2026年5月29日

採用ノウハウ

採用ファネルとは?種類・活用メリット・効果的な使い方を解説

採用活動を進めるなかで、「何人にアプローチして、最終的に何人入社してもらえたのか」が数字で見えていない、という状況に心当たりはないでしょうか。

応募が集まらない、選考途中の辞退が増えている、内定を出したのに承諾率が低い——そうした悩みを個別に対処しようとしても、どこがボトルネックになっているかが見えないと、効果的な打ち手を選べません。

ここでは、採用活動全体を「漏斗(ファネル)」として可視化し、課題を発見・改善していく「採用ファネル」の概念から種類・設計ステップ・活用のポイントまで解説します。

採用ファネルとは

採用活動の流れを整理しようとすると、「どこから手をつければいいか」「何をどんな順番で考えるべきか」と迷いがちです。採用ファネルは、そのような状況で採用プロセスを体系的に整理するための考え方です。

ここでは、採用ファネルの概要と、採用マーケティング・採用フロー・採用KPIとの違いを整理します。

採用ファネルの概要

採用ファネルとは、候補者が「自社を知る」段階から「入社する」段階に至るまでの採用プロセスを、漏斗の形で可視化したフレームワークです。マーケティング分野で使われる「購買ファネル(パーチェスファネル)」を採用活動に応用したものです。

採用ファネルでは、各フェーズ(認知→興味→応募→選考→内定→入社)を経るごとに候補者の人数が絞り込まれていく様子を可視化できます。上が広く下が狭い漏斗の形をしているため、どのフェーズで候補者が大きく減っているか(ボトルネック)が直感的にわかるのが特徴です。

採用ファネルには、主に次の3種類があります。

種類

概要

イメージ

パーチェスファネル

認知から応募・内定・入社まで、候補者が選考を進む流れを管理する基本的な採用ファネル

「応募を増やし、入社につなげる」

インフルエンスファネル

入社後の定着や満足度向上を通じて、リファラル採用やSNS発信につなげるモデル

「社員が次の候補者を呼ぶ」

ダブルファネル

採用と入社後の定着・発信を一体で考え、採用活動を循環させるモデル

「採用→定着→紹介→新たな採用」

パーチェスファネルは採用の基本モデルとして最も広く使われています。

インフルエンスファネルやダブルファネルは、離職防止や従業員によるリファラル採用まで視野に入れた、より長期的な採用設計に用います。

まず自社の採用プロセスをパーチェスファネルで整理したうえで、定着・紹介まで含める必要があればインフルエンスやダブルファネルに拡張するとよいでしょう。

採用マーケティングとの関係

採用マーケティングとは、マーケティングの考え方を採用活動に取り入れ、自社に合った人材を継続的に集める取り組みです。候補者を「顧客」とみなし、認知・関心・応募・入社というプロセスを戦略的に設計します。

採用ファネルは、採用マーケティングを実践するための「現状把握ツール」と位置づけるのが正確です。採用マーケティングが「何をするか」という戦略なら、採用ファネルは「今どのフェーズに課題があるか」を測るための枠組みです。

たとえば、応募数は多いのに内定承諾率が低い場合、採用マーケティングの見直し(認知施策・コンテンツ強化)を検討する前に、まず選考フェーズや内定後フォローに問題がないかを採用ファネルで確認できます。

施策を打つ前の「現状診断」として採用ファネルを活用することで、的外れな改善を避けられます。

採用フロー・採用KPIとの違い

採用ファネルと似た言葉として「採用フロー」「採用KPI」があります。それぞれの違いを整理しておきましょう。

項目

採用ファネル

採用フロー

採用KPI

概要

選考ごとの通過数・通過率を可視化するもの

選考の流れを整理したもの

採用目標の数値指標

主な管理内容

応募数・通過率・辞退率

書類選考〜内定までの手順

応募数・通過率・採用人数など

主な目的

ボトルネック分析・改善

選考プロセスの整理

採用成果の測定

具体例

「応募100名→内定5名」

「書類選考→面接→内定」

「書類通過率40%」

3つをまとめると、「採用フロー(プロセスの設計)」→「採用ファネル(進捗の可視化)」→「採用KPI(目標値の設定と測定)」という順番で整理すると、相互の関係が理解しやすくなります。

採用ファネルが重要視される理由

「採用ファネルを使ってみたい」と思っても、なぜ今この考え方が注目されているのかを理解しておくと、自社への適用イメージがつかみやすくなります。

ここでは、採用ファネルが重要視されるようになった背景を3つの観点から解説します。

求職者ニーズの多様化

現代の求職者は、一つの求人媒体だけを見て転職先を決める行動から大きく変わっています。

SNSで社員の日常を確認したり、転職口コミサイトで社風をチェックしたり、採用サイトのインタビューコンテンツを読んだりと、入社前に多くの接点を通じて企業を「調査」しながら意思決定をしています。

候補者が自社に興味を持つきっかけも、応募をやめる理由も複雑化しているため、「なんとなく応募が少ない」「面接まで来てもらえない」という状況の原因を特定しにくくなっています。採用ファネルを使って各接点でどの程度の離脱が起きているかを把握することが、課題の「見える化」に直結します。

採用チャネルの増加

かつては求人誌・求人サイト・エージェントが採用チャネルの主軸でしたが、現在はリファラル採用・ダイレクトスカウト・SNS採用・採用オウンドメディアなど、選択肢が大幅に増えています。

チャネルが増えるほど、「どのチャネルから来た候補者が選考を通過しやすいか」「どのチャネルの応募者が内定辞退しやすいか」を把握することが重要になります。

採用ファネルを使って各チャネルの入口から出口までを追跡することで、費用対効果の高い媒体に予算を集中させるといった判断ができます。

売り手市場の加速

マイナビキャリアリサーチLab(2026年)の調査によると、2026年に中途採用に積極的な企業は91.1%に達する一方、質的な人材不足感は前年比6.7ポイント増加しており、欲しいスキル・経験を持つ人材の確保が難しい状況が続いています。

引用:マイナビキャリアリサーチLab「マイナビキャリアリサーチLab

採用したい企業は多いのに、求める人材になかなか出会えないという状況の中で、候補者に自社を「選んでもらう」ための戦略的なアプローチが求められています。

勘や経験だけに頼った採用改善には限界があります。採用ファネルを活用することで、候補者が離脱しているポイントや改善すべき施策を可視化でき、優先度をつけながら効果的に採用改善を進められます。 

採用ファネルを活用するメリット

採用ファネルを活用することで、これまで担当者の経験や感覚に頼りがちだった採用活動を、データで管理できるようになります。

ここでは、採用ファネルを導入する4つのメリットを紹介します。

採用状況を可視化できる

採用ファネルを使うと、スカウト送付数・応募数・書類通過数・面接参加数・内定数・入社数のような各フェーズの数値を一覧で確認できます。

これによって「今月はスカウト送付数は十分だが、応募につながっていない」「書類通過後の面接離脱が多い」など、何が課題かをデータで把握できます。

感覚的に「最近応募が少ない気がする」という状況に具体的な数字が伴うことで、対策の優先順位が立てやすくなります。採用活動を「なんとなく回す」から「数値で管理する」へ移行するための出発点になります。

離脱ポイントを特定しやすい

採用ファネルの最も実務的なメリットの一つが、どのフェーズで候補者が離れているか(離脱ポイント)を特定できることです。

たとえば、書類通過率は高いのに一次面接の通過率が低い場合、面接での伝え方や選考基準に課題がある可能性があります。内定後の承諾率が低い場合は、オファー面談の質や入社後の不安を払拭できていない可能性が考えられます。離脱ポイントが明確になれば、そこに絞った改善施策を打てるので、採用コストと時間の無駄を減らせます。

通過率の計算式はシンプルです。

通過率(%)= 次フェーズの通過者数 ÷ 前フェーズの人数 × 100

この式を各フェーズに適用するだけで、どの選考段階で候補者が大きく減っているかを把握できます。

採用KPIを設計しやすい

採用ファネルは、採用目標から逆算してKPIを設計するときにも役立ちます。

「今期中に10人採用したい」という目標があれば、各フェーズの通過率から「内定承諾率70%なら内定14件必要」「最終面接通過率50%なら最終面接28件必要」というように、必要な数を逆算できます。

採用活動の進捗確認もしやすくなり、「このままいくと目標に何人足りない」という見通しも立てやすくなります。採用担当者だけでなく経営層との状況報告にも活用しやすいです。

担当者間で共有しやすい

採用ファネルは、採用担当者だけでなく採用に関わるすべての関係者が現状を把握するための共通言語としても機能します。

現場マネージャーや経営層に採用状況を説明するとき、「今月は面接が多かったですが承諾率が課題です」という定性的な報告よりも、ファネルの数値を示しながら「書類→面接の通過率は65%に対し、内定承諾率が42%と低下しています」と伝えるほうが、具体的な議論がしやすくなります。

組織全体で採用を「数値で動かす」文化をつくるうえで、採用ファネルは有効なツールです。

採用ファネルの設計ステップ

「採用ファネルを活用したい」と思っても、どこから設計を始めたらいいかわからないことが多いです。

ここでは、認知から入社後の定着まで、採用ファネルを6つのステップで設計する方法を解説します。

①自社を知ってもらう

最初のステップは、潜在的な候補者に自社の存在を認知してもらうことです(TOFU:Top of the Funnel)。

採用広告・スカウト・SNS発信・採用オウンドメディア・社員登壇イベントなどが主な手段です。

このフェーズで重要なのは、「どんな人に自社を知ってほしいか」を明確にしたうえで、届けたい相手が接触しやすいチャネルを選ぶことです。ターゲットとするペルソナを設計し、そのペルソナが日常的に触れているメディアや場所に露出を増やしていきましょう。

認知フェーズの指標としては、採用広告のインプレッション数・スカウト送付数・採用サイトのPV数などが使われます。

②興味・応募意欲を高める

自社を知った候補者に「もっと詳しく知りたい」「ここで働いてみたい」と感じてもらうフェーズです(MOFU:Middle of the Funnel)。

採用サイトのコンテンツ充実(社員インタビュー・職種紹介・カルチャーページ)、カジュアル面談の実施、SNSでの日常発信などが有効です。候補者は「この会社は自分に合っているか」「どんな人が働いているか」を確認しながら意思決定をしています。

企業が一方的に魅力を発信するだけでなく、候補者が自分で判断できる情報をそろえておくことが大切です。

このフェーズの指標は、採用サイトのセッション数・滞在時間・カジュアル面談の申込率などです。

③応募への後押しをする

興味を持った候補者に「実際に応募しよう」と踏み出してもらうフェーズです。

応募フォームの入力項目が多すぎる、スマートフォンから応募しにくいといった障壁があると、このフェーズで大きく離脱が起きやすいです。応募フォームのシンプル化・スマートフォン対応の徹底・「まずはカジュアル面談から」という入口の多様化が有効な対策になります。

採用ピッチ資料や求人票の内容も、候補者が意思決定する際の重要な判断材料です。給与・働き方・選考フローを明確に開示することで、「自分に合わなかったらどうしよう」という不安を事前に解消できます。

④選考体験の質を高める

書類選考・面接・適性検査といった選考フェーズは、候補者にとって「企業を評価する場」でもあります。候補者体験(採用CX)が低いと、選考途中の辞退につながりやすくなります。

面接官のトレーニング・選考スピードの改善・面接後のフィードバック提供といった取り組みが、このフェーズの改善に役立ちます。

選考を「評価する場」としてではなく「相互理解を深める場」として設計し直すことで、通過率と承諾率の両方が改善しやすくなります。「なぜ選考に時間がかかっているのか」を候補者に説明するだけでも、離脱率が下がることがあります。

⑤内定後のフォローを強化する

内定を出した後の期間は、候補者が入社か辞退かを最終的に判断する重要なタイミングです。

内定者との定期的な連絡・配属予定の職場見学・現場社員との交流機会の設定など、入社への不安を取り除くコミュニケーションを積み重ねることが重要です。

「入社してから初めて職場の雰囲気を知る」ではなく、内定後から少しずつ職場の日常に触れてもらうことで、入社後のギャップを減らす効果も期待できます。

⑥入社後の定着につなげる

採用ファネルは「入社」で終わりではありません。ダブルファネルやインフルエンスファネルでは、入社後の定着・活躍・社内外への発信までを採用活動の一部として捉えます。

入社後に「思っていた仕事と違う」「職場になじめない」と感じた社員の早期離職は、採用コストの無駄になるだけでなく、リファラル採用などの紹介にもつながらなくなります。オンボーディングの質・1on1の実施・社内コミュニティの整備など、定着支援の施策がファネル全体の効率を高め、中長期的な採用コスト削減にも直結します。

採用ファネルの設計に取り組み始めたいものの、「自社の採用活動のどこにコストがかかっているか」「各フェーズへの投資対効果はどう測るか」という部分で行き詰まりやすいです。

トラックレコードは、採用戦略の設計から実行まで一気通貫で支援しています。MonotaRO様のスカウト返信率を3.2%→6.8%(約2倍)に改善するなど大手からスタートアップまで数々の採用支援実績があります。「自社の採用ファネルをどう改善すべきかわからない」「採用課題を整理したい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 

採用ファネルを効果的に活用するポイント

採用ファネルは設計するだけでは十分ではありません。定期的なデータ確認と組織全体での情報共有があってこそ、実際の改善サイクルに結びつけられます。

ここでは、採用ファネルを実務で継続的に活用するための3つのポイントを解説します。

 歩留まりを定期的に分析する

採用ファネルの分析は、一度やって終わりではなく、月次・四半期ごとに繰り返し行うことで効果が出てきます

各フェーズの歩留まり(通過率)を定期的にモニタリングし、「先月と比べて書類通過率が下がっている」「特定のチャネルからの応募者の面接通過率が低い」といった変化を素早く発見することが重要です。

採用市場の変化(競合他社の採用強化・景気変動など)によって歩留まりが変動することもあるため、外部環境と照らし合わせながら分析する習慣を持つとよいでしょう。

改善効果を測るためにも、施策を打つ前後の数値を比較できるように、データを継続的に記録しておくことが大切です。「施策Aを試したが効果が見えない」という状況も、数値の変化を追っていればどのフェーズに影響が出たかを特定できます。

ATSでデータを一元管理する

採用ファネルのデータを効率よく管理するには、ATS(採用管理システム)の活用がおすすめです。

複数の求人媒体・エージェント・スカウトからの応募が増えるほど、「どの媒体からどのフェーズにどれだけの人数がいるか」を手作業でスプレッドシートに集計するのは限界があります。ATSを使えば各チャネルの応募数・通過率・滞在期間などを自動で集計・可視化でき、採用担当者がデータ収集ではなく分析・改善に時間を使えます。

ATSを導入する際には、自社の採用ファネルのフェーズ定義に合わせてパイプラインを設定することが重要です。ツールの構造と実際のプロセスがずれていると、正確なデータが取れなくなります。

また、現場マネージャーが使いやすいインターフェースかどうかも、継続的にデータを更新してもらえるかどうかに関わる重要なポイントです。

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現場と人事で情報共有する

採用ファネルの分析を人事担当者だけが把握していても、採用の改善には限界があります。

現場マネージャーや面接官は「なぜ選考で不合格にしたか」「候補者がどんな点を懸念していたか」という情報を持っているケースが多く、その情報をファネルの数値と組み合わせることで、より的確な改善ができます。

たとえば「技術面接の通過率が低い」という数値に対して、現場から「選考基準のハードルが高すぎる」というフィードバックが得られれば、採用基準の見直しという具体的なアクションにつながります。

採用ファネルのデータを月次や四半期ごとに関係者に共有し、「今採用がどういう状況か」を組織全体で把握できる仕組みを作ることが、採用力の底上げにつながります。

採用ファネルに関するよくある質問

採用ファネルを実際に取り入れようとすると、「自社のケースではどうすればいいか」という具体的な疑問が出てきやすいです。

ここでは、採用ファネルに関してよく寄せられる3つの質問に答えます。

新卒と中途でファネルの設計は変わりますか?

新卒採用と中途採用では、採用ファネルの設計が異なります。

新卒採用は、インターンシップ→説明会→エントリー→選考→内定→入社というリードタイムの長いプロセスが特徴です。認知から応募意欲を育てるまでの期間が長いため、学生との継続的な接点をどう設計するかが鍵になります。

中途採用では、候補者が「今すぐ転職したい」という状態で接触してくることも多く、応募から内定までのスピードと、内定後の辞退防止が特に重要なフェーズです。同じ会社であっても、新卒と中途でファネルを分けて設計・管理することをおすすめします。

採用ファネルの管理にはどんなツールが使えますか?

GoogleスプレッドシートやExcelでも、応募数・通過率・辞退率などを入力すれば、基本的な採用ファネル管理は可能です。特に、採用ファネルを初めて導入する場合は、まず数値を可視化するだけでも課題を把握しやすくなります。

一方で、応募数や採用チャネルが増えると、手作業での更新や集計には限界があります。入力漏れや集計ミスが発生しやすく、リアルタイムでの分析も難しくなるためです。

そのため、継続的に採用ファネルを改善していくなら、ATS(採用管理システム)の活用がおすすめです。ATSを使えば、応募から内定までのデータを自動で蓄積・可視化でき、通過率やボトルネック分析も効率化できます。最近は無料プランから利用できるATSもあり、採用規模に応じて導入しやすくなっています。

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採用ファネルを活用し、採用成果を高めよう

採用ファネルは、採用活動全体を「漏斗」として可視化し、各フェーズの通過率やボトルネックをデータで把握するためのフレームワークです。採用ファネルを活用することで、どこに課題があるかを明確にし、優先度の高い改善施策から着手できるようになります。

トラックレコードでは、採用課題の整理から採用戦略設計、採用代行まで一気通貫で支援しています。「自社の採用ファネルをどこから改善すればいいかわからない」「採用担当者だけでは手が回らない」など採用に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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