2024年12月2日

イベントレポート

「AといえばB」の状態を目指す、採用ブランディングで必要な3つのコトとは?|DXD2024登壇レポート#1 

2024年7月に開催された日本CTO協会主催「Developer eXperience Day 2024」にて、「強いテック組織をつくるために 採用ブランディング戦略をつくれるCTOになるワークショップ」を開催しました。

ノウハウや事例をお伝えするだけでなく、当社で開発したフレームワークやテンプレートを用いて自社のことを振り返ってみる機会や、参加者同士でシェアタイムも取り入れ、大好評をいただきました。

今回の開催レポートでは、弊社・野崎のプレゼンテーション、およびゲストとしてご登壇いただいた株式会社ログラス 取締役 CTO・坂本 龍太氏のプレゼンテーションをそれぞれお届けします。

#1は、弊社・野崎よりトラックレコードが考える採用ブランディングのメソッドです。

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※文中に記載のある企業名については敬称略とさせていただいております。ご了承ください。

トラックレコード流「採用ブランディング」メソッドとは?

▼スピーカー
株式会社トラックレコード
代表取締役 共同経営者 野崎 耕司

本日はブランディング戦略の事例と手法の紹介を以下のアジェンダで紹介します。

  1. ブランディングとはなにか?

  2. 事例から学ぶ

  3. 当社流のブランディング戦略のつくり方

  4. ワークショップの紹介

皆さんは「採用ブランディング」において、どのような悩みごとを持っているでしょうか。

自社の知名度を高めること、情報を発信すること、ブログやイベント等の施策に取り組むこと。あるいは、会社の魅力を知ってもらうこと、自社のことを知ってもらうことなど、会社ごとに悩みは異なってくるでしょう。

弊社が考える採用ブランディングとは、「特定候補者の関心に対して差別化された価値を理解してもらうこと」です。

候補者の特定ができており、候補者の関心が抑えられているか。その関心に対して差別化された価値を作れているか。そして、その価値を理解した上で、正しく伝えられているかが、採用ブランディングの肝になっています。

もう少しわかりやすく採用ブランディングの成功状態を説明すると、「AといえばBになること」と表現できます。言い換えるならば、「A職でA’仕事するならBになること」になります。

開発者体験ブランド力調査の上位企業を表彰する「Developer eXperience AWARD」 にランクインする会社は、「AといえばB」が思いつきやすい会社なのではないでしょうか。

「Rubyで開発するならA社」「外資系企業で開発職をやるならB社」「SREに挑戦するならC社」といったパーセプションが形成できれば、採用ブランディングが成功したと言えるでしょう。

では、「AといえばB」を実現するためにどんなことが必要になるのでしょうか。

それには、

  1. 特定の候補者に対して差別化された価値を定義し(ポジショニング)

  2. その価値が伝わるツールで(ツール)

  3. 対象となる候補者にリーチする(リーチ)

という3つの仕事が必要になってきます。

イオンが短期間で成功した鍵は、“ギャップ”を伝えるにこだわったこと

ここから具体的な事例をお話したいと思います。

株式会社イオン(以下、イオン)は、2023年夏から弊社で採用ブランディングのお手伝いをしております。この図はイオンCTOの山﨑さんが作成したものです。当時はエンジニア界隈に対して十分な情報発信ができていない状態でした。

そんな中、先述した①ポジショニング②ツール③リーチで何をやってきたのかを説明していきます。

まず、ポジショニングについては「ハイレイヤーなエンジニアに対して、社会を変えるインパクトを持つ企業でありながら、エンジニアが大きな意思決定をリードできる環境がある」ことが差別化された価値だと定義しました。

縦軸の会社規模は他のJTC企業やスタートアップと比べても有利ですし、できたばかりの開発組織だからこそ、メガベンチャーと比べても大きな裁量を持って働ける環境が用意されているのが、ポジショニングに位置づけられると考えたのです。

次にツールですが、イオンのポジショニングを表現するために「スライド(採用ピッチ資料)」をキーに置きました。訴求したいメッセージとそのエビデンスをスライド(採用ピッチ資料)に集約し、イベント登壇やブログ発信など、活動の軸として活用しました。

どのようなツールを作成したかと言うと、よくある「会社紹介スライド」と同じ構成ではなく、イオンならではの“ギャップ”が伝わるようにこだわりました。また、読み手を“口説く”ことを意識した構成にし、「他では得られない経験」を具体的に明示するように工夫したのです。

加えて、イオンがチャレンジしているサービス単位・システム単位での取り組みを詳細に解説するために、「エンジニアフレンドリー」な言葉遣いを心がけ、具体的な数値や事実を記載するように留意しました。

そして、特定の候補者へリーチさせていくために、テックブログの立ち上げや外部のイベント登壇、主催イベントの企画など、短期間で連続的な発信活動を実施しました。

結果として、エンジニア向けの採用スライド(採用ピッチ資料)はSNS上でもポジティブな反応をいただき、大きな反響を得ることができました。また、100人超を集客するイベントを月1回以上のペースで開催することで、エンジニア界隈への認知度拡大につながったのです。

イオンが目指す「AといえばB」は企業秘密ですが、個人的な意見としては「エンタープライズカンパニーで面白いことをやるならイオン」と思ってもらえたら、採用ブランディングとして成功した状態だと考えています。

ブランディングには“大きなブランディング”と“小さなブランディング”がある

一方で、イオンのように短期間でさまざまな発信活動をやりきれるほどのリソースがなかったり、やりきる必要性を感じなかったりする場合もあるかと思います。

私はブランディングにもサイズがあると考えており、「みんなが知っている、憧れの存在を目指す」ような大きなブランディングもあれば、「その人にとっては、際立った存在を目指す」という小さなブランディングもあります。

会社や採用の規模によって、「ブランディングのサイズ」が異なってくるわけです。ここで、小さなブランディングの事例をひとつ紹介したいと思います。

弊社が支援させていただいた大手QAベンダーは、社員10,000人を超える規模にまで成長したことで、基幹システムの進化が求められていました。そのために、アーキテクチャから考えられる“ハイレイヤーな攻めの情シス”の採用が不可欠になっていたのです。しかし、マッチする人材がなかなか見つからず、4年間ずっと採用できない状況に陥っていました。

そこで、イオンと同様に①ポジショニング②ツール③リーチを考え、採用ブランディングに取り組みました。

特定の候補者については、「SIer出身でアーキテクチャ設計をもつエンジニア」という形で定義し、今後市場価値の高まる「社内システムのプラットフォームエンジニアリング」をリーダーとして経験できるのをポジショニングに据えました。

ポジショニングを行うことで具体的に変えたのは次の3点です。

  • 「コーポレートプラットフォームエンジニアリング室」と言う部署名を作った

  • ポジション名を「アーキテクト」から「Head of コーポレート プラットフォームエンジニアリングへ」と変えた

  • 提示年収を「800~1200万円」から「1000〜1500万円」に引き上げた

次いでツールに関しては、「Head of コーポレート プラットフォームエンジニアリング」という新設ポジションの求人票を作成し、さらにはミッションや業務内容、組織の役割を説明する簡単な採用ページをNotionで作りました。

求人票や採用ページでは、社内システムにおけるプラットフォームエンジニアリングの概念を言語化し、今後価値のある仕事になっていくのを訴求しました。

一部を抜粋すると、以下のようになります。

“DevOpsやDevSecOpsという概念は、情シス運営にも応用できると考えています。社内業務プロセスのDXやその基盤づくりが求められるなか、DevSecOpsの概念を取り入れて情シス運営ができれば、経営の意思決定もしやすくなり、仕事が楽になります。この取り組みは、他の会社でも必要になる領域だと思っていて、その経験が得られるのはとてもいい機会になるでしょう。”

10,000人を超える規模感で、コーポレートのシステム刷新にものすごく投資しており、かつ裁量のある会社というのは少なく、このような環境で働けるのは、候補者にとっても非常にいい経験になると考えたため、こうした訴求文を作ったのです。

リーチについては、テックブログやイベント登壇といった「空中戦」ではなく、ビズリーチによるダイレクトリクルーティングとエージェント活用の「地上戦」で採用活動を行いました。その結果、リーチ活動の開始から3ヶ月で採用決定したのです。

この場合の「AといえばB」は、SIerのアーキテクトとしての経験を活かして、さらに市場価値を高めるなら、全社システムに資するプラットフォームエンジニアリングの実績を獲得できるX社となります。

前述のイオンの事例とこのSIerの事例を比較すると、大きなブランディングと小さなブランディングの違いはツールとリーチの部分です。

小さなブランディングの場合は、求人票とスカウト文面に注力しました。

ここまで話した2つの事例に共通するのは、①ポジショニング②ツール③リーチの3ステップを忠実に実行したことで成果につながったことです。


トラックレコードでは、ハイクラステック人材の採用に必要な戦略から手法までを、事例を交えながらお伝えしていく勉強会を開催しています。採用支援に関してのご相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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