2023年1月18日

採用ノウハウ

転職潜在層の候補者と継続的な接点をつくる「候補者ナーチャリング」に取り組む企業7選

激化する採用市場では、採用候補者が多少興味を持っていてもその気持ちはなかなか顕在化せず、また、候補者が興味をもつタイミングも推し量りづらいというのが現状です。

この課題を解決するために、候補者に対して継続的な接点を持ち自社への関心度合いを高めることで、中長期的にカジュアル面談や応募につなげようとする企業が増えてきました。

自社の採用に向けたタレントプールを企業自らデータベースとして持ち、採用意向を高めながら、転職意欲が高まったタイミングで候補者にすぐさまリーチできるような施策を「候補者ナーチャリング」と呼称し、特にエンジニア採用の応募過程で取り入れている企業をご紹介します。

そもそも「候補者ナーチャリング」とは?

候補者ナーチャリングの目的は2つあります。

1つは、採用候補者と接点を持ち続けて転職先の候補圏内に入っておき、転職を本格的に検討するタイミングで最短でリーチできるようにすること。もう1つは、企業側に候補者の希望ポジションがない場合、そのポジションができた最短のタイミングで情報を候補者に届けることができるようにしておくことです。

SNSの普及やデジタル化に伴い、人々が日常で受け取る情報量は格段に増え、人生や仕事に対する価値観も変わってきています。

転職活動においては、「転職したいから企業情報を調べる」ではなく「SNSやメディアで見かけたあの面白そうな企業がいいかも」と思い出した企業にアタックする人も出てきているようです。

そんな現代で企業が転職先の候補の1つに入るために必要なのは、候補者が知りたい情報を継続的に発信して接触回数を増やし、転職を検討した際の第一想起を取ること。加えて、候補の1つとして考えてくれている候補者をプールし、いつでも連絡が取れる仕組みを整えることです。

具体的な施策内容は、メールでの社内や採用に関する情報発信やイベント誘導、カジュアル面談など。中には、リファラル採用の懸念点を払拭した独自の取り組みを行う企業や、SNSを使う外資系企業も存在します。

このような施策を通して候補者と継続的な接点を持ち、信頼関係を築いてファン化を促せると、事業成長に不可欠な「MVVに共感する・熱量高く共に働ける仲間」を得られる可能性も高まります。


「候補者ナーチャリング」導入事例

#1 CADDiTIMES(キャディ株式会社)

毎年約60カ国で7,000社、500万人を超える従業員が参加する『EY Innovative Startup 2020』にて、「働きがいのある会社」として従業員25〜99人部門・ベストカンパニーに初選出されたキャディ株式会社。現在の社員数は約300人です。


採用サイト内の「採用にかける想い」というページには、「皆さまの人生においても、キャリアの選択は最も重要な決断の1つになるはずです。だからこそ、キャディが本当に選択として最適なのかを、誠実に考えていきたい」と書かれています。

その言葉の通り、採用候補者が「キャディを選ぶことが自分にとって最適な選択か」を判断できる材料を多く公開している印象です。社員がどのような経緯でキャディを選び、仲間とどんな未来を目指し、今どのような働き方をしているのか。それらを、最適な媒体を通じて発信しています。

採用に熱い想いをかけるキャディの候補者ナーチャリング施策を、いくつかピックアップします。

メールにて、採用情報の他に社員のnoteやインタビュー記事も配信

CADDiの採用サイトに訪れると、このようなページが表示されます。

トップメニューバーの「CADDiTIMES」をクリックすると、キャディからのニュースレターを受け取れるページに遷移します。

CADDi TIMESを受け取る」ボタンをクリックすると、購読登録ができるGoogleフォームページへ遷移します。こちらのフォームにて、メールアドレスやお名前、所属、キャディに対する興味の度合いを回答します。


CADDiTIMESに登録すると、事業の最新ニュースや採用情報の他に、インタビュー記事や社員note、独自のオウンドメディアに関するメールが届くようです。

発信しているメディアは複数にわたります。たとえば、Wantedlyでは社員インタビューを、noteでは転職体験記や職種別のリアルな働き方がわかる「CADDiの1日」、キャディが描くビジョンをテーマにした「CADDi Next Stage」などを配信しています。また独自のオウンドメディア「CADDi ENGINEER Tech Blog」では、開発だけでなく社内勉強会やイベントに関する記事も多めです。

登録するだけでそれらの情報がまとまって届くため、候補者は定期的な更新のなかでも興味があるトピックスを見逃すことなく、結果的に効果的なナーチャリングに繋がっているのではないでしょうか。

多様なジャンルの採用イベントを開催

事業内容や組織カルチャーなどの情報を伝えるために、カジュアルに参加できるウェビナーを開催。採用イベントページには、採用サイトの他にnoteからアクセスができます。

イベントの内容は、CEOが登壇するものから会社説明会、他企業との共催、エンジニア向け、新卒向け、ミートアップと多岐に渡ります。それだけでなく、「キャディが新規事業を立ち上げるまで」や「カスタマーサクセス」など、組織の裏側を知れるイベントも。

候補者の転職意欲を上げるために社員の声を直接聞けるイベントを定期的に用意する点も、候補者ナーチャリングの特徴と言えそうです。

Spotifyでラジオを展開し、市場動向などについて情報発信

同社は音楽配信サービスのSpotifyにて、社内外のゲストと共に製造業DXや関連技術について話す「CADDi Tech Radio」も展開しています。

ゲストらの「どのような経緯で今の道を選び、これからどこを目指していくのか」についても言及しており、候補者が自分の未来について考えるきっかけ作りもできています。

デジタル化に伴い、タイムパフォーマンスを意識して過ごす人々が多い現代で、移動や隙間時間に空きがちな「耳」を使えるこの施策。Z世代や効率を強く意識するエンジニアに刺さりそうです。スケジュール調整で参加が難しいイベントに加えて、アーカイブでも視聴ができるラジオを取り入れることは、候補者が転職時に企業を想起する点で効果的かもしれません。

マッチするポジションができた時点でメールが届く

以前、TECH HIREのメンバーがキャディ担当者と面談をして「海外接点がない」という理由で見送ったあと、海外支社の立ち上げ時にCADDiから直接メールをいただいたそうです。

事業フェーズにより企業側にマッチするポジションがない場合、そのポジションができた時点で候補者にリーチできるようにしておくことが、候補者ナーチャリングの目的の1つ。キャディはその最たる例と言えるでしょう。

Reference

・CADDi ニュースレター登録ページ (https://corp.caddi.jp/recruit/caddi-times/)

・採用サイト (https://corp.caddi.jp/recruit/)

・【CADDi TIMES 2020 vol.2】「働きがいのある会社」ランキングに初エントリー&初受賞!“EY Innovative Startup 2020” 選出も
(https://caddiinc.com/n/n646b71e57a60)

・キャディ-CADDi- note (https://caddiinc.com/)

・キャディ株式会社 Wantedly (https://www.wantedly.com/companies/caddi)

・CADDi Tech Radio
(https://open.spotify.com/show/02ys8WFbHcYy12aSTDywG0)


#2 Ubie

「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、医療と患者の距離を縮める取り組みや、過酷な医療現場の働き方改革を推し進めてきたUbie。

採用サイトのトップページには、「だれかの発明に、未来を委ねるな。」から始まる候補者へのメッセージが掲載されています。


「このメッセージに、少しドキっとしながらも心が震えたあなた。そんなあなたを、私たちは最高の環境で歓迎します。」と問いかけるという、候補者が自分ごと化しやすい工夫もされていました。

そんなUbieの候補者ナーチャリング施策を、2つピックアップします。


最新情報を受け取れる「Ubie Mail News」を実施

採用サイトをスクロールすると、「Ubie Discoveryの募集職種」が掲載されています。その上には、最新情報を受け取れる「Ubie Mail News」の購読登録ボタンが設置されています。

職種別の最新情報を受け取る」ボタンを押すと、Ubie Mail Newsの購読登録フォームへ遷移。

記載があるように、プレスリリースや事業の最新情報、メンバーやカルチャーについての情報・新しい募集、経歴にふさわしいポジションの案内が月に1〜2回ほど届くようです。


また、候補者が気軽にアクションできるよう、登録フォームの冒頭には「直近でのご転職を検討されていない方も、登録と同時に選考への応募とみなすものではございませんので、お気軽にご登録ください」と記載されています。


最短15分からのカジュアル個別面談のほか、会社説明会を毎月実施

採用サイトをスクロールすると、オンラインで直接話を聞ける「会社説明会」「個別面談」のコンテンツが表示されます。

「オンライン説明会に参加する(60分)」のボタンを押すと、説明会の申し込みページへ遷移します。説明会は少人数制で、対象は事業開発(BizDev)とプロダクト開発(PO、エンジニア、デザイナー、医師等)。「18:55に開場し、19:00に会社説明を開始。終了後に質疑応答を行い、19:50に終了予定」とタイムラインの記載もあり、候補者側の時間調整の手間が必要ありません。

「個別に話を聞く(15分-)」のボタンを押すと、カジュアル面談の申し込みページに遷移します。興味の度合いが低くても気軽に応募できるように、「Ubieに興味をお持ちの方ならどなたでもご登録いただけます」「ご経歴が求人にマッチしているかや、転職意向などは問いません」と記載しています。

Reference

・採用サイト:https://recruit.ubie.life/

・コーポレートサイト:https://ubie.life/

・参考:https://speakerdeck.com/ubie/ubie-discovery-cai-yong-zi-liao-202211

#3 Gaudiy

「ファンと共に、時代を進める」をミッションに掲げ、ブロックチェーン技術を活用したファンプラットフォームを開発するGaudiy。社員数は約30人の企業です。

採用情報ページに記載されている情報から、「ミッションを達成するために、自社のファンとなるメンバーを採用したい」という強い想いが伝わってきます。

たとえば、事業・プロダクト概要や価値観、人事制度だけでなく、採用のFit/Unfitやメンバーが自社で働く理由について紹介するカルチャーデックを掲載。「誰の何を解決しているのか」「自分たちの事業が社会へどう貢献しているのか」も具体的に記載されています。

別のページやサイトに遷移することなく、候補者が求める情報はすべて採用情報ページ内で知れるため、「ついつい読み進めてしまい、興味を持ってしまった」という体験を作れていそうです。

そんなGaudiyの候補者ナーチャリング施策を2つピックアップしました。

「スカウトを待つ」ボタンを押した人に、人事からスカウトメールが届く

採用情報ページ右上の「スカウトを待つ」というボタンを押してGoogleフォームを記入・送信するとポジションが開き、その求人に要件がマッチしていた際に人事担当からスカウトのメールが届きます。

フォームの冒頭には「今すぐに転職は考えていなくても、今後のキャリアを考える際に選択肢の一つとしてGaudiyも検討したいという方、副業などで関わりたいという方は、是非お気軽にご登録ください」という文面が。

副業の選択肢も書かれているところがユニークで、候補者の心理的障壁を取り除いています「スカウトを、待つ」という言葉のチョイスも同社ならではですね。

CEOといきなりカジュアル面談を実施

Meetyを使っていきなりCEOとカジュアル面談ができる機会を設けている点は、スタートアップならでは。

「Web3.0の未来とGaudiyの今後の事業展開について知りたい人🙋‍」と面談のタイトルをつけ、過去の職歴だけでなく趣味などのパーソナルな項目も記載されている点から、候補者はCEOだからといって身構えることなく気軽に応募できそうです。

こちらのGaudiy一覧ページから、フルスタックエンジニア、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアなどとの面談に応募することもできます。

Reference

・採用情報ページ (https://recruit.gaudiy.com/)

・参考 (https://meety.net/matches/kZIeaztThqcH)


まだまだあります「候補者ナーチャリング」導入企業

ラクスル株式会社

「全社員で採用活動に取り組みたいが、人事メンバー以外の協力を求めることに課題を感じている」という採用担当者は多いのではないでしょうか?

そんな方へ、全社採用の文化浸透・継続のために「モメンタムの創出」を大事にしているラクスル株式会社をご紹介します。

ラクスルではメールではなく、リアルな声を聞ける・将来共に働くかもしれないメンバーの温度感を知れる”イベント”に誘導しています。


株式会社マネーフォワード

マネーフォワードで特徴的なのは、リファラル採用関連の取り組み。

リファラル採用は企業側・経営側のメリットについて語られることが多く、社員・候補者の負担は無視されがち。後者にも課題を感じたマネーフォワードは、より負担なく自分のタイミングで応募へのアクションを取れる「GOENカード」という独自の取り組みを2019年6月に開始。紹介が回り続ける仕組みとして話題になりました。

カードにはエントリー用のQRコードが記載されており、候補者は転職への意欲が高まったタイミングでいつでもエントリーができます。この形であれば、社員側にも相手を誘う時期や状況を探る負担がかかりません。

そのほか、既卒者かつ「自社のミッション・ビジョンに強く共感し、実現のために力を注げる方」を対象に、カジュアル面談を実施しています。現在募集しているポジション以外で専門知識やスキル、経験を活かせる人は、職種の提案をしても良いそうです。

デル・テクノロジーズ

メールやイベントではなくFacebookアカウントにて簡単に登録できるタレントネットワークを導入。Messengerで採用担当者と繋がり採用情報を受け取れる他、応募に至らなければ自分が紹介者として友人に紹介することもできます。

SNSに誘導することで定期的に連絡ができ、採用候補者の友人とも繋がれる、タレントプール・リファラル・ソーシャルリクルーティングの3つを兼ね備えた仕組みです。


ゼネラルモーターズ

自社のキャリアサイト内にタレントプールの登録ページを設置。「求人への応募はもちろん、タレントコミュニティへの参加を歓迎します!」と、気軽な登録を促す文面が綴られています。

まとめ

候補者ナーチャリング施策を導入している企業は、事業や採用情報だけでなく、将来共に働くかもしれないメンバーの転職体験記や描くビジョン、リアルな働き方なども積極的に発信するなどして、候補者の転職先圏内に入りやすい工夫をしています。

しかし、候補者ナーチャリング施策はとにかく導入すれば良いというわけではありません。候補者が求めている情報を洗い出し、MVVと照らし合わせながら、自社に適切な施策を選定しなければなりません。

また、候補者が入社後も熱量高く事業成長へ貢献し続けるには、応募前の候補者ナーチャリングだけでは不足があります。並行して、既存・新入社員が周囲に勧めたくなるような組織作りも必要になるでしょう。

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