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働き方改革とは、従業員がそれぞれの事情にあわせた働き方をできるようにするための業務改革です。働き方改革に取り組むことで、生産性向上や人材定着、採用力強化につながることが期待されています。
一方で、「制度を整えたのに応募数が増えない」「働きやすくなったはずなのに離職率が改善しない」といった課題を抱える企業も少なくありません。働き方改革は、制度導入だけでなく、採用・組織づくりまで一貫して活用することが重要です。
本記事では、2026年時点で押さえておきたい最新の法改正や変更点を整理したうえで、企業が実務で対応すべきポイントや、採用競争力向上につなげるための活用方法をわかりやすく解説します。


働き方改革とは、少子高齢化による労働人口の減少や、働き方の多様化に対応するために進められている労働環境の改革です。背景には、日本企業で長時間労働が常態化し、子育て世代や高齢者などが働き続けにくいという課題がありました。また、正社員と非正規雇用の待遇差も問題視されていました。
こうした状況を受け、政府は2018年に「働き方改革関連法」を成立させ、残業時間の上限規制や有給休暇取得の義務化、同一労働同一賃金などの制度を導入しました。現在は法令対応だけでなく、柔軟な働き方やワークライフバランスを重視する求職者も増えており、働き方改革は採用力や定着率の向上にも重要な取り組みとなっています。

残業規制や有給休暇のルールは、働き方改革のなかでも特に企業への影響が大きい分野です。それぞれの制度には罰則も設けられており、対応が不十分な場合はリスクが生じます。
ここでは、企業が押さえておくべき5つの変更点を解説します。
残業時間の上限規制と36協定
月60時間超の残業割増賃金率引き上げ
年5日の有給休暇取得義務化
労働時間の客観的把握義務化
勤務間インターバル制度の導入促進
36協定とは、企業が従業員に法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いてもらう場合に、労使間で締結して労働基準監督署に届け出る協定のことです。労働基準法第36条に基づくため「36協定」と呼ばれています。
以前はこの36協定さえ結べば、時間外労働に事実上の上限がありませんでした。今回の改正で、上限が法律で初めて明確に定められました。
原則は月45時間・年360時間以内です。特別条項付きの36協定を結んだ場合でも、年720時間以内・単月100時間未満・複数月平均80時間以内という上限があります。上限を超えた場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象になります。
近年は、長時間労働のイメージが強い企業を避ける求職者も増えています。残業時間の適切な管理は、コンプライアンスだけでなく採用ブランディングの観点でも重要です。
月60時間を超えた残業には、割増賃金率50%以上の支払いが必要です。
大企業は2010年から適用されていましたが、中小企業への適用は2023年4月からです。
残業が多い職場ほど人件費への影響が大きくなります。業務量の見直しや効率化を進めるきっかけにもなります。
年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、企業は年5日の取得を必ず確保しなければなりません。達成できなかった場合は、従業員1人につき最大30万円の罰則が科されることがあります。
ルールを守るだけでなく、「取りたいときに取れる」雰囲気をどうつくるかが、現場の課題になっています。
管理職を含むすべての従業員の労働時間を、タイムカードやPCのログなど客観的な手段で記録することが義務づけられました。自己申告だけに頼った管理は、認められなくなっています。
退勤から次の出勤まで、一定の休息時間を確保する制度です。
現時点では努力義務にとどまっていますが、導入企業への助成金制度もあり、従業員の健康を守る取り組みとして注目されています。

働き方改革は、労働時間の規制だけを目的としているわけではありません。雇用形態による格差をなくすことや、従業員の健康を守る仕組みを強化することも、大きな柱の一つです。
ここでは、待遇・健康管理に関する4つの変更点を解説します。
同一労働同一賃金の導入
非正規雇用者の待遇改善
産業医・産業保健機能の強化
従業員の健康管理体制強化
同じ仕事をしているのに、正規・非正規で賃金や待遇に大きな差がある——これが「同一労働同一賃金」が問われるようになった背景です。
この改正では、職務内容や責任の範囲が同じであれば、雇用形態に関係なく同等の待遇を提供することが求められます。大企業には2020年4月から、中小企業には2021年4月から適用されました。
パートタイム・有期雇用労働法の改正により、非正規労働者への不合理な待遇差が禁止されました。
基本給や賞与だけでなく、福利厚生や研修機会についても、正規社員との差に合理的な理由がなければ認められません。
また、非正規労働者から待遇差の理由を聞かれた場合、企業にはきちんと説明する義務もあります。
従業員50人以上の事業場では、産業医の選任が義務づけられています。
今回の改正では、産業医が健康管理をより実効的に行えるよう、権限と情報提供のルールが強化されました。
長時間労働者のデータや健康診断の結果を産業医に確実に提供することが、企業の義務となっています。
企業には、従業員の心身の健康を守るための体制を整えることが求められています。
月80時間を超える残業をしている従業員については、本人からの申し出がなくても、医師による面接指導を受けさせなければなりません。
症状が深刻になる前に対処できる仕組みをつくることが、企業に求められています。

働く時間や場所の選択肢が増えることで、より多くの人が無理なく働き続けられるようになります。働き方改革では、個人のライフスタイルや事情にあわせた働き方を広げるための制度整備も進んでいます。
ここでは、多様な働き方に関する4つの変更点を解説します。
フレックスタイム制の拡充
テレワーク推進
副業・兼業ルールの整備
高度プロフェッショナル制度
フレックスタイム制は、1日の労働時間の配分を従業員自身が決められる制度です。
以前は清算期間(労働時間を調整できる期間)が最大1か月でしたが、改正によって最大3か月まで延長されました。
繁忙期と閑散期の波が大きい業種でも、より柔軟に労働時間を調整できるようになっています。
働き方改革と、その後のコロナ禍を経て、テレワークは多くの企業に広まりました。
政府もテレワーク導入を後押しするためのガイドラインを整備しており、通信費の負担ルールや労働時間管理の考え方が示されています。
自宅だけでなく、サテライトオフィスやコワーキングスペースの活用も広がっており、働く場所の選択肢は着実に増えています。
厚生労働省は2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、副業・兼業を原則として容認する方向性を打ち出しました。
企業側には、就業規則の見直しや、副業先での労働時間も通算して管理するルールへの対応が求められます。従業員のスキルアップやキャリア形成を支援する観点からも、前向きに取り組む企業が増えています。
一定の年収(1,075万円以上)と専門性を持つ労働者を対象に、労働時間規制の適用を外す制度です。
金融ディーリングやコンサルタントなど、成果で評価される職種に向けて設けられました。
対象者の健康管理は企業の義務として維持されており、年104日以上の休日確保などが要件として定められています。

子育てや介護をしながら働く人が増えるなか、仕事と家庭の両立を支援するルールも大きく変わっています。特に2025年以降は義務化される制度が増えており、早急な対応が必要になりました。
ここでは、育児・介護に関する5つの変更点を解説します。
育児介護休業法の改正
2025年10月から義務化される柔軟な働き方制度
養育両立支援休暇の整備
男性育休取得公表義務化
育児世帯へのテレワーク推進
育児介護休業法は、働き方改革と並行して段階的に改正が重ねられてきました。
2022年の改正では、子どもが生まれてから8週間以内に取得できる「産後パパ育休(出生時育児休業)」が新設され、男性が育休を取りやすい環境が整えられました。
育休の分割取得も可能になり、夫婦が交互に取得するなど、より柔軟な活用ができるようになっています。
3歳以上・小学校就学前の子どもを持つ従業員に対して、企業はいずれかの措置を講じることが2025年10月から義務化されました。
テレワーク:在宅勤務など場所を選ばない働き方を提供する
始業時刻の変更:フレックスタイム制や時差出勤を導入する
保育施設の設置・補助:企業内保育所の運営や費用補助を行う
育児時間の確保:短時間勤務制度を継続して利用できるようにする
子どもの成長段階にあわせたサポートの選択肢が広がっています。
子どもの急な体調不良や学校行事など、育児に関わる場面で取得できる「子の看護等休暇」が2025年4月から拡充されました。対象となる子どもの年齢が小学校3年生修了時まで引き上げられ、感染症対策や学校行事への参加なども取得理由として認められるようになっています。
従業員が安心して育児と仕事を両立できる環境づくりに、直結する制度の一つです。
従業員1,000人超の企業には、男性の育休取得率を年1回公表することが2023年4月から義務づけられています。
取得率を「見える化」することで、職場文化を変えるきっかけにするのが狙いです。中小企業でも、取得率の把握と向上に取り組む動きが広がっています。
3歳未満の子どもを持つ従業員に対して、企業はテレワークを導入するよう努める義務があります。
通勤の負担を減らし、保育園の送り迎えと仕事を両立しやすくすることが目的です。
育児中の従業員が離職せずに働き続けられる環境は、採用コストの削減にもつながります。

法律の内容を理解するだけでは、働き方改革は前に進みません。実際に職場を変えていくためには、制度の整備と現場への浸透を同時に進めることが必要です。
ここでは、企業が取り組むべき3つの対応を解説します。
残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務に対応するためには、まず就業規則を現行の法律にあわせて整備することが必要です。
また、労働時間を客観的に把握するためのシステム導入も欠かせません。タイムカードや勤怠管理ツールを整え、誰がいつ何時間働いたかを正確に記録できる体制を整えましょう。
残業を減らしながら成果を維持するには、働く時間を削るだけでは限界があります。業務そのものを見直し、無駄を省くことが必要です。
会議の時間を短くする、紙の書類をデジタル化する、繰り返し作業をツールで自動化する——こうした取り組みが、長時間労働の根本的な解消につながります。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、働き方改革を進めるうえでも欠かせない要素になっています。
制度を整えても、管理職の意識や行動が変わらなければ現場は変わりません。「残業が当たり前」「有給を取ると白い目で見られる」といった空気が残っていると、ルールを整えても現場には浸透しないのです。
管理職向けのマネジメント研修を実施したり、部下の労働時間や有給取得状況を評価項目に組み込んだりするなど、上からの働きかけが重要です。職場の風土を変えるには、トップダウンの意識改革が不可欠です。

制度を整えるだけでなく、実際に現場で運用し、従業員が活用できる状態にすることが重要です。近年は、柔軟な働き方を導入することで、生産性向上や従業員満足度向上につなげる企業も増えています。
ここでは、働き方改革の取り組み事例を2つご紹介します。
ペンギンシステム株式会社は、最先端研究向けの高難度なソフトウェアを製作しています。時間単位の年次有給休暇制度を導入し、従業員は一時間単位で休暇を取得可能になりました。結果として通院や育児など、社員の生活にあわせた働き方に対応できるように。
さらに固定残業手当と変形労働時間制を導入し、時間外労働時間を月平均23.7時間から月平均2.7時間へと削減しました。
株式会社エス・アイは、プログラム開発やホームページ作成などの事業を展開しています。全従業員に対して時給制度を導入し、各従業員が出勤と退勤を自由に設定できます。
「好きな時間に出退勤をする」または「勤務時間の合間にいったん自宅に帰って家事をする」といった働き方が可能です。働く時間に制約のある従業員でも、仕事を続けやすい環境が整っています。
このように、働き方改革は単なる法令対応ではなく、従業員が働き続けやすい環境づくりにもつながります。近年は、こうした取り組みを採用広報へ活用する企業も増えています。
法律への対応を済ませた企業が次に考えるべきは、「どう伝えるか」です。整備した制度を採用に活かせるかどうかで、求職者からの見られ方は大きく変わります。
ここでは、採用支援を行うトラックレコードの視点から、働き方改革を採用競争力につなげる方法を解説します。
転職市場における求職者の優先順位は、ここ数年で大きく変わっています。
給与や仕事内容と並んで、「残業時間」「有給休暇の取得率」「育休の取りやすさ」を重視する人は確実に増えています。
重要なのは、制度が「あるかどうか」よりも「実際に使われているかどうか」です。求人票に「育休取得実績あり」と書いてあっても、実態が伴っていなければ見抜かれます。採用の場において、働き方の実態は想像以上に精査されています。
採用で人を獲得するだけでなく、入社した人に長く活躍してもらうことも組織の大きな課題です。
働き方改革の制度が現場でちゃんと機能していると、従業員のエンゲージメントは高まりやすくなります。
「ここで働き続けたい」と思える環境があれば、早期離職は減ります。
採用コストは1人あたり数十万〜数百万円かかることもあり、定着率の改善は採用投資の効率化にも直結します。制度整備→現場での定着→従業員満足度の向上→採用ブランドの強化、というサイクルをつくることが、中長期的な採用競争力につながります。
働き方に関する制度を整えても、それが求職者に伝わらなければ採用競争力にはなりません。
採用サイトや求人票、採用ピッチ資料に「平均残業時間〇時間」「有給取得率〇%」「男性育休取得率〇%」といった具体的な数字を載せることで、候補者に実態を届けることができます。
採用支援をしていると感じるのは、制度の有無より「具体的に伝えているかどうか」が応募数や内定承諾率に影響するということです。働きやすさを言語化して発信する採用広報への投資が、競合他社との差を生んでいます。


働き方改革関連法は、改正内容が多岐にわたるため、「そもそもどんな法律なのか」「違反するとどうなるのか」を改めて確認したい担当者も多いでしょう。
ここでは、企業から特によくある質問について、実務視点でわかりやすく解説します。
働き方改革関連法とは、長時間労働の是正や多様な働き方の実現を目的として、2019年から段階的に施行されている法改正の総称です。
主な内容として、残業時間の上限規制、有給休暇の取得義務化、同一労働同一賃金などがあります。少子高齢化による人手不足が進むなか、従業員一人ひとりが働きやすい環境を整え、労働生産性の向上につなげることが目的です。
現在は法令対応ではなく、採用力や定着率向上につながる取り組みとしても注目されています。
はい、あります。働き方改革関連法では、残業時間の上限規制や有給休暇取得義務などに違反した場合、企業に罰則が科される可能性があります。
主な罰則は以下のとおりです。
残業時間の上限規制違反:6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
有給休暇取得義務違反:従業員1人につき最大30万円の罰金
同一労働同一賃金への不適切対応:直接的な罰則規定はありませんが、行政指導や是正勧告の対象になる可能性があります
ただし、いきなり罰則が適用されるわけではありません。まず労働基準監督署から是正勧告が出て、それでも改善されない場合に送検・罰則という流れが一般的です。
「中小企業だから対象外」という認識は禁物です。監督署の調査に規模の大小は関係なく、従業員からの申告をきっかけに調査が入るケースもあります。まず自社の運用が法律にあっているかを確認することが大切です。
働き方改革は、法律を守るためだけに対応するものではありません。残業規制・有給取得義務・育児介護休業法の改正といった制度の整備は、求職者に「ここで働きたい」と感じてもらうための土台になります。制度を言語化して採用サイトや求人票でしっかり伝えることが、採用競争力に直結します。
トラックレコードは、採用戦略の設計から採用ブランディング・スカウト送信の実行代行まで一気通貫で支援する採用サービスです。
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