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春夏の新卒採用を終えたあと、「採用予定数に届かない」「内定辞退で欠員が出た」と悩む企業は少なくありません。しかし、新卒の秋採用は単なる欠員補充ではなく、春夏とは異なる学生に会い、年内の内定承諾まで短期間で進める採用機会です。
本記事では、新卒秋採用の特徴、母集団形成の手段、最短で内定承諾につなげる方法など、企業の採用担当者向けに解説します。


新卒の秋採用とは、一般的に「8月後半から11月頃」にかけて実施される採用活動を指します。採用実務では「二次募集」「追加募集」と呼ぶこともありますが、最近では欠員補充だけではなく、新たな採用手法として取り入れる企業も増えてきました。
まずは、なぜ今、秋採用が注目されているのか、そして新卒秋採用の特徴を解説します。
背景にあるのは、春夏だけでは採用計画を満たせない企業が増えていることです。マイナビの「2026年卒 企業新卒内定状況調査」によると、2026年卒の採用充足率は69.7%で4年連続の減少、母集団の確保に難しさを感じた企業は81.1%にのぼりました。
同じ調査では、11月以降も採用活動を継続する予定の企業が59.4%と増加傾向にあります。秋以降の採用は例外的な動きではなく、すでに過半数の企業が通る道になっているということです。

出典:マイナビ「2026年卒 企業新卒内定状況調査」
秋採用は、春夏に比べて「超短期決戦」になります。学生も企業も「年内に進路を決めたい」という心理が働くため、選考スピードが何よりも重要です。
時期 | 学生の主な状態 | 企業側の重点 |
|---|---|---|
春採用 | 就職活動の初期。幅広い業界・企業を比較している | 認知拡大、説明会、母集団の量を確保する |
夏採用 | 選考経験が増え、志望軸を絞り始めている | 選考への移行率と候補者体験を高める |
秋採用 | 進路を再検討し、年内決着を意識している | 対象を絞った訴求と短い選考で承諾まで進める |
冬採用 | 卒業直前まで活動する層や既卒扱いを検討する層が中心 | 入社準備期間を確保しつつ個別選考を行う |
秋採用の市場に残っている学生は、大きく4つのタイプに分かれます。いずれも能力ではなく、活動を始めた時期や進路の考え方が理由で秋まで動いている層です。
研究、学会、修士論文などの予定と就職活動が重なり、春夏に十分な活動時間を取れなかった層です。使っている技術や開発環境、配属後の育成の道筋まで先に開示すると関心を持ってもらいやすくなります。
海外の学期や帰国時期の関係で、日本の一括採用スケジュールに乗りにくかった層です。日本の就職活動の進み方に慣れていないため、選考フローや評価の観点を丁寧に説明すると良いでしょう。
試験結果や進路再考をきっかけに民間就職へ切り替えた層です。民間企業を知る機会が少なかったため、事業の面白さを具体的に伝えると志望度が一気に上がることがあります。
内々定先への違和感、配属や働き方への不安、選考時に言語化できなかった希望などから活動を再開した層です。企業を見る目が育っているぶん条件だけでは動かないため、カルチャーや事業の方向性への共感を丁寧に醸成する必要があります。

出典:トラックレコード「新卒採用メディア活用実態調査2026年」
秋採用で自社を選んでもらえるかは、学生が情報を集める場所に自社のコンテンツが置かれているかにも左右されます。
トラックレコードがJPXプライム150銘柄の150社を調べた「新卒採用メディア活用実態調査2026年」では、87.3%の企業が新卒採用ページ・コンテンツを公開していました。
どの企業が、どのSNSで、どんなコンテンツで学生を集めているのか、調査しました。


新卒の秋採用は、春夏採用と比べて母集団が限られる一方で、設計次第では高い成果につながる可能性があります。
ここでは、企業が秋採用に取り組むうえで押さえておきたいメリットとデメリットを整理します。
春夏採用にはない秋採用のメリットを3つ紹介します。
春夏とは異なる優秀層に出会える
留学帰りや進路を慎重に検討してきた層、春夏の選考で企業との相性が合わなかった層が含まれます。タイミングの問題で就職先が決まらなかった学生と出会えるのが特徴です。
競合企業が相対的に少ない
秋は新卒採用を終了している企業も多く、学生側の選択肢が絞られていきます。そのため、一社一社の存在感が高まり、企業の魅力を伝えられる環境をつくりやすくなります。
内定承諾までの意思決定が早く進みやすい
年内に進路を決めたい学生が多いため、選考スピードが学生の希望と合えば、内定承諾まで短期間で進みやすい傾向があります。
一方で、新卒秋採用には注意すべき点もあります。
母集団形成が難しくなりやすい
市場全体の学生数が減るため、ナビサイトへの掲載だけでは応募が集まらないこともあります。後述するダイレクトリクルーティングやイベントなど、企業側から学生へアプローチする手段を組み合わせることが有効です。
選考途中での離脱リスクが高い
秋まで活動を続けている学生は複数社の選考を経験しており、企業を慎重に比較しています。選考回数を絞り、次のステップや評価の観点を面接時に伝えることで、選考に対する不安や待ち時間を減らせます。
春夏と同じ設計では成果が出にくい
春夏と同じスケジュールや訴求内容では、秋採用の特性を十分に活かせません。選考プロセスを短縮するとともに、秋まで活動する学生の状況に合わせて訴求ポイントを見直す必要があります。
マイナビの「2026年卒 大学生キャリア意向調査9月」によると、9月末時点でも約18.9%の学生が就職活動を継続していました。秋にも採用可能な母集団は存在しますが、学生の選択肢が日々変わるため、企業には接点づくりと選考のスピードが求められます。
そのため、目標から逆算してスケジュールを立てることが重要です。
12月中の承諾をゴールに置き、11月中旬までに最終面接、10月上旬までに初回接点をつくるよう逆算します。採用予定数、チャネル別の接触数、面談化率、選考移行率、承諾率を週次で確認し、足りない工程へすぐ手を打てる状態にします。
時間 | フェーズ | 具体的なアクション |
|---|---|---|
9月〜10月上旬 | 母集団形成 | ・ 採用ページを秋向けに更新 |
10月中旬〜11月中旬 | 選考 | ・ 説明会と一次面接を同日化 |
11月下旬〜12月 | 承諾と年内クローズ | ・ 最終面接後24時間以内に通知 |
9月〜10月上旬:母集団形成
この時期にやるべきことは、応募を待たずに企業側から接点をつくることです。まずは残り採用人数から、必要な行動量を逆算します。
たとえば、自社の歩留まりが「承諾1名に選考参加5名」「選考参加1名にスカウト送信20件」の場合、3名の承諾を得るには、少なくとも300件のスカウト送信が必要という計算になります。このように数値を可視化し、具体的な計画に落とし込むことが重要です。
10月中旬〜11月中旬:選考
選考期間は、説明会から最終面接までを1か月以内に収めるのが目安です。説明会と一次面接を同日に実施し、面接の間隔を中3日から1週間以内に設定すると、この期間に収まります。オンライン面接で日程調整の待ち時間を削ると、さらに短縮できます。
11月下旬〜12月:承諾と年内クローズ
最後のフェーズでは、年内に内定承諾までを完了させます。12月の内定式や懇親会への合流を最終リミットに設定しておくと、学生側にも意思決定のきっかけが生まれます。この時期は現場社員との座談会など、入社後のイメージを持ってもらうフォローに時間を使いましょう。
内定者フォローについては、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
関連記事:内定者フォロー施策20選|内定辞退の原因・対策からツール活用まで解説
秋採用では、一つの媒体に依存せず、短期で接点を増やせる手段と、候補者を見極めて直接誘える手段を組み合わせましょう。
ここでは、秋採用で母集団を集める5つの手段を、向いている企業とあわせて解説します。
手段 | こんな課題・ニーズに | 具体的なアクション |
|---|---|---|
ダイレクトリクルーティング | 欲しい専攻・経験を持つ学生へ直接会いにいきたい | 検索条件を秋向けに広げ、学生の背景に触れた個別スカウトを送る |
新卒紹介・就活エージェント | 短期間で面談済みの学生を紹介してほしい | 採用要件、除外条件、選考日程、訴求点をエージェントへ即時共有する |
スピード選考会・逆求人イベント | 1日で複数の学生と会い、選考へ進めたい | 当日に次回日程を提示し、イベント後24時間以内に連絡する |
大学のキャリアセンターとの連携 | 理系・地域・専攻など対象校が明確 | 求人票だけでなく、追加募集の理由、対象職種、締切、学生向け説明資料を渡す |
RPO(採用代行) | 次年度採用と重なり、スカウトや候補者対応を回せない | 任せる業務とKPIを定め、週次で返信率・選考化率・滞留を改善する |
ナビサイトで「待ち」の姿勢をとっていると、秋採用では出会える学生が限られてしまいます。専攻、研究、活動時期、希望職種などから対象を定め、企業側から直接アプローチします。
反応率を左右するのはスカウト文の中身です。留学から帰国した学生、研究が一段落した大学院生、就職活動を再開した学生では、置かれた状況がまったく違います。「なぜ今あなたに声をかけたのか」を背景に触れて書くだけで、返信率は変わります。
媒体ごとの特徴は以下の記事で解説しています。
関連記事:【2026年最新】新卒ダイレクトリクルーティング18社をタイプ別徹底比較
新卒紹介は、母集団の質を担保しながら短期間で候補者に会いたい場合に向いています。エージェントが学生の状況を把握して推薦してくれるため、自社の工数を大きく削れます。成功報酬型が多く、採用できなければ費用が発生しない点も、追加予算を取りにくい秋には使いやすい特徴です。
自社単独での集客が難しい場合は、外部のイベントを使うと1日から数日で説明会から面接までをまとめて実施できます。学生側の負担も少ないため、短期決着を望む秋採用と相性が良い手段です。座談会や即時フィードバックを組み合わせると、選考体験そのものが差別化になります。
大学のキャリアセンターは、費用をかけずに秋採用の求人を届けられる手段です。特に理系の学部や研究室は教員経由で企業を知るケースもあり、秋まで活動している学生と接点を持ちやすくなります。求人票の送付で終わらせず、学内説明会や研究室訪問まで踏み込むと効果が出ます。
秋採用の時期は、次年度のインターンシップや内定者フォローが重なり、人事の業務負荷がピークに達します。
RPO(採用代行)を活用してスカウト配信や面接調整などの実務を外部へ任せることで、人事は「選考基準の判断」や「候補者への魅力づけ(アトラクト)」といったコア業務に一気集中できます。
「実際にどこまで業務を任せられるのか」「導入して本当に成果が出るのか」と疑問をお持ちの方は、ぜひ以下の事例記事を参考にしてみてください。
関連記事:採用代行サービスで成果は出る?1年で26名採用など5社の導入事例を紹介

秋採用では、学生が複数社の選考を並行している場合があります。説明会後の案内や面接結果の連絡が遅れると、その間に他社の選考が進み、自社への関心が薄れてしまうかもしれません。
大切なのは、選考を急ぐことだけではなく、学生が判断するために必要な情報を提供しながら、社内都合による待ち時間を減らすことです。
ここでは、選考から内定後のフォローまでを円滑に進める4つのポイントを解説します。
1〜2日目にオンライン説明会と一次面接を続けて実施します。説明会では会社概要を長く話すより、募集職種の仕事、配属、入社後の成長機会、秋採用の選考日程を重点的に伝えます。一次面接では学生の志望軸と経験を確認し、終了時に最終面接の候補日を案内します。
最終面接は5〜8日目を目安に設定します。一次面接と最終面接で同じ質問を繰り返さないよう、評価項目を分担します。面接官には、採用要件、見極める行動事実、合格・保留・不合格の基準を事前共有し、面接直後に評価を入力してもらいます。追加面接が必要になった場合も、その目的を明確にして候補者へ説明します。
最終面接後は24時間以内を目安に合否を決め、電話またはオンライン面談で内定を伝えましょう。通知時には条件だけでなく、「どの経験を評価したか」「入社後に何を期待しているか」を具体的に伝えます。書面のオファーは社内承認で止まらないよう、雇用条件と承認ルートを秋採用開始前に確定しておきましょう。
内定通知から48時間以内に、配属予定部署の社員や上司候補との面談を設定します。候補者が知りたいテーマに合わせ、仕事内容、チームの雰囲気、育成、働き方を率直に伝えましょう。採用担当者が承諾を迫る場ではなく、疑問を解消し、働く姿を具体化する場にすることがポイントです。
トラックレコードは、秋採用のターゲット・訴求の整理から、選考プロセスの改善、採用ブランディング、スカウト運用や候補者フォローなどの採用実務まで、一気通貫で支援しています。
「母集団が集まらない」「選考に時間がかかる」「内定を出しても承諾につながらない」など、課題が明確になっていない段階でも構いません。残りの採用期間で何を優先すべきか整理したい方は、まずはお気軽にご相談ください。

計画を立てて秋採用を行っても、採用計画を達成できない企業には共通点があります。
ここでは、新卒秋採用でつまずきやすいケースを3つ挙げて、どこで判断を切り替えるべきかを解説します。
もっとも多いのは、春夏の求人原稿や説明会資料をそのまま使ってしまうケースです。秋まで活動している学生はすでに複数社の説明を聞いていて、一般的な会社紹介では判断材料になりません。なぜ秋に募集しているのかを含めて内容を組み替えてください。
2つ目は、ナビサイトへの掲載だけで応募を待つケースです。秋は市場全体の学生数が減っているため、掲載しても応募が想定を下回ることが少なくありません。9月末の時点で見通しが立っていなければ、スカウトやイベントを足す判断が必要です。
3つ目は、選考の合否連絡や内定後のフォローが遅れるケースです。年内に決めたい学生にとって、連絡が来ない数日は不安の材料になります。稟議や日程調整で数日空くのであれば、その理由と次の連絡予定を先に伝えておくだけでも辞退は防ぐことができます。

ここでは、秋採用を検討する企業からよく寄せられる質問をもとに、実務判断に直結するポイントを分かりやすく整理します。
決してそんなことはありません。むしろ、「特定の強みを持った優秀層」が市場に現れる時期です。
秋まで就職活動を続けている学生の中には、留学から帰国した学生や、進路を慎重に見極めてきた層、春夏の選考で企業との相性が合わなかった層が含まれます。能力ではなくタイミングや志向の問題で決まらなかったケースも多く、企業側の設計次第で十分に活躍できる人材と出会える可能性があります。
「選考のシンプル化」と「フィードバックの濃さ」を変える必要があります。
春夏は「比較検討」の時期ですが、秋は「決断」の時期です。説明会から最終面接までの日数を半分以下に短縮するスピード感を持たせつつ、学生一人ひとりに対して「なぜ内定なのか」という評価を細かく伝えることで、他社との差別化を図ります。
中小企業だからこそ向いています。
秋は採用活動を終えている大手企業も多く、学生一人ひとりと丁寧に向き合いやすい時期です。スピード感のある選考や、現場社員との距離の近さなど、中小企業ならではの強みを活かしやすいタイミングと言えます。
新卒の秋採用は、春夏採用の補填ではなく、設計次第で成果につながる戦略的な採用手法です。実際、秋以降も就職活動を継続する学生は一定数存在しており、留学帰りや進路を見直した層など、春夏とは異なる母集団にアプローチできる可能性があります。
一方で、春夏と同じ前提・同じスケジュールで進めてしまうと、母集団形成や内定承諾につながりにくくなります。秋採用では、選考プロセスの短縮やダイレクトリクルーティングやRPOの活用、内定後フォローの強化など、スピードと意思決定を重視した設計が欠かせません。
秋採用の進め方や体制づくりに悩んだ場合は、IT・エンジニア採用を中心にRPO支援を行う トラックレコード のような採用のプロの知見を活用するのも一つの選択肢です。
限られた期間で成果を出すためにも、「今のやり方で本当に最適か」を見直すところから、秋採用を検討してみてはいかがでしょうか。

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