2026年7月13日

採用ノウハウ

応募が集まる採用マーケティング|手法・5ステップ・事例を解説

求人媒体に掲載しても応募が集まらない、費用をかけたのに採用につながらない。
そんな手応えのなさを感じている採用担当の方は少なくありません。人材の取り合いが激しくなるなかで、これまでと同じ「求人を出して待つ」やり方だけでは、必要な人材に届きにくくなっています。

ここでは、その打開策として注目される採用マーケティングについて、意味や採用ブランディングとの違いから、進め方の5ステップ、主な手法、企業事例までをまとめて解説していきます。

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採用マーケティングとは

採用マーケティングとは、マーケティングの考え方を採用活動に取り入れ、自社が求める人材に「知ってもらい・興味を持ってもらい・応募してもらう」までの流れを設計する取り組みのことです。求人を出して応募を待つのではなく、ターゲットとなる人材に自社から働きかけていく点が特徴です。

ここでは、言葉の意味と、混同されやすい採用ブランディング・採用広報との違いを整理していきます。

採用マーケティングの意味

採用マーケティングは、ひとことで言うと「採用版のマーケティング活動」です。商品を売るマーケティングが顧客の認知から購入までを設計するように、採用マーケティングは候補者の認知から入社までを一貫して設計します。

具体的には、まだ転職を強く考えていない「潜在層」も含めてターゲットを定め、その人たちに合った情報を、合ったタイミングと場所で届けていきます。応募が来てから動くのではなく、応募が生まれる前段階から関係をつくっていく考え方だと捉えるとわかりやすいでしょう。

採用ブランディング・採用広報との違い

採用マーケティングと混同されやすい、採用ブランディング・採用広報との違いを解説します。これら3つは、目的も時間軸も異なります。3つは対立するものではなく、役割を分担して連携させる関係にあります。違いを整理すると次のとおりです。

用語

主な目的

成果が見え始める目安

採用マーケティング

誰に・何を・いつ届けるかを設計し、応募につなげる

3〜6か月

採用ブランディング

自社らしい魅力を整理し、選ばれる理由をつくる

6か月〜1年以上

採用広報

魅力や活動を発信し、候補者との接点を増やす

継続的

採用ブランディングで固めた自社の魅力を、採用マーケティングの仕組みに乗せて届け、その具体的な発信手段のひとつが採用広報、という関係になります。まず全体を動かす設計図が採用マーケティングだと考えるとよいでしょう。

なぜ今、採用マーケティングが必要なのか

採用マーケティングが必要とされるのは、担当者の努力不足のためではなく、採用市場そのものが構造的に変わってきたためです。

ここでは、その変化を「人材獲得競争の激化」と「求職者の情報収集行動の変化」の2つの側面から見ていきます。

人材獲得競争の激化

働き手の総数が減り、限られた人材を企業同士で奪い合う状況が続いています。リクルートワークス研究所の「未来予測2040」によると、2040年には約1,100万人分の働き手が不足すると試算されています。すでに2030年時点でも約341万人が足りないとされています。

人材獲得競争が激しくなるなか、顕在層だけを対象にすると、競合と同じ候補者を取り合い、採用単価の上昇や辞退につながりやすくなります。

そこで重要なのが、転職潜在層との接点づくりです。採用マーケティングでは、認知・興味・比較検討・応募・選考といった採用ファネル全体を見ながら、候補者に必要な情報を適切なタイミングで届けていきます。 

求職者の情報収集行動の変化

求職者は、応募する前に企業を深く調べるようになりました。求人票だけでなく、採用サイトや社員インタビュー、口コミ、SNSなど複数の情報源を見比べたうえで応募先を選ぶ傾向があります。

そのため、応募の接点となる求人媒体だけを整えても十分とは言えません。候補者が触れるさまざまな場所で、自社の魅力を一貫して伝えていく必要があります。採用マーケティングは、この複数接点での情報設計を得意とする考え方です。

採用マーケティングで得られる3つのメリット

採用マーケティングに取り組むと、応募数を増やすだけでなく、採用の質やコストの面でも効果が期待できます。

ここでは代表的な3つのメリットを紹介していきます。

①転職潜在層にアプローチできる

採用マーケティングの大きな利点は、今すぐ転職を考えていない「潜在層」にも接点を持てることです。転職を決めた人だけを対象にすると、そもそも母集団が限られてしまいます。

日ごろから自社の魅力を発信し、関係をつくっておくことで、その人がいざ転職を考えたときに第一候補として思い出してもらいやすくなります。競合が動く前に関係を築ける点が強みです。

②自社に合う応募者が集まる

ターゲットを明確にして情報を届けることで、自社にマッチした応募者が集まりやすくなります。誰にでも響く発信ではなく、求める人材に刺さるメッセージを届けるためです。

価値観や働き方まで含めて事前に伝えておくと、入社後の「思っていたのと違う」というミスマッチも起きにくくなります。結果として、早期離職の抑制にもつながりやすい傾向があります。

③採用コストを抑えられる

長期的には、採用にかかるコストを抑えやすくなります。自社の採用サイトやSNSといった、繰り返し使える情報資産が蓄積されていくためです。

求人広告や人材紹介に都度費用を払う形だけに頼っていると、採用のたびにコストがかさみます。自社で候補者を集める仕組みが育つほど、1人あたりの採用単価を下げていける可能性があります。

採用マーケティングのデメリットと注意点

一方で、採用マーケティングは万能ではありません。注意点を踏まえずに始めると「思ったより効果が出ない」と感じやすくなります。

ここでは、始める前に知っておきたい採用マーケティングのデメリットと注意点を解説します。

成果が出るまで時間がかかる

採用マーケティングは、短期で応募を一気に増やす施策ではありません。認知を広げ、関係を育て、応募につなげるまでには一定の時間が必要です。

早く人材を確保したい場面では、求人広告や人材紹介と組み合わせるのが現実的です。すぐに成果を求めすぎると、途中でやめてしまい効果が出ないまま終わりがちです。中長期の取り組みとして計画することが大切です。

運用する社内体制が必要

継続的に情報を発信し、改善を回していくには、担当する人と時間が欠かせません。コンテンツの作成や効果の振り返りには、想像以上の工数がかかります。

片手間で始めて更新が止まってしまうと、かえって「動いていない会社」という印象を与えかねません。誰がどこまで担うのかを、始める前に決めておく必要があります。体制づくりが難しい場合は、外部の支援を活用する選択肢もあります。

成果が出るまで時間がかかる

採用マーケティングでは、採用ペルソナの設計、EVPの言語化、コンテンツ制作、SNS運用、効果測定など、継続的な運用が必要です。人事担当者だけで担おうとすると、通常の採用業務と重なり、負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。

また、仕事内容やチームの雰囲気、活躍人材の特徴は、現場社員の協力がなければ具体的に伝えにくいものです。

人事、経営層、現場マネージャー、広報・マーケティング担当者が役割を分担しながら進めることで、発信内容の質も高まりやすくなります。

社内リソースが足りない場合は、採用戦略の設計や採用広報、コンテンツ制作など一部を外部パートナーに任せる方法もあります。自社で担う範囲と外部に任せる範囲を整理することが、無理なく続けるためのポイントです。

採用代行の活用を具体的に検討したい方は、「採用代行(RPO)サービスおすすめ5選!依頼できる業務やメリットも解説」もあわせて参考にしてください。 

採用マーケティングの進め方5ステップ

採用マーケティングは、次の5つのステップで進めると整理しやすくなります。順番に取り組むことで、思いつきの施策ではなく、筋の通った採用活動になります。

ここでは各ステップの要点を解説していきます。

①自社の強みを言語化する(EVP)

最初に行うべきことは、自社が候補者に提供できる価値を整理することです。これはEVP(Employee Value Proposition:従業員価値提案)と呼ばれ、給与や福利厚生だけでなく、事業の魅力、働く環境、成長機会、カルチャーなども含まれます。

自社の強みが曖昧なまま発信を始めると、どの企業にも当てはまる内容になり、候補者の印象に残りにくくなります。まずは、社員や候補者、競合企業の情報をもとに「自社ならではの魅力」を言語化しましょう。

強みの整理には、次のようなフレームワークが役立ちます。

  • 3C分析(自社・競合・候補者の3視点で強みを探す)

  • 4C分析(求職者目線で自社の価値・コストなどを整理する)

  • SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威を洗い出す)

各フレームワークの具体的な使い方は、採用戦略フレームワーク7選の記事で図解とあわせて解説しています。

②採用ペルソナを設計する

次に、どのような候補者に自社を届けたいのかを明確にします。採用ペルソナとは、採用したい人物像を具体化したものです。年齢や経験年数だけでなく、転職理由、仕事で重視すること、情報収集の方法、不安に感じやすい点まで整理します。

たとえば、同じエンジニア職でも「新しい技術を積極的に取り入れながら開発したい人」と「安定したプロダクトを継続的に改善していきたい人」では、響くメッセージが異なります。ペルソナを設計することで、求人票やスカウト文面、採用広報の内容に一貫性を持たせやすくなります。

③候補者体験を設計する

続いて、候補者が自社を知ってから入社するまでの体験の流れを設計します。認知・興味・応募・選考・入社といった各段階で、候補者が何を感じ、どこで離れやすいかを想定していきます。

この各段階の流れは「採用ファネル」として整理するとわかりやすくなります。
採用ファネルの考え方は、採用ファネルの記事で詳しく解説しています。

④チャネルを選ぶ

設計した体験に合わせて、使う手段(チャネル)を選びます。認知を広げたい段階ならSNSや採用広報、応募につなげたい段階ならダイレクトリクルーティングやリファラル採用、というように、段階ごとに適した手段は変わります。

すべてを一度に始める必要はありません。
ペルソナが多く見ている場所から優先して着手すると、限られたリソースでも成果につながりやすくなります。

⑤効果を測定して改善する

最後に、施策の効果を数値で振り返り、改善を重ねます。応募数や選考通過率、内定承諾率などを段階ごとに確認し、どこでつまずいているかを特定していきます。

一度で完璧を目指すのではなく、数値をもとに小さく試し、改善を繰り返すことが成果への近道です。

採用マーケティングの主な手法

採用マーケティングの手法は複数あり、目的や採用したい人材によって向き不向きがあります。

ここでは代表的な4つの手法を、目的別の選び方とあわせて紹介していきます。

目的

向いている手法

活用のポイント

転職潜在層に認知を広げたい

・オウンドメディア
・採用広報
・SNS

事業やカルチャー、働く人の魅力を継続的に発信する

自社に合う候補者へ直接届けたい

・ダイレクトリクルーティング

採用ペルソナに合わせて、個別性のあるメッセージを送る

候補者の理解度を高めたい

・採用イベント
・ カジュアル面談

双方向のコミュニケーションで不安や疑問を解消する

オウンドメディア・採用広報

オウンドメディアや採用広報は、自社で情報を発信し、魅力を継続的に伝えていく手法です。社員インタビューや事業の紹介などを通じて、求人票では伝わらない雰囲気を届けられます。

蓄積した記事や動画は資産として残り、候補者が自社を調べる際の判断材料になります。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業から候補者へ直接アプローチする手法です。応募を待つのではなく、欲しい人材にスカウトを送れるため、潜在層にも接点を持てます。

一人ひとりに合わせた内容を送ることで返信率が高まりやすく、採用マーケティングと相性のよい手法です。

リファラル採用

リファラル採用は、社員から知人を紹介してもらう手法です。自社をよく知る社員が紹介するため、価値観の合う人材と出会いやすく、入社後の定着も期待できます。

紹介が生まれやすい仕組みや、社員が紹介したくなる魅力づくりとあわせて進めると効果的です。

SNS・採用イベント

SNSや採用イベントは、幅広い層と気軽に接点をつくる手法です。日常的な発信で自社を身近に感じてもらったり、イベントで直接対話したりすることで、応募のハードルを下げられます。

まだ転職を考えていない層との出会いの場としても有効です。

自社に合う手法を選ぶには、各施策の特徴だけでなく、採用市場でどのメディアがどのように活用されているのかを知ることも重要です。 

トラックレコードがTOPIX100社を対象に実施した「中途採用メディア活用実態調査 2026年」では、採用に活用しているメディアは1社あたり平均2.78 という結果になりました。

一方で、「採用サイトは整えたものの、その先の発信や候補者との接点づくりまでは十分に進められていない」という企業も少なくありません。

調査資料では、TOPIX100社の採用メディア活用状況に加え、自社のメディア活用レベル診断テストも掲載しています。自社の現在地を把握し、次に強化すべき採用チャネルを見極めたい方は、ぜひご覧ください。

採用マーケティングの企業事例

ここまで紹介した手法やステップは、実際の採用でどう組み合わさるのでしょうか。
トラックレコードがが採用マーケティングの考え方をもとに支援した事例として、カイテク株式会社様の取り組みを紹介します。

採用ペルソナ設計×スカウト運用で1年に26名|カイテク

カイテク株式会社は、介護・看護の資格を持つ人と介護・医療現場をつなぐ、単発ワークのマッチングサービスを運営する企業です。

支援の背景
同社では事業成長に伴い、エンジニアからビジネス職まで複数職種の採用強化が重要なテーマとなっていました。

施策:
トラックレコードは2024年5月から、採用戦略とRPO支援を開始しました。
主に以下のような取り組みを行いました。

  • 採用戦略の再設計

  • 職種ごとの採用ペルソナ設計

  • 職種に合わせたチャネル選定

  • 候補者に響く訴求内容の設計

  • ダイレクトリクルーティングの運用

  • 候補者目線での面接設計

職種ごとに「どのような人材に、どの訴求で、どのチャネルからアプローチするか」
を整理し、採用ターゲットに合わせたコミュニケーションを設計しました。

成果:
その結果、1年間で当時の社員の約半数にあたる26名(うちエンジニアは4名)の採用につながりました。
複数職種の採用においても、ターゲットごとにアプローチを変えることで、効率的な母集団形成と採用成果につなげた事例です。

詳細はインタビュー記事へ:
急成長のカイテクを採用戦略から伴走 1年間で複数職種26名を採用

採用マーケティングに関するよくある質問

最後に、採用マーケティングを検討する際によく寄せられる質問にお答えします。

採用マーケティングと採用代行(RPO)の違いは?

採用マーケティングは、候補者との接点を設計し、応募や入社につなげるための考え方です。
一方、採用代行(RPO)は、採用業務の一部または全体を外部に委託するサービスです。 

両者は対立するものではありません。採用マーケティングの設計をもとに、RPOで実行力を補うこともできます。
社内リソースが不足している企業では、戦略設計と実務支援を組み合わせると進めやすくなります。 

中小企業やスタートアップでも取り組めますか?

中小企業やスタートアップでも、採用マーケティングに取り組むことは可能です。むしろ知名度が高くない企業ほど、自社の魅力や働く理由を言語化して伝えることが重要です。 

大きな予算がなくても、SNSや社員紹介など始めやすい手法から着手できます。まず一つの手段に絞って始めるのがおすすめです。

効果が出るまでどのくらいかかりますか?

一般的には3〜6か月ほどで応募数や反応の変化が見え始めるケースが多いとされています。
ただし、認知を広げて関係を育てる取り組みのため、成果が安定するまでには半年から1年以上を見込んでおくと安心です。短期の応募獲得が必要な場合は、求人広告など即効性のある手法と併用するとよいでしょう。

確認すべき指標は、以下のようなものです。

  • 採用サイトや記事の閲覧数

  • スカウト返信率

  • カジュアル面談数

  • 応募率

  • 選考通過率

  • 辞退率

  • 内定承諾率

採用マーケティングでは、各指標を見ながら改善を続けることが重要です。

採用マーケティングは自社のフェーズから始め、採用の成果を着実に伸ばそう

採用マーケティングは、求める人材に自社から働きかけ、応募から入社までを一貫して設計する取り組みです。人材獲得競争が激しくなるなかで、待ちの採用から攻めの採用へ切り替える有効な手段になります。まずは自社の強みを言葉にし、できる手法から小さく始めることが成果への近道です。

トラックレコードでは、採用戦略の設計、採用ブランディング、採用広報、スカウト運用までを一気通貫で支援しています。自社だけで進めるのが難しいと感じたら、まずはお気軽にご相談ください。

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