2026年8月20日

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AI×人事の活用事例とは?採用・評価への導入メリットと失敗しない進め方

AIは、求人票やスカウト文の作成、応募書類の整理、面接日程の調整、人事評価の支援、従業員からの問い合わせ対応など、人事業務のさまざまな場面で使われ始めています。

とはいえ、いざ自社でとなると、
「どの業務から手をつければいいのか」本当に成果につながるのか、情報漏えいは大丈夫なのか」など
気になることが次々に出てきて、なかなか一歩を踏み出せない人事の方も少なくありません。

この記事では、米国の最新動向も交えながら、人事におけるAIの活用事例を業務別から導入のメリットと注意点、失敗しない進め方までを解説します。

AIで採用はどう変わり、自社は何から手をつけるべきか。米国の最新動向を整理しました。

人事におけるAI活用とは?生成AIとの違いも解説

ひとくちに「人事でAIを使う」といっても、思い浮かべるものは人それぞれです。
人事におけるAI活用とは、採用・評価・配置・労務といった業務にAIを取り入れ、作業を自動化したり、判断の材料をそろえたりする取り組みを指します。同じ「AI」でも、実は得意分野の異なる2種類が使い分けられています。

ここでは、人事におけるAI活用の全体像を、従来型AIと生成AIの違いから読み解いていきます。

従来型AIは予測・分類・スコアリングが得意

まず押さえたいのが、従来から使われてきたタイプのAIです。
過去のデータからパターンを学び、「この先どうなりそうか」「どちらに当てはまるか」を数値で示してくれます。

人事の現場では、勤怠や行動のデータから離職しそうな社員の兆候を読み取ったり、応募者の適性を点数で表したり、打刻のおかしな動きを見つけたりといった場面で活躍します。担当者の経験や勘に頼りきりだった判断に、データという後ろ盾を加えてくれるのが心強いところです。

生成AIは文章作成・要約・対話などが得意

もう一方が、ここ数年で一気に広まった生成AIです。
ChatGPTに代表される大規模言語モデルを使い、文章を書く・まとめる・対話するといった仕事をこなします。指示(プロンプト)を投げかけると、人が書いたような自然な文章を返してくれます。

求人票やスカウトメールのたたき台づくり、就業規則や社内規程の草案、社員からの問い合わせへの一次対応まで、これまで言葉にするのに時間がかかっていた作業を肩代わりしてくれます。ゼロから書く手間が省ける分、担当者は中身の吟味や仕上げに力を注げるようになります。

業務によって向き・不向きがあります。ざっくりした使い分けは、次の表を目安にしてみてください。

やりたいこと

向いているAI

具体例

予測・判定したい

従来型AI

離職リスクの予測、適性のスコア化、勤怠の異常検知

文章を作りたい

生成AI

求人票・スカウト文の作成、規程の草案、FAQ対応

分析・可視化したい

従来型AI

スキルの棚卸し、配置のシミュレーション

対話で対応したい

生成AI

社内ヘルプデスク、面接日程の調整

人事でAI活用が広がっている背景

人事でAIの活用が進む背景には、慢性的な人手不足と、人事に「戦略」を求める流れがあります。
少ない人数で採用も労務も回しながら、組織づくりにまで踏み込む。そんな板挟みのなか、定型作業はAIに任せたいという声が自然と大きくなってきました。

こうした動きは、日本より一足先に米国で進んでいます。米国の人事担当者への調査では、人事の仕事にAIを使う企業が1年で26%から43%へと増えました(SHRM、2025年)。

ところが、採用にかかる日数はむしろ延びています。2021年の33日から2024年には41日になり、面接回数も14回から20回へと増えました(Gem、2025年)。AIで接点を持てる候補者が増えたぶん、人事が向き合うべき相手も増えたからです。 

日本国内の企業における人事のAI活用状況

国内に目を向けると、人事でのAI活用はすでに珍しいものではなくなっています。日本の人事部『人事白書2025』の調査では、人事部門の66.5%が何らかの業務で生成AIを活用していると回答しました(活用していないは33.5%)。6,000社を超える回答のうち、7割近くがすでに使い始めているわけです。

具体的にどんな業務で使われているのか、上位を見てみましょう。

出典:日本の人事部『人事白書2025』

ただし、導入が進むことと成果が出ることは、必ずしもイコールではありません。

ワークデイが2025年に発表した調査(従業員1,000名以上の日本企業・517名回答)では、人事変革に取り組む企業のうち「成果がある」と答えたのはわずか14%でした。採用に絞っても、LinkedInのグローバル調査では生成AIを本格的に組み込めている企業は約1割にとどまり、残りの多くは探索や実験の段階にあります。

つまりいまの日本は、「使い始めてはいるものの、成果につなげる手前でつまずいている」段階だといえます。
だからこそ、先に同じ局面を経験した米国が何で成果を出し、どこで壁にぶつかったのかを知ることには、大きな意味があります。

AIで採用はどう変わり、自社は何から手をつけるべきか。米国の最新動向を整理しました。

【業務別】人事におけるAIの活用事例

人事領域におけるAIの活用範囲は広いものの、最初からすべてを自動化する必要はありません。
判断基準が明確で、作業量が多く、結果を人が確認できる業務から始めると効果を検証しやすくなります。

ここでは、人事におけるAIの活用事例を業務別に見ていきましょう。

採用|スカウト文の作成や書類選考、日程調整を効率化

採用では、候補者と向き合う前の準備や調整にAIがよく使われています。手間のかかる作業をAIに預け、担当者は人にしかできない対話に集中する。そんな役割分担が広がってきました。

よくある使い方は、次のとおりです。

  • 求人票・スカウトメールの作成
    ターゲットに響く文面を生成AIが下書きし、人は表現の調整に専念する

  • 書類選考のふるい分け
    応募書類を要件と照らし、確認する優先順位づけを手伝ってもらう

  • 面接日程の調整
    候補者とのやり取りを自動化し、往復の手間を減らす

ただし、応募書類のスコアだけで合否を決めたり、候補者に知らせずAI面接を実施したりすると、不公平感や不信を招きます。AI採用では、効率化する工程と、人が責任を持って判断・説明する工程を明確に分けることが重要です。

評価・配置・育成|人材データを活用して判断をサポート

評価や配置、育成の場面では、人の判断をデータで後押しする使い方が中心になります。担当者の主観だけに委ねず、客観的な材料をそろえておくことで、社員が納得しやすい決定に近づけるからです。

たとえば、あちこちに散らばったパフォーマンスのデータをまとめて評価の参考指標にしたり、これまでの異動履歴とスキルをもとに配置を試算したり。社員一人ひとりのスキルを棚卸しして、次に学ぶべき研修を提案する使い方も出てきました。

しかし、社員のスキルを正確につかめている組織は、実はまだ多くありません。ここが整っていないと、AIを入れても精度が伸び悩みます。

逆に、スキルデータの整備を先に進めた企業ほど、配置や育成でAIの力を引き出せています。ツール選びの前に、「誰が何をできるのか」を自社が把握できているかを、一度確かめておきたいところです。

こうした人材データの一元化と、評価・配置・育成への活用を仕組みとして進めるのが「タレントマネジメント」です。基本的な考え方や導入の進め方は、タレントマネジメントとは?目的や導入手順をわかりやすく解説で詳しく紹介しています。

労務・組織マネジメント|問い合わせ対応や組織課題の把握に活用

労務や組織の領域では、こまごました定型業務の自動化と、組織の状態を見える化する使い方が進んでいます。ミスが許されないうえに手間もかかる作業こそ、AIの出番です。

ただし、健康情報、給与、評価、退職意向などは機微性の高い情報です。利用するサービスのデータ保存先、学習利用の有無、アクセス権限、削除方法を確認し、入力してよい情報を社内ルールで定める必要があります。

人事にAIを導入するメリットと注意点

人事へのAI導入は、業務時間の削減だけでなく、評価・配置の質や経営判断のスピードを高めることが期待できる一方、個人情報の管理や選考の公平性、候補者の納得感を損なうリスクもあります。AIの効果を引き出すには、メリットと注意点を切り離さず、セットで捉えることが重要です。 

ここからは、人事にAIを導入するメリットと注意点を順に見ていきます。

人事業務にAIを活用する4つのメリット

【 1 】 定型業務を減らし戦略人事へ移行できる

文面作成、情報整理、日程調整、問い合わせ対応などをAIが支援すれば、人事担当者は候補者との対話、採用要件の設計、組織課題の分析といった業務に時間を使えます。重要なのは、削減した時間の使い道まで導入計画に含めることです。

【 2 】 データに基づく客観的な評価・配置ができる

複数のデータを同じ基準で整理することで、上司の記憶や印象だけに頼らない評価・配置を支援できます。ただし、AIが自動的に公平性を保証するわけではありません。評価基準の妥当性とデータの偏りを定期的に確認することが前提です。

【 3 】 離職の兆候を早期に察知できる

勤怠、サーベイ、面談記録などの変化から、従業員の負担やエンゲージメント低下の兆候を把握しやすくなります。予測結果を監視や退職者の選別に使うのではなく、面談や業務調整など、本人を支援する行動につなげることが大切です。

【 4 】 人事データを経営の意思決定に還元できる

採用、配置、育成、定着のデータがつながると、どのスキルが不足しているか、採用と社内育成のどちらを優先すべきかを判断しやすくなります。AIは人事業務の効率化だけでなく、人材戦略を経営戦略につなげる分析基盤にもなり得ます。

この発想は人的資本経営とも重なるところで、人的資本開示を採用戦略に活かす記事でも掘り下げています。

人事にAIを導入する前に知っておきたい3つの注意点

【 1 】 個人情報や機密情報の取り扱いに注意する

まず気をつけたいのが、個人情報や機密情報の扱いです。給与や評価といった機微なデータを外部のAIにそのまま入力すると、情報が漏れたり、AIの学習に使われたりする心配があります。入力内容を学習に使わせない設定や契約を選び、誰がアクセスできるかをきちんと管理しておくことが欠かせません。

【 2 】 AIによるバイアスを防ぎ、選考の公平性を保つ

次に、選考の公平性です。学習させるデータに偏りがあると、AIがその偏りをそのまま引き継ぎ、特定の属性に不利な判定をしてしまうおそれがあります。AIの判定はあくまで参考として扱い、結果を定期的に点検する。この一手間が、公平性を守るうえで効いてきます。

【 3 】 AI選考に対する候補者の不安や抵抗感に配慮する

見落とされがちなのが、候補者の側がどう感じるか、という視点です。米国の調査では、AIで選考する企業には応募したくないと答えた人が66%にのぼりました(Pew Research、2023年)。効率化のつもりの導入が、不安や抵抗感を煽り、かえって応募をためらわせてしまうこともありえます。どこでAIを使い、どこを人が担うのか。その線引きが重要です。

人事へのAI導入を失敗させない4つのステップ

AIツールを文章作成などに個人で使う場面は、もう珍しくありません。ただ、それを「人事部としてどの業務にどう組み込むか」という仕組みの話になると注意が必要です。対象業務やルールを整理しないと、成果が属人化したり、判断基準がばらついたりするおそれがあります。

そこで大切なのが、部門としてAIを取り入れるときに、課題の整理から順を追って設計することです。 

ここでは、人事へのAI導入を進めるうえで押さえておきたい4つのステップを解説します。

1.自社の人事・採用課題とKPIを整理する

最初に行うのは、いま現場でAIがどう使われているかを把握し、そのうえで課題と目標を言葉にすることです。

手元での利用が広がっていても、「何を解決したいのか」「どうなれば成功なのか」が定まらないままでは、部門としての取り組みは目的からずれていきます。採用のスピードなのか、評価の納得感なのか、労務の負担軽減なのか。優先する課題と、達成を測るKPIを先に決めておきましょう。

2.AIに任せる業務と人が判断する業務を分ける

次に、AIに任せる仕事と、人が決める仕事の線引きを、担当者任せにせず部門のルールとして共有します。

ここが曖昧だと、AIの提案がそのまま最終決定に使われ、公平性や説明責任の面でつまずきかねません。文面の下書きやデータ分析はAIに、合否や評価の最終判断は人に。この切り分けを、人によってばらつかせず全体でそろえておくのが安全です。

3.データ管理・セキュリティ・候補者体験を確認する

3つ目は、組織として守るべき前提の確認です。

扱ってよいデータの範囲、外部AIに学習させない設定の有無、アクセス権限の管理といったセキュリティ面を点検します。あわせて、候補者から見て不自然な体験になっていないか、開示すべきことはないかも確かめておくと、あとの手戻りやトラブルを防げます。

4.小さく始めて効果とリスクを検証する

最後は、いきなり全体へ広げず、特定の業務や部署から小さく試すことです。

限られた範囲でAIを動かし、狙った効果が出るか、思わぬリスクがないかを見極めます。ここで得た手応えと課題をもとに、ルールを整えながら組織全体へ広げていけば、無理のない定着につながります。

人事のAI活用に関するよくある質問

ここでは、人事にAIを導入する際によく聞かれる質問にお答えします。

AIによって人事の仕事はなくなりますか?

定型的な文面作成や情報整理はAIへ移る可能性がありますが、人事の仕事全体がなくなるとは考えにくいでしょう。採用要件の設計、候補者や従業員との対話、例外への対応、評価の説明など、文脈と責任を伴う業務は人が担う必要があります。AIを使って人を減らせるかではなく、人事がどの仕事に集中すべきかを考えることが重要です。

生成AIに人事データを入力しても問題ない?

個人向け・無料版のサービスへ、履歴書、評価、給与、健康情報などを入力するのは避けましょう。
入力内容を学習に使わない法人向けプランや設定を選び、扱える人を絞っておけば、リスクはぐっと下げられます。何を入れてよいか社内のルールを決めておくと、さらに安心です。

AIを活用した採用はどんな職種に向いている?

応募が多く、選考の初期に定型作業が多い職種と相性が良い傾向があります。
書類選考や日程調整の負担が重いほど、自動化の手応えを感じやすいからです。

反対に、専門性が高く一人ひとりをじっくり見極めたい採用では、AIは補助にとどめ、人の目を厚くする使い方が向いています。職種の性格に合わせて、任せる範囲を調整するのがコツです。

AIに任せる領域を見極め、人とAIが協働する人事・採用へ

AIは、人事担当者の判断を置き換える万能な仕組みではありません。定型業務や情報整理を支援する一方、候補者や従業員への説明、最終的な意思決定、例外への対応は人が担う必要があります。
ポイントは、AIにできることを増やすことではなく、人が担うべき接点を明確にすることです。

トラックレコードでは、採用戦略、採用ブランディング、スカウト運用などを一気通貫で支援しています。AIを含めて採用の進め方を見直したいものの、自社だけでは課題の整理や候補者体験の設計が難しい場合は、ぜひご相談ください。

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