2026年10月19日

イベントレポート

【イベントレポート】「巻き込まれる人事」から「仕掛ける人事」へ〜数百万件のスカウトデータと現場の実践例から読み解く、生成AI時代のミドル・ハイクラス採用〜 

2026年9月17日、エン株式会社と株式会社トラックレコードの共催で、事業部人事・HRBP向けセミナー&交流会「『巻き込まれる人事』から『仕掛ける人事』へ 〜数百万件のスカウトデータと現場の実践例から読み解く、生成AI時代のミドル・ハイクラス採用〜」を渋谷スクランブルスクエアで開催しました。

本イベントは、事業部人事・HRBPが同じミッションを持つ仲間とつながり、採用のリアルな悩みや工夫を共有する場として企画したものです。媒体を運営するエン株式会社の知見と、採用RPO・コンサルティングで多くの企業を支援してきたトラックレコードの知見を掛け合わせ、セッションと交流会を通じて情報交換を行いました。

前半は、「AMBI」「ミドルの転職」を運営するエン株式会社の有田 誠氏が、数百万件規模のスカウト・レジュメ検索データから若手ハイクラス・ミドル層の採用市場の変化を解説。続いて弊社の河上が、事業部と人事の間に生じる採用要件の「ズレ」とどう向き合うかを、例を交えて紹介しました。後半は両名によるパネルディスカッションで、生成AIが採用媒体と人事の実務をどう変えていくのかを議論しました。

本レポートでは、有田氏のセッション、弊社の河上によるセッション、そしてパネルディスカッションの模様をそれぞれお届けします。

登壇者

有田 誠氏
エン株式会社 中途採用 求人広告・DR事業部 統括部長
2014年に新卒でエンに入社。入社後は「エン転職」を中心とした中途求人メディア事業に従事し、名古屋・大阪・埼玉の各拠点で営業担当、チームリーダー、マネージャー、拠点長を歴任。現場営業から組織マネジメントまで幅広く経験。
その後、新規サービスの立ち上げ・推進を経て、「AMBI」「ミドルの転職」の事業企画に携わる。現在は統括部長として、セールス、CS、企画組織を管掌。

河上 翔紀
株式会社トラックレコード プロフェッショナルサービスグループ グループ長
Apple、AI系リーガルテックスタートアップを経て、2021年よりトラックレコードに参画し、2024年9月に正社員として入社。前職では全職種を対象に年間100名規模の採用をリード。現職ではエンタープライズ企業からシリーズA〜Bのスタートアップまで幅広い企業の採用支援を担当し、大規模案件の責任者も務める。現在はTECH HIRE事業のリードとして、商品戦略および組織構築を統括する。

Session 1|スカウト・レジュメ検索データで読み解く、若手ハイクラス・ミドル採用市場

▼スピーカー:エン株式会社 中途採用 求人広告・DR事業部 統括部長 有田 誠 氏

私たちは、若手ハイキャリア向けのスカウト転職サービス「AMBI」と、国内唯一のミドル特化型転職サービス「ミドルの転職」を運営しています。AMBIは「求職者の心が燃え上がるような仕事との出会いを創出する」ことをコンセプトにしたサイトです。直近、「ミドルの転職」は会員数が300万人を超えました。この2つのサイトにはここ数年で数百万件規模のスカウト・検索データが蓄積されており、本日はそのデータ、主に「ミドルの転職」のデータから、採用市場がどう変化しているのかをお伝えします。


数百万件のデータが示す、ハイクラス市場の過熱

コロナ前まで、企業の採用ニーズは若手採用に集中していたものの、この数年でミドル層の転職市場は大きく成長しました。特に年収帯の高い層へのスカウト送信数は、大幅に伸びています。当社が広告宣伝費を大きく変えたわけではないので、これはサイトの中身が変わったというより、企業側のスカウト送信の分布が変わったことを示しています。

背景にあるのは、単なる欠員補充ではなく「投資として優秀な即戦力を確保したい」というニーズの高まりです。象徴的なのが人材紹介会社の成功報酬フィーで、年収の高い求人では従来の相場を大きく上回る水準が珍しくなくなっています。ハイクラス層は多くの企業で取り合いになっている状態です。

検索キーワードは「職種」から「解決できる課題」へ

では、企業側の需要・要件はどう変わっているのか。企業がレジュメ検索で入力するフリーワードのランキングを、2025年上期と2026年上期で比較してみました。

若手ハイクラス層(AMBI)では、1位「SaaS」、2位「Java」は変わらない一方、「エンタープライズ」が9位から4位へ大きく順位を上げました。これまでの検索は職種名や業界名が中心でしたが、「この人は企業のどんな課題を解決できるのか」に企業の目線が向いていることの表れだと見ています。特にSaaS系・AI系の企業では、社数を追う営業戦略から、エンタープライズを開拓して顧客単価を上げる戦略へと転換が進んでおり、商談の場でもよく耳にする話です。

もうひとつ象徴的なのが「カスタマーサクセス」です。2022年頃から常に5位前後に入っていたこのキーワードが、2026年上期には上位10位から姿を消しました。カスタマーサクセスという職種がなくなったわけではありません。「アップセルをどれくらいできるのか」「継続率はどれくらいか」といった具体的な成果指標で細かく検索されるようになった、ということです。若手人材の採用であっても、職種ではなく、どんな能力を持っているかが見られています。

ミドル層では、これまでランク外だった「PMO」が今期一気に1位に浮上しました。DXやAI導入を進めるにあたり、ルールを入れるだけでなくプロジェクトを実際に前に進められる人が求められています。立ち上がったプロジェクトが進められていない、という状況は珍しくなく、「推進」ができる人材へのニーズは大きく高まっています。

若手でもミドルでも、「どんな課題を解決していくのか」「売上に直結させられるのか」という点がみられるようになったという、大きなトレンドの変化がありました。

若手ハイクラスの77%は、明確なキャリアビジョンを持っていない

この変化の中で人事に求められることを、求職者側のデータから考えてみます。

意外に思われるかもしれませんが、20代の若手ハイキャリア層(年収400~700万円の層)は「やりたいことが決まっていない」のが実態です。

AMBIユーザー1,000人に「キャリアビジョンはありますか」と聞いたところ、「明確にある」と答えたのは23%のみ。残りの77%は「なんとなくある」「どちらかというとない」「ない」でした。実際の決定データを見ても、直近の職種と転職先の職種が異なる方が6割ほどにのぼります。

とある外部調査では、転職サイトを選ぶ際に「紹介会社にアドバイスをもらえる」ことを重視する若手が多いという結果も出ています。自分で探すよりも、多角的な情報をタイパよく得たいということです。だからこそ、若手ハイキャリアを惹きつけるのに重要なのが「次のキャリアの具体性」で、「自社で得られる経験」を具体的に提示していくことが人事に求められています。

年齢が上がるほど「年収」より「仕事内容」

一方、ミドル層はどうでしょうか。「ミドルの転職」ユーザー2,126人にアンケートで仕事選びで最も重視する軸を聞いたところ、「希望の仕事内容に従事できるか」が全体の40%でトップでした。年代が上がるほどこの割合は高まり、50代では42%、60代では52%にのぼります。「年収アップできるか」は全体で17%にとどまりました。

別のアンケートでは、そもそも選択肢が少なく、希望の職種に就けるかどうかもわからないという方が多いことも見えています。だからこそ、「なぜあなたにこの仕事を任せたいのか」「どんなミッションを期待しているのか」を、人事が表面的に語るのではなく、具体的に仕事への解像度を高く持って口説き、アトラクトしていくことが大事だと考えています。

Session 2|すりあわせるって大変だ 〜採用活動における「ズレ」との向き合いかた〜

▼スピーカー:株式会社トラックレコード プロフェッショナルサービスグループ グループ長 河上 翔紀

続いて弊社の河上が、事業部と人事の間に生じる採用の「ズレ」をテーマに登壇しました。

「いい人が来ない」の裏側にある、3つのズレ

「いい人が来ない」「もっと早く採用したい」「応募数が少ない」。こうしたフィードバックを事業部門から受けたことがある方は多いのではないでしょうか。会場で手を挙げていただいたところ、沢山の方が経験されていました。

現場からこういわれるとき、大抵は人事と現場で何かしらの認識のズレが発生しています。私たちトラックレコードは、社内外の知見や採用市場の知識、お客様の業界の知識を用いて、そのズレを埋めていくことも、支援の一部として対応しています。本日はその中から、現場との期待値をどう揃えるかをお話しします。

そもそも採用の「ズレ」の正体は何か。整理すると、ほとんどが「どんな人を(要件)」「いつまでに(スピード)」「何人(人数)」の3つに集約されます。期初に立てた採用計画と、事業部が日々直面する変化の間にどんどん差が生まれ、「もっと早く欲しい」「なぜこんなに書類選考が微妙なんだ」という相談が来る。今回は特に「どんな人を」という要件のズレにどうアプローチするかを考えていきます。

いきなり採用要件の話からはじめる……それ、間違いです

出発点は、現場が欲しい人をちゃんと理解することです。当たり前に聞こえますが、「どこまで理解できたら理解したと言えるのか」が肝心です。

現場と要件について相談する際、多くの人事は「スカウトの対象が少ない」「エージェントから紹介がなかなか来ない」「経験年数5年を3年に下げられませんか」と、いきなり具体的な議論に入ってしまいがちです。しかしここで具体の話をすると、現場からは「そういう話じゃなくて、そもそも……」と返され、双方の認識がずっとすり合わないまま平行線になってしまうのかなと思っています。

だからこそ、最初は具体の要件ではなく、現場が本当に欲しい人を現場と同じ解像度で見ていくことが重要です。私がお客様との最初の会話でよく使うのが、次の4つの問いです。

  1. なぜ今、このポジションが必要なのか?(事業戦略・組織戦略上の理由)

  2. 入社後半年で、何に取り組み、何を実現してほしいのか?(期待する成果)

  3. どんな業務を、どのチーム・体制・権限・裁量で担うのか?(具体的な仕事と環境)

  4. そのために、入社時点で必要な能力・スキルは何か?(ここで初めて要件の話になる)

候補者が入社したあとに何をするのかを、事業部と同じ解像度で理解する。この最初の部分が噛み合わないと、「どんな人が欲しいのか」の議論は進みません。

「なぜ、その要件なのか」まで理解する

例えば、「営業リーダーが欲しい。同業界の経験者で」というオーダーを受けたとします。前出の4つの問いが理解できていないと、「同業界の具体的にどんな経験が欲しいのか」が分からず、議論が狭くなりがちです。

大事なのは、「成果に必要な能力」と「その能力を持っていそうな経歴」を分けて考えることです。そして、理解できたかどうかの基準は、自分の言葉で説明して「そう、その人が欲しい!」と現場に言ってもらえるかどうかです。私自身のゴールは、要件を聞いたうえで「それって〇〇社の〇〇さんみたいな人ですよね」と言ったときに、「そう、そういう人が欲しいんです」と返してもらえること。そこで初めて、認識が揃った状態から採用をスタートできます。

それでも現場は「青い鳥」を求める……そんなときはどうしたらいい?

ただ、ここまでやってもまだズレます。いろいろな現場の人が意見を言うほど要件は「青い鳥」になり、スーパーマンのような中途の即戦力を求めるようになるからです。

そこで次に重要なのが、その要件に合う人が採用市場(=媒体)に本当に何人いるのかを、現場の人と一緒に見ることです。

実際に媒体を一緒に開きながら「あなたの言っている要件だと、100人しかいません。返信率10%なら10人にしか会えないですよね」という風に、数字だけを渡すのではなく、検索条件を変えながら「こんなに変わるんだ」という手触り感を持って現場と会話をする。候補者と数字を見ることで、「自分たちが思っているポジションって、思ったより難しいんだな」等、課題の共通言語化をすることが大事と考えています。

具体例:「3か月でシニアセキュリティエンジニアを1名」にどう向き合ったか

具体的な例をひとつ紹介します。ある現場から「シニアなセキュリティエンジニアを3か月で1人採用してほしい」と依頼がありました。高い専門性が必要で、市場に少ない人材です。正直なところ、3か月では「無理では?」と感じてしまう依頼ですが、現場に「できません」と返して終わりにするわけにはいきません。

そこでまず、この会社で1人採用するには約300件のスカウトが必要だという当初の見立てを、現場と共有し理解を得ました。次に、一緒に媒体を見て、その要件で送れそうな件数を数えると月50件。300件を月50件で割ると、スカウトを送るだけで半年かかります。選考期間はさらにその先です。

ここで選択肢は2つになります。

  • 選択肢A:要件を下げて3か月で300件送れる状態を目指す

  • 選択肢B:要件を維持して、時間をかけて本当に欲しい人を探す

重要なのは、要件を変えることではなく、双方が納得して優先順位を決めることです。この会話をしないままだと、「いい人が来ない」「もっと早く欲しい」に振り回され、媒体を広げたりエージェントのフィーを上げたりしても、スタート地点で噛み合っていないのでなかなか難しい。

そしてこの会話をすると、その後に変化が生まれます。現場が「思ったより難しいんだな」と難しさを理解してくれるので、協力的になるのです。同じゴールを見て進める体制をつくることが、私たちが目指すべき姿だと思います。

すり合わせの質を支える、日々の一次情報

この一連のプロセスを納得感を持って進めるには、人事側も相当知識をアップデートしていかなければなりません。私が自分のメンバーやお客様の人事担当者とよく話しているのが、次の2つの情報を日々キャッチアップし続けることです。

日々の情報のキャッチアップで「この人たちはプロだな、信頼していろいろ聞いてみよう」という関係が生まれ、活動自体の品質も上がっていきます。

現場とのズレをなくすために、明日からできる3つのこと

最後にお伝えしたいのは、明日からできる3つのことです。

  1. 現場が欲しい人を、「なぜ必要か」まで理解する:期待する成果・具体的な仕事・必要な能力を、現場と同じ解像度で話せるようにする

  2. 現場と一緒に市場を見て、何を優先するか決める:媒体やエージェントを通じて採用の難しさを共有し、要件・期限・動き方を一緒に決める

  3. 日々の一次情報で、事業と採用市場の理解を更新する:現場・候補者・エージェントとの会話から、要件を判断する材料を蓄える。1と2を支える習慣

2番は明日からすぐにとはいかないかもしれませんが、ぜひ実践してみてください。

Panel Discussion|生成AIは、事業部人事の仕事と“採用の場”をどう変えていくのか

▼登壇者:有田 誠 氏(エン株式会社)/河上 翔紀(株式会社トラックレコード)

イベント後半は、両名によるパネルディスカッションを実施。生成AIによって採用媒体と人事の実務がどう変わるのか、媒体運営側と採用支援側それぞれの視点から議論が展開されました。

生成AIによって「媒体の未来」はどう変わるのか

有田氏:
これは人事の皆さんも気になるところだと思いますが、実は一番危機感を感じているのは私たち媒体側です。媒体でスカウトを作成し、いつ送るかを考えるという作業はおそらくいらなくなる。そして媒体としては多くの応募を集めたい、企業に多くの応募を届けたいと考えていますが、それも実現しなくなる時代が近く来るのではと思っています。

たとえば今は受信ボックスに50件のスカウトがずらりと並びますが、それを見る人はいなくなり、届いた100件・200件の中からAIが「あなたにマッチしているのはこの5件です」と5件しか表示しない。そんな未来が近いうちに来るのではないかと思っています。そうなると、「企業に多くの応募が入るようにしたい」という私たち媒体側のこれまでの前提も変わらざるを得ません。選ぶ主体が、企業から求職者側のAIに移るからです。だからこそ私たちは、スカウト媒体としてではなく、求職者が自分のキャリアを考え、形にしていく場としてのポジショニングを築いていくことになると考えています。

河上:
私はどちらかというと皆さんにより近い目線ですが、もはや職務経歴書もAIで書かれ、こちらもAIで勝負している。「誰と戦っているんだ」という感覚で日々採用活動をされているのではないでしょうか。

媒体の未来というよりもう少し抽象度を上げると、「自分たちが求める人材がどんな場所にいるのか」を知っておくことの重要性が増していると思います。採用の場は二極化していくと思っており、ひとつは「ミドルの転職」のように300万人規模の大きなプールの中でAIによる最適化マッチングをする世界。もうひとつは、今日のようにクローズドな場で顔を見ながら直接話す世界になっていくのではと考えています。

たとえばシニアのセキュリティエンジニアは、媒体に300人もいないのではないでしょうか。そうなると、コミュニティやイベントで「N1」を狙いに行かなければならない。人事の私たちも、そうした場に行ってエンジニアに話しかけていくことが避けられなくなります。どこに誰がいるのかという情報をしっかりキャッチしておくことが、皆さんの目線での媒体の未来、今後の使い方になっていくと思います。

生成AIによって人事の実務はどう変化するのか

河上:
人事の実務というより、採用に絞って話します。私のお客様、特にエンタープライズ系の企業では、人事情報とAIをうまく使っていくことが厳しい状況にある会社もあります。だからまず、自分たちの業務を切り分けて「どこでAIを使って価値を出していくのか」を整理することが出発点になります。

そのうえで結局重要になってくるのは、面談、コミュニティ、イベント、オファーの会食といった「足で誰かに思いを伝える」ところだと、一周回って思っています。書類選考も日程調整もAIに置き換わっていくでしょう。私自身の価値で言えば、私は美味しいご飯屋さんに行くことが好きなので、候補者が一番食べたそうなご飯屋さんをすぐ見つけて、「本気で自分を採りたいと思ってくれているんだな」といかに思わせられるか。AIはご飯を食べられませんし、そういうアクションもできません。

もうひとつ、有田さんのような媒体の方と会話して表に出ていないデータを教えてもらう、エージェントと会話する、といった部分も絶対に残ります。それ以外は、むしろ誰も気にしなくなり、どんどんAIになっていくと思います。

有田氏:
当社でもAI活用を進めていて、AIで面接をするプロダクトや、面接中にAIが同席して「候補者にはもう刺さっているから、もっとアトラクトした方がいい」といった示唆を出す仕組みをリリースしています。だからこそ、人事が一周回って泥臭くなる、という話にはすごく共感します。

河上:
現場の巻き込みという観点でもうひとつ挙げると、最近お客様から「現場も一緒に見られるダッシュボードをつくってほしい」と頼まれることが増えています。ATSに入っている年齢・所属企業・年収などのデータを引っ張ってくれば、「何歳で年収いくらの人が選考に進みやすいか」が全部出せる。これまで手間がかかるこうした非構造化データの構造化は、AIが非常に得意なので、AIによってチーム間の共通理解を深めることはとてもやりやすくなったと感じています。

事業戦略を理解していない人事と、どうすり合わせるか

事業責任者としてPLを持ち、その達成のために採用や人員配置を数字で考える有田さんから河上に、「事業計画や事業戦略に対して、まだ解像度が上がっていない人事と話す時にどうすり合わせたらいいのか」という問いがありました。

河上:
事業戦略を単純に数字だけ教えられても、人事はイメージがつかないんです。私が現場の方から聞かれてよくお伝えしているのは、競合他社の話から入ることです。人事の方は案外、同じ事業をやっている会社がどう成長しているかを理解されている場合が多い。「競合はこう成長しているよね、うちはこういうふうに成長したいんだよね」と外側から埋めていくと、「こういう方向で成長したいのか、だからこういう仕事が必要で、この仕事ができるということはこういう採用が必要なんだ」と自分ごとにできるようになるのかなと思っています。

有田氏:
確かにそうですよね、数字の話が多くなってしまっているなと。

河上:
すごく難しいことですよね。だからこそ第三者である私たちが現場と人事の間に入る価値があるのだとも思っています。

こうしてパネルディスカッションは幕を閉じ、会場は「人事・採用における生成AI活用」「中途採用のお悩み」「現場(事業部)の巻き込み」の3つのテーマに分かれた交流会へと移りました。

最後に:生成AI時代に人事が「仕掛ける」ために

媒体を運営する側と採用の現場を支援する側。立場の違う二人の登壇でしたが、参加者の皆さんに伝えたかったことはかなり近かったのではないでしょうか。

企業はレジュメを「職種」ではなく「何ができる人か」で探すようになり、求職者の側も、若手は次のキャリアの具体性を、ミドルは仕事内容の解像度を求めている。採用の両側で、「どんな仕事を、なぜこの人に任せるのか」を具体的に語れるかどうかが問われています。

一方で、スカウト文面の作成や書類選考、日程調整といった作業はAIに置き換わっていくでしょう。だからこそ人事に残るのは、現場が欲しい人を「なぜ必要か」まで理解し、市場の実態を現場と一緒に見て優先順位を決め、候補者に直接思いを伝えること。河上の言葉を借りれば、「一周回って泥臭い」仕事です。

「巻き込まれる人事」から「仕掛ける人事」へ。本イベントが、そのための手がかりを持ち帰っていただく場になっていれば幸いです。


トラックレコードでは、採用要件の設計から、スカウト・エージェント運用、採用ブランディング・採用広報まで、事業部と人事の間に立って採用が成功する仕組みづくりを一貫して支援しています。現場との「ズレ」にお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

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