精度を高める採用設計です。

新卒デザイナーの戦略的な採用設計の立て方

市場は早期化し、採用単価も上昇しているからこそ重要なのは、いかに戦略的な採用設計を立てるかということです。

ここでは、新卒デザイナー採用で成果を出している企業が実践しているポイントを整理します。

採用基準を明確化・言語化する

まず着手すべきは、自社が求めるデザイナー像の言語化です。

「センスが良い」「ツールが使える」といった曖昧な基準では、面接官ごとに評価がブレてしまい、結局は「なんとなく」で合否が決まってしまいます。

  • UI/UXの設計まで踏み込んでほしいのか

  • グラフィックの造形美を追求してほしいのか

  • ビジネスサイドと連携し、課題解決の提案まで期待するのか

このように、入社後に任せる具体的な業務から逆算して基準を定めることが重要です。求めるスキルとマインドセットを明文化することで、学生側も「自分が活躍できる環境か」を判断しやすくなります。

ポートフォリオは“作品”ではなく“思考”を見る

ポートフォリオ審査において最も重要なのは、完成した作品の美しさそのものではありません。その作品が「なぜその形になったのか」というプロセス、つまり思考の軌跡です。

  • どのような課題(ターゲット・目的)を設定したか

  • 制作の過程でどのような壁にぶつかり、どう試行錯誤したか

  • その結果、課題はどのように解決されたか

これらを言語化できている学生は、実務においても論理的にデザインを組み立てることができます。生成AIを活用した作品であっても、「どの工程でAIを使い、どこに自分のクリエイティビティを注いだのか」という意図が明確であれば、それは立派な評価対象となります。

ポートフォリオ審査の段階で「思考力」を見抜けるかどうかが、将来的な活躍度を左右します。

4〜6月(大学3年春〜初夏)の早期接点設計が勝負の分かれ目

記事前半で触れた通り、採用の早期化は確実に進んでいます。特に重要なのが、大学3年4〜6月の接点設計です。

この時期に

  • カジュアル面談

  • デザインイベント

  • 長期インターン

  • 会いにいく採用(学校訪問など)

といった接点を持てているかどうかで、母集団の質が大きく変わります。

成功している企業の多くは、4〜6月の段階でオンライン説明会やポートフォリオ講評会を実施し、学生との接点を設けています。この時期に「自社の存在を知っている」状態を作れるかどうかが、その後のエントリー数や採用充足率に直結します。

カルチャーフィット+ポテンシャルを両軸で評価する

新卒採用において、即戦力レベルのスキルを求めるのは酷な場合もあります。そこで重要になるのが、「カルチャーフィット」と「伸び代(ポテンシャル)」の見極めです。

  • 自社の行動指針(バリュー)に共感しているか

  • フィードバックを素直に受け入れ、改善に繋げられる柔軟性があるか

  • 新しい技術やトレンドに対して自発的に学ぶ姿勢があるか

技術は入社後に磨けますが、価値観のズレは後から修正するのが困難です。面接では過去の制作エピソードを通じ、本人の行動原理を探ることがミスマッチ防止のカギとなります。

“選考=相互理解の場”として設計する

「企業が学生を評価する」という一方的な姿勢では、優秀な学生ほど離れていってしまいます。

特にデザイナー志望の学生は、自身の感性やキャリア観を大切にする傾向が強いため、選考プロセスそのものを採用ブランディングの一環として捉える必要があります。

具体的には、

  • 現場デザイナーがポートフォリオに丁寧なフィードバックを行う

  • オフィスの雰囲気を直接見せる

など、面接を「対話」の場とし、学生が「この人たちと一緒に働きたい」と思える体験をデザインしましょう。

内定後フォローで差がつく

内定を出して安心するのは禁物です。複数の内定を持つ優秀な学生は、承諾期限の直前まで悩みます。ここで内定辞退を防ぐには、入社への不安を払拭する継続的なコミュニケーションが不可欠です。

  • 内定者懇親会や現役デザイナーとのランチ設定

  • 入社後の配属先や研修内容の具体的な提示

  • 経営層や人事による定期的なメンタリング

「あなたを必要としている」というメッセージを伝え続け、心理的な繋がりを強固にすることが、最終的な承諾率を左右します。

【目的別】おすすめの新卒デザイナーの採用手法|メリット・デメリットも

新卒デザイナーの採用は、闇雲に手法を増やすのではなく、自社の課題(母集団不足、見極め精度、工数削減など)に合わて手法を組み合わせることが重要です。

ここでは、目的別に6つの主要な手法を整理しました。

母集団を増やしたいなら「デザイン特化型求人媒体」

美大生やデザイン学部生が日常的に利用する「ViViViT」や「ReDesigner for Student」などの特化型媒体を活用する手法です。

メリット

  • 母集団形成がしやすく、 デザイナー志望が明確な学生にリーチできる

  • ポートフォリオ提出が前提になっている場合が多い

デメリット

  • 掲載費が高額になりやすい

  • 応募数は多くてもマッチ度にばらつきがある

「まずは母集団を広げたい」というフェーズには有効ですが、採用基準が曖昧なままだと、選考工数が膨らみ採用単価が上がるリスクもあります。

ポテンシャルを見極めたいなら「長期インターン・課題選考」

実際の業務に近いワークショップや、数週間のインターンシップを通じて実力を見る手法です。

メリット

  • カルチャーフィットを事前に確認できる

  • 実務における制作スピード、ツール(Figma等)の習熟度がわかる

  • 内定辞退が起こりにくい

デメリット

  • 現場の工数がかかる

  • 即効性は低い

中長期的に採用充足率を安定させたい企業に向いています。

カルチャーフィットを重視するなら「リファラル+カジュアル面談」

社員の紹介(リファラル)や、選考要素を排除したカジュアル面談からスタートする手法です。

メリット

  • 志望度が高まりやすい

  • 内定辞退率が低い傾向

  • 採用コストを抑えやすい

デメリット

  • 母集団は大きくなりにくい

  • 紹介者のネットワークに依存する

採用ブランディングが一定程度できている企業に特に有効です。

スピード重視なら「逆求人+RPO(採用代行)」

企業が学生に対してプレゼンを行ったり、1日で多くの学生と面談したりする「逆求人イベント」と、実務を外部へ委託するRPOを組み合わせる手法です。

メリット

  • 短期間で母集団形成が可能

  • スカウト運用を専門家が代行

  • 人事の工数を削減できる

デメリット

  • 外部委託費用が発生

  • 自社ノウハウが蓄積しにくい場合もある

「社内リソースが不足している」「新卒採用の早期化に間に合わせたい」という場合に有効です。

コスト最適化を図るなら「オウンドメディア×スカウト強化」

自社のブログやSNSで情報を発信し、それをもとに人事自らがダイレクトリクルーティングを行う手法です。

メリット

  • 中長期的に採用単価を抑えられる

  • 採用ブランディングが蓄積される

  • カルチャー理解が深まった状態で応募が来る

デメリット

  • 成果が出るまで時間がかかる

  • 継続的な運用が必要

短期決戦ではなく、戦略的に採用力を高めたい企業に向いています。

社内リソースが不足しているなら「RPO(採用代行)」

採用戦略の立案から母集団形成、面接調整までをプロのコンサルタントに委託する手法です。自社のフェーズに合わせて、部分委託という形も検討できます。

メリット

  • 専門ノウハウを活用できる

  • 採用基準の言語化支援が受けられる

  • 結果として採用単価の最適化が可能

デメリット

  • 外部パートナー選定が重要

  • 丸投げにするとブランディングが弱まる

リソースが足りず「採用が回らない…」と感じたら、まずはトラックレコードに相談してみるのがおすすめです。

トラックレコードでは、新卒採用の本質を理解した上で、

✔ 自社にフィットするデザイナー像の定義
✔ ポートフォリオ審査の評価項目設計
✔ スカウトメッセージの最適化
✔ 面接フローの構築・運用
✔ 内定者フォロー設計まで

といった一連のプロセスをワンストップで支援しています。

特に新卒デザイナー採用のように、早期化が進み、競争が激しい分野では、単なる工数削減だけでなく「採用設計の質そのもの」を高めることが重要です。採用充足率の改善や、内定辞退の抑止など、戦略的な成果につなげることができます。

「採用のやり方を丸ごと見直したい」「自社だけでは成果が出にくい」と感じる場合は、RPOという選択肢もぜひ検討してみてください。

RPO導入企業の“本音”がわかる実態調査レポートを公開中

新卒のデザイナーに関するよくある質問

ここでは、新卒デザイナー採用について人事・採用担当者からよく挙がる質問をポイントに絞って解説します。

ポートフォリオで最も重視すべきポイントは?

「完成度」よりも「思考プロセス」です。

もちろん、UI/UXの基礎理解やデザインの整合性は重要です。しかしAI時代においては、アウトプットの一部は生成AIで補完できます。差がつくのは、以下の部分です。

  •  誰のどんな課題を、なぜ解こうとしたのかが明確か

  • リサーチ→設計→改善のプロセスが整理されているか

  • なぜこのレイアウト・配色・導線にしたのかを説明できるか

特に新卒の場合、「完成度の高さ=優秀」とは限りません。 むしろ荒削りでも、思考が深い学生のほうが入社後の伸びしろは大きい傾向があります。

ポートフォリオ審査では、作品を評価するのではなく、思考を読み取る姿勢が重要です。

内定辞退を防ぐために最も効果的な施策は?

最も効果的なのは、内定後の接点設計です。

学生が内定辞退を決める最大の要因は、「この会社で自分が成長できるイメージが持てない」という不安です。この不安を解消するには、人事が形式的な面談を繰り返すよりも、実際に入社後に先輩となるデザイナーと本音で話せる場を設けるのが一番の近道です。

  • 定期的な1on1面談: 不安や迷いを早期に把握できる

  • 現場デザイナーとの継続接点:入社後のイメージを具体化できる

  • 内定者同士のコミュニティ形成: 横のつながりで心理的ハードルを下げる

  • 軽いデザイン課題や勉強会:成長実感を持たせ、帰属意識を高める

といった施策が有効です。

まとめ|新卒デザイナー採用を戦略設計し、AI時代の競争を勝ち抜こう

新卒デザイナー採用は、早期化や生成AIの普及により、従来以上に戦略的な採用設計が求められるようになりました。母集団形成だけでなく、採用基準の明確化、ポートフォリオ審査の精度向上、内定後フォローまで一貫して設計することが、採用充足率を大きく左右します。

具体的な設計方法や成功事例をまとめたトラックレコードの採用ノウハウ資料も公開しています。自社の採用戦略を具体化するヒントとして、ぜひダウンロードしてご活用ください。



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