2026年10月27日

採用ノウハウ

【企業向け】FDEとは?採用前に知っておきたい役割と要件

「生成AIを業務に組み込みたい」「事業部からFDEを採りたいと相談された」

ここ1年ほどで、こうした話題が人事や経営の場で聞かれるようになりました。一方で、FDEはまだ新しい職種のため、どんな人をどんな条件で採ればよいのか、社内で答えが固まっていないケースも少なくありません。

この記事では、FDEの役割とほかの職種との違いを整理したうえで、採用市場の状況、採用要件の決め方、候補者の探し方、選考での見極め方まで、採用担当者の目線で解説します。

FDEとは?顧客の現場で成果を出すエンジニア

FDEという言葉は聞いたことがあっても、エンジニアやコンサルタントと何が違うのか、社内で説明するのは難しいものです。

ここでは、FDEの意味と生まれた背景、主な仕事内容を解説します。

FDEの意味と生まれた背景

FDEとは「Forward Deployed Engineer(フォワードデプロイドエンジニア)」の略で、顧客企業の現場に入り込み、課題の発見から設計・実装・本番での運用までを一貫して担うエンジニアのことです。「前線に配置された」エンジニアという意味です。

もともとは米国のPalantir社が広めた働き方で、2025年ごろからは、生成AIを業務に定着させる役割として注目が集まり、AI企業や国内のSaaS企業でも募集が広がりました。

国内では日立製作所が2026年6月のプレスリリースで、FDEを

顧客の現場に入り込み、経営課題の特定からPoCでの価値検証、実業務への実装までを一気通貫で担う専門家集団

と位置づけています。ただし担当範囲は企業によって異なるため、採用では一般的な定義よりも「自社で何を任せるか」から考えるのが近道です。

FDEの主な仕事内容

FDEの仕事は、大きく「課題を見つける」「動くものを作る」「現場に定着させる」の3つに分けられます。

段階

主な仕事

課題を見つける

顧客の業務フローを観察し、どこにAIやシステムを使うと効果が出るかを特定する

動くものを作る

プロトタイプを短期間で作り、現場の反応を見ながら本番で使える仕組みに仕上げる

現場に定着させる

導入後の利用状況を見て改善し、顧客が自分たちで使い続けられる状態をつくる

仕様書を受け取って作るのではなく、「何を作るか」を顧客と一緒に決めるところから関わる。
ここがFDEの大きな特徴です。

FDEとほかの職種の違い

FDEの採用で最初につまずきやすいのが、既存の職種との線引きです。

ここでは、開発エンジニア・SE・SIer、ソリューションエンジニア、コンサルタントとの違いを解説します。企業によって役割が重なる部分もあるため、一般的な傾向として見てください。

開発エンジニア・SEとの違い

FDEの特徴は、顧客の課題を見つけるところから、設計・開発、導入後の改善まで一貫して担うことです。顧客の現場で業務を理解し、何を作るべきかを考えながら、自ら開発を進めます。

開発エンジニアやSEとの違いは、担当する範囲にあります。

< 開発エンジニア >
ソフトウェアの設計・実装・改善を担います。プロジェクトによっては、課題の分析や要件の整理にも関わります。

< SE >
顧客の要望を整理し、システムの要件や設計に落とし込みます。開発や導入まで担当する場合もあります。

< FDE >
顧客の業務に入り込み、課題の発見から開発、業務で使われるようになるまでを継続して支援します。

担当範囲は組織やプロジェクトによって異なるため、職種名だけで明確に区別できるわけではありません。

ソリューションエンジニアとの違い

ソリューションエンジニアとFDEは、主に担当する工程が異なります。

< ソリューションエンジニア >
主に受注前の提案、技術説明、デモなどを通じて、顧客の導入判断を支援します。

< FDE >
主に受注後の設計・開発を担い、顧客が実際の業務で使えるようになるまで支援します。

ただし、ソリューションエンジニアが導入後の支援を行ったり、FDEが受注前の技術検証に関わったりする場合もあります。企業ごとの担当範囲を確認することが大切です。

ITコンサル・AIコンサルとの違い

ITコンサルやAIコンサルと比べると、FDEは提案した解決策を自ら設計・開発する点に特徴があります。

< ITコンサル・AIコンサル >
課題の整理、施策の提案、導入計画の策定などを担います。開発は別のチームや会社と分担する場合があります。

< FDE >
課題の整理や提案に加え、自ら試作品を作ります。顧客の現場で試し、反応や効果を確かめながら改善します。

コンサルタントが開発まで担当するケースもあるため、採用では職種名よりも経験の中身を見る必要があります。顧客への提案経験に加え、自ら開発し、実際の業務で使われるまで支援した経験があるかを確認するとよいでしょう。

FDEの採用市場と年収相場

生成AIを試す段階から、業務で使い続ける段階へ進もうとする企業のあいだで、FDEを募集する動きが広がっています

ここでは、採用市場と年収相場について解説します。

FDEの需要が高まっている背景

生成AIを実際の業務で活用するには、導入から運用までを担える人材が必要です。
AIツールは導入するだけで効果が出るとは限らず、社内データの整理や既存システムとの連携、運用ルールの整備など、それぞれの業務に合わせた調整が欠かせません。業務と技術の両方を理解し、こうした調整から開発、導入後の改善まで担うFDEに注目が集まっています。

実際に、FDEの求人は海外を中心に急増しています。Business Insider Japan(2026年)によると、Indeed上のFDEの求人件数は、2026年4月時点で前年同月比729%増でした(海外求人を含む)。

一方で、職種名が国内で広がったのはここ1〜2年のため、FDEとして働いた経験を持つ人はまだ多くないと考えられます。FDE経験を必須にせず、近い経験を持つ人まで視野を広げることが、採用を進める前提になります。

FDEの年収相場は800万〜1,500万円

国内の公開求人を見ると、FDEの提示年収はおおむね800万〜1,500万円の範囲が中心です。
上限を2,000万円以上に設定している求人もあり、担当範囲や職位によって幅があります(2026年10月時点)。

同じFDEでも、求める経験の幅によって提示額は変わります。経験者の母数が限られるなか、年収だけで他社と競うのは難しい場面もあります。自社の給与テーブルと整合をとりつつ、任せる役割の大きさに合わせて提示額を決めておくと、社内の調整も進めやすくなります。

FDEの採用要件は仕事内容から決める

FDEの採用要件は、入社後に任せる仕事を具体化し、その仕事に必要なスキルから決めることが大切です。開発力や顧客対応力、AIの専門知識をすべて高い水準で求めると、候補者が限られ、採用が難しくなります。

ここでは、任せる仕事から逆算して採用要件を決める方法を解説します。

最初に任せる仕事を決める

求人票を書く前に、入社後に任せる仕事を次の3点で整理しておきましょう。

  • 最初に担当する顧客・プロジェクト

  • 期待する成果と、本人に任せる裁量

  • 課題整理・開発・導入支援を、社内の誰と分担するか

この3点が決まると、どのスキルをどの程度求めるかを判断しやすくなります。

求めるスキルの水準を決める

FDEに求めるスキルは、「開発力」「顧客対応力」「AIの知識」の3つです。それぞれ、入社時にどんな経験を求めるかを具体的にしておくと、求人票に落とし込みやすくなります。

スキル

入社時に求める経験(例)

開発力

業務システムを自分で設計・実装した経験

顧客対応力

顧客や社内の関係者と話しながら、要件を整理した経験

AIの知識

生成AI(LLM)のAPIを使って、簡単な仕組みを作った経験

どこまでを必須にするかは、任せる仕事によって変わります。

  • 社内で最初のFDEとして、ひとりで顧客の現場に入ってもらう場合:開発経験の年数や顧客対応の実績を高めに設定する

  • 既存のチームに加わり、先輩と組んで進めてもらう場合:必須は開発経験に絞り、AIの知識は入社後に伸ばす前提にする

実際の求人でも幅があります。たとえばOpenAIのFDE求人は、顧客対応を含む5年以上のエンジニア経験を求めています。一方で、開発経験2年以上を必須とし、FDEやAIの経験を問わない国内の求人もあります。

役割を分けて要件を絞る

1人にすべてを求めるのが難しい場合は、実装を担う人と、業務整理や関係者との調整を担う人に役割を分けるのも一つの方法です。

海外では、FDEとは別に「Deployment Strategist」という職種を置く企業もあります。例えば、Databricksの求人では、国内でも、経営層との対話や要件定義を社内のPMやコンサルタントが担い、FDEと協働する体制にすれば、FDEの採用要件は実装力を中心に絞り込めます。その分、候補者の幅も広げやすくなるでしょう。

FDE候補者の探し方|職種より経験で探す

FDE経験者だけを探していると、声をかけられる候補者はかなり限られます。SEやコンサルタントなど、近い経験を持つ職種まで広げると、候補者の幅が広がります。

ここでは、FDEの候補になりやすい職種と、スカウトで声をかけるときのポイントを解説します。

候補になりやすい職種

FDEの候補者は、職種名ではなく「顧客と向き合いながら、自分の手で作った経験」があるかどうかで探すのがポイントです。

職種

活きる経験

確認したい点

SIer・受託開発のSE

顧客の業務を理解し、システムを本番稼働まで届けた経験

要件が決まる前から関わった経験があるか

ソリューションエンジニア・プリセールス

顧客の課題を聞き取り、技術で解決策を示した経験

受注後の実装まで自分で手を動かせるか

ITコンサルタント(開発経験あり)

課題の整理や関係者の合意形成

プロトタイプを自分で作れる開発力があるか

自社プロダクトのエンジニア

プロダクトの設計・実装

顧客と直接話すことに前向きか

データサイエンティスト・MLエンジニア

データの整備やモデルの業務への適用

分析だけでなく業務に組み込んだ経験があるか

すべてを満たす人を探す必要はありません。役割を分けるなら、チームに足りない経験を持つ人を優先して探しましょう。

スカウトは任せたい課題を軸に書く

スカウトでは「FDE募集」とだけ書くより、どの業務の、どんな課題を任せたいかを具体的に書いたほうが、候補者は自分ごととして読みやすくなります。SEやコンサルタントの中には、自分をFDEの候補だと考えていない人も多いためです。

たとえば「製造業の品質検査業務に生成AIを組み込むプロジェクトを立ち上げます。顧客と要件を詰めながら実装まで進めたご経験を拝見し、ご連絡しました」のように、任せる課題と経歴の注目点をセットで伝えると、返信につながりやすくなります。

FDEの選考で見極めたいポイント

FDEとして活躍できるかは、書類だけでは判断しにくいものです。

ここでは、面接での質問例と、技術面接の進め方を解説します。

面接で確認したい質問例

面接では、過去に「曖昧な状態から、何を作るかを決めて形にした経験」を具体的に聞くのが有効です。質問例と、回答で見たいポイントを紹介します。

①要件が決まっていない状態から関わったプロジェクトを教えてください

  • 確認したいこと:課題を見つける力

  • 評価の目安:誰と話し、何を根拠に作るものを決めたかを説明できる

②そのとき、ご自身はどこまで手を動かしましたか

  • 確認したいこと:開発力・当事者意識

  • 評価の目安:設計や実装の判断を本人がしている

③現場から反対や戸惑いが出たとき、どう対応しましたか

  • 確認したいこと:顧客対応力

  • 評価の目安:相手の事情を聞き、進め方を調整した具体例がある

④導入後、使われ続けるために何をしましたか

  • 確認したいこと:定着まで見る姿勢

  • 評価の目安:利用状況を見て改善した経験がある

経験の聞き取りは人事、技術の深さは現場のエンジニアと、面接官の役割を分けておくと評価がぶれにくくなります。

技術面接は実務に近い課題で行う

技術面接は、アルゴリズムの問題より実務に近いお題で行うほうが、FDEに必要な力を確かめやすくなります。

具体的には、「問い合わせ対応に時間がかかっている」という架空の顧客課題を渡し、候補者にヒアリングしてもらいながら、解決策と簡単な仕組みの設計を30〜60分ほどで一緒に考えます。見るポイントは、質問の仕方、優先順位のつけ方、技術を選んだ理由です。

要件の整理から採用まで支援するトラックレコード

ここまで見てきたように、FDEの採用では、要件の整理から候補者探し、選考の設計までを並行して進める必要があり、採用担当者の負担も大きくなりやすい傾向があります。

トラックレコードは、仕事の魅力を候補者に伝わる言葉にするところから、求人票の作成、スカウト運用、選考の設計までを一気通貫で支援しています。

株式会社エス・オー・ダブリュー様では、リファラル中心だった採用から候補者との接点を広げるにあたり、仕事の魅力の言語化からスカウト運用までを支援し、10ヵ月で12名のSAPコンサル採用につながるなど、ハイクラス人材の採用支援に強みをもっています。
詳細は事例インタビュー記事をご覧ください。

FDEのようなハイクラス人材の採用支援について詳しく知りたい方は、「トラックレコードのRPOがハイクラス採用に強い理由」をぜひご覧ください。

FDEに関するよくある質問

FDEは、採用担当者にとってまだなじみの薄い職種かもしれません。
採用を検討するなかで、「どんな経験を持つ人が候補になるのか」「何を基準に選考すればよいのか」と迷うこともあるでしょう。

ここでは、FDEの採用に関する3つの質問にお答えします。

FDEとカスタマーサクセスの違いは?

カスタマーサクセスは、導入後の活用を支援して継続利用につなげる職種で、FDEは自ら開発して顧客の業務に組み込む職種です。

カスタマーサクセスは使い方の提案や運用の伴走が中心で、仕組みの作り込みは開発チームに任せるのが一般的です。両者が連携し、FDEが作った仕組みをカスタマーサクセスが定着させる体制をとる企業もあります。

FDEの採用に採用代行(RPO)は使える?

使えます。要件の整理や求人票の作成、スカウトの運用、日程調整やエージェント対応などは、採用代行に任せやすい業務です。

一方で、任せる課題の決定や技術面接、最終的な合否の判断は、自社で持っておくのがおすすめです。採用代行(RPO)の選び方はエンジニア採用代行を依頼するときのポイントで解説しています。

任せる仕事から要件を決め、自社に合うFDEを採用しよう

FDEは、顧客の現場に入り込み、課題の発見から実装・定着までを担うエンジニアです。経験者は限られますが、任せる仕事から要件を決め、役割を分けたり近い職種に広げたりすることで、採用の道筋は描きやすくなります。

FDEは求める経験の幅が広く候補者も限られるため、要件づくりから候補者探しまでを社内だけで進めると、負担が大きくなりやすい職種です。

トラックレコードでは、採用戦略の設計から採用サイトやピッチ資料制作・スカウト運用などの採用代行(RPO)まで一気通貫で支援しています。FDEの採用を検討している方は、まずはお気軽にトラックレコードへご相談ください。

自社に合うFDEを迎え、AIを現場で活かせる体制をつくっていきましょう。

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