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「求人媒体に出しても応募が集まらない」「エージェント経由の採用コストが年々重くなっている」——中途採用の現場で、こうした行き詰まりを感じている採用担当者の方は多いのではないでしょうか。
実は、求人媒体や転職エージェントだけでは出会えない転職潜在層に届く手段として、いまSNS採用が注目を集めています。
この記事では、SNS採用の基本からメリット・デメリット、国内トップ企業の活用実態調査データ、参考にしたい大手企業のアカウント、成功企業の共通点と始め方までを体系的にご紹介していきます。


「SNS採用」という言葉は聞くものの、具体的に何を指すのか、求人媒体と何が違うのかが曖昧なまま検討を進めてしまうケースも少なくありません。まずは全体像を押さえておくと、このあとの調査データや事例がぐっと理解しやすくなります。
ここでは、SNS採用の基本と種類、注目される背景を解説します。
SNS採用とは、XやInstagram、YouTubeなどのSNSを活用して、自社の認知拡大や候補者との接点づくりを行う採用手法のことです。「ソーシャルリクルーティング」とも呼ばれます。
求人媒体が「いま転職したい人」に募集情報を届ける手段だとすると、SNS採用は社員の働く姿やカルチャーを日常的に発信し、「いつか転職するかもしれない人」にも自社を知ってもらえるのが大きな違いです。
採用活動で活用される主なSNSには、次のような種類があります。
SNS/媒体 | 特徴 | 採用での活用ポイント |
|---|---|---|
ビジネス特化型 | ・ 即戦力人材、専門職、外資・グローバル人材、ミドル層へのアプローチに向いている | |
視覚的に魅力を伝えやすい | ・ 職場の雰囲気や社員のリアルを伝えやすい | |
YouTube | 情報量の多い動画発信に強い | ・ 職種紹介、社員密着、座談会、会社説明などに適している |
X(旧Twitter) | 速報性・リアルタイム性が高い | ・ 求人情報やイベント情報の告知に向いている |
TikTok | ショート動画の拡散力が高い | ・ 若手中途、第二新卒、Z世代に近い層への認知拡大に向いている |
実名制で信頼性が高い | ・ 母集団形成の主軸というより、既存接点との関係維持に向いている | |
LINE | 個別連絡・接点維持に強い | ・ イベント案内や選考情報の配信に向いている |
候補者側の行動変化も見逃せません。マイナビの「中途採用・転職活動の定点調査」(2026年)によると、転職活動中の正社員の69.8%がSNSや動画プラットフォームで情報収集していると回答しています。
< 転職活動時のSNSや動画プラットフォーム活用状況 >

出典:マイナビ「中途採用・転職活動の定点調査」
さらに、企業がSNS・動画で採用情報を発信することを「必要だと思う」人は74.8%にのぼり、とくに若年層ほどこの傾向が強く出ています。
応募前にSNSで企業や社員の発信をチェックする動きは広がりつつあり、発信がない企業は候補者の比較検討の選択肢に入りにくくなることも考えられます。こうした候補者の行動変化を受けて、企業が自ら情報を発信するSNS採用への注目が高まっているのです。

「効果がありそうなのは分かるけれど、炎上や工数が心配」など、SNS採用の検討段階では、期待と不安が入り混じるものです。良い面だけを見て始めてしまうと、運用が続かず途中で止まってしまうことにもなりかねません。
ここでは、SNS採用のメリットとデメリットを整理して解説します。
SNS採用には、主に次の4つのメリットがあります。
1. 転職潜在層との接点をつくれる
求人媒体には現れない「転職を意識し始めたばかりの層」に、日々の発信を通じて自社を知ってもらえます。接点を持ち続けることで、候補者がいざ転職を考えたときに思い出してもらえる存在になれます。
2. 採用コストを抑えられる
SNSアカウントの開設・運用は基本的に無料です。求人媒体の掲載料や人材紹介の成功報酬と異なり、発信したコンテンツは消えずに資産として蓄積されていくため、長期的には採用単価の引き下げが期待できます。
3. ミスマッチを防ぎやすい
社員の日常や職場のリアルな様子を事前に伝えられるため、候補者が入社後のイメージを持ちやすくなります。「思っていた会社と違った」という入社後のギャップを減らし、早期離職の防止にもつながります。
4. 採用ブランディングと認知度の向上につながる
継続的な発信は、企業の認知度向上と採用ブランディングに直結します。応募前の心理的ハードルが下がることで、カジュアル面談のようなライトな接点から選考につながるケースも増えていきます。
一方で、SNS採用には注意すべきデメリットもあります。
1. 成果が出るまでに時間がかかる
フォロワーや認知は一朝一夕には積み上がりません。即効性を求める施策ではなく、半年から1年単位で育てる「採用資産づくり」と捉える必要があります。
2. 運用のマンパワーが必要
企画・撮影・投稿・コメント対応など、継続的な運用には相応の工数がかかります。他業務と兼任の担当者が一人で抱え込み、更新が止まってしまうケースも少なくありません。
3. 炎上リスクがある
不適切な投稿や誤解を招く表現は、企業イメージを大きく損なう恐れがあります。投稿前のチェック体制や、NG表現を定めた運用ガイドラインの整備が欠かせません。
4. 効果測定が難しい
SNS経由の応募は経路が見えにくく、成果を数値で説明しづらい面があります。フォロワー数だけでなく、採用サイトへの遷移数など中間指標をあらかじめ設計しておくことが大切です。

自社のSNS活用を検討するうえで気になるのが、「他社、とくに大手企業はどこまでやっているのか」ではないでしょうか。トラックレコードでは、TOPIX100銘柄のうち99社を対象に中途採用におけるメディアの活用実態を調査しました。
ここでは、「中途採用メディア活用実態調査 2026年」から見えてきた、大手企業のSNS活用の動向をご紹介します。
JPXプライム150指数の構成企業を対象にした「新卒採用メディア活用実態調査」では、2024年から2026年にかけて、すべてのメディアで採用活用する企業数が増加していました。
なかでも伸びが大きいのがYouTubeです。活用企業はこの2年で約3.3倍に増えました。
InstagramやXも2倍以上に増えており、ショート動画を投稿できるプラットフォームの伸びが目立ちます。
採用におけるメディア活用は「試行」から「本格活用」のフェーズに移行しつつあり、この流れは新卒採用にとどまらず中途採用にも広がっています。
では、中途採用ではどうでしょうか。

TOPIX100構成銘柄(99社)を対象にした「中途採用メディア活用実態調査2026年」によると、TOPIX99社のうち採用文脈で最も多く活用されていたのはLinkedInで92社、次いでアルムナイ採用が41社、Instagramが39社という結果でした。
LinkedInは、新卒採用ではほとんど活用が見られなかった一方で、中途採用では9割超の企業が企業ページを保有していました。ただし、92社が保有していても国内向けに運用しているのは15社のみと、保有と活用のあいだには大きなギャップがあります。
重要なのは、アカウントの有無ではなく、誰に向けて、どの言語で、どの頻度で、どのような採用情報を届けているかです。特に中途採用では、即戦力人材や専門職、ミドル層に向けて、事業の魅力や社員のリアルを継続的に発信できているかが成果を左右します。


データで全体像をつかんだら、次は具体的な成功事例探しです。実際に運用している企業のアカウントを見ると、自社で発信するイメージが一気に具体的になります。
ここでは、調査のなかで見えてきた、参考にしたい大手企業の採用SNSアカウントを媒体別にご紹介します。
即戦力・専門職向けのチャネルとしてLinkedInを検討するなら、まずチェックしておきたい2社です。
アカウント: https://jp.linkedin.com/company/lycorpjp
採用note、Tech Blog、採用サイトなど複数メディアと連携している
IT・プロダクト人材に向けて、働く環境や事業の変化を継続的に伝えている
アカウント: https://jp.linkedin.com/company/aeon_2
小売だけでなく、金融、物流、DX、ディベロッパーなど事業の広がりを発信している
エンジニア・プロダクト人材向けの職種特化サイトも設け、デジタル人材採用の発信に積極的
Xは拡散力に加えて、採用担当者の人柄が伝わるカジュアルな発信ができるのも魅力です。
その代表例がキリンとソニーです。
アカウント: @Kirin_Recruit
採用専用アカウントとして、採用情報や働く社員・取り組みを継続的に発信
採用サイトや社員コンテンツへの導線づくりに向いている
アカウント: @RecruitingSony
採用専用アカウントとして、採用情報の入口が分かりやすい
「エンタメ×テクノロジー」という採用メッセージを、タイムリーに届けやすい
Instagramは視覚的な訴求力に加えて、社員の表情や職場の雰囲気を伝えやすく、企業カルチャーを直感的に届けられるのも魅力です。なかでも参考になるのが商社2社です。
アカウント: @marubenicorporation_recruit
Q&Aや社員インタビューを見やすく整理し、候補者の疑問に答えている
商社の仕事やキャリアを、写真・デザインで直感的にわかりやすい
アカウント: @toyotsu_recruit
事業部紹介や社内イベントの発信により、会社の雰囲気が伝わる
総合商社の幅広い仕事を、身近なコンテンツとして見せている
現場のリアルを伝える動画として伝わりやすいのはYoutubeです。テキストでは伝わりにくい仕事内容や職場の空気感を届けたい企業におすすめです。
アカウント: 商船三井公式チャンネル / MOL Channel
「航海士24時間密着」など、普段は見えにくい現場の仕事を見せる動画を公開
船内での暮らしまで映し、仕事の臨場感がそのまま伝わる構成
アカウント: 【公式】日本郵船チャンネル
航海士の仕事内容を分かりやすく解説している
海上職から陸上職まで、仕事理解を深められるコンテンツが豊富
調査対象の大手企業でTikTokを採用活用していたのはまだ少数派ですが、裏を返せば、ショート動画で若手層にアプローチしたい企業にとっては、大手の参入が少ないいまが差別化のチャンスともいえます。
アカウント: @daikin_jp
技術・メーカー企業の堅い印象を、ショート動画で親しみやすく変えている
説明しすぎず、まず興味を持ってもらう入口として活用しやすい
アカウント: @ana_allnipponairways
航空業界ならではの現場感やチーム感を短い動画で伝えやすい
採用サイトやイベント参加前の認知形成に活用しやすい


採用活動において、同じSNSを使っていても、成果につなげている企業と、アカウントを持っているだけの企業に分かれるのが実態です。調査で各社の発信を見ていくと、SNS活用がうまい企業にはいくつかの共通点が浮かび上がってきました。
ここでは、SNSの活用がうまい企業に共通する4つのポイントを解説します。
1つ目の共通点は、社員を主役にしたコンテンツです。
社員インタビューや1日密着、若手社員の座談会など、「どんな人がどんな想いで働いているか」が伝わる発信は、候補者の企業理解を深め、ミスマッチの防止にもつながります。「人」にフォーカスすることが共感を生むポイントです。
2つ目は動画を活用できていること。InstagramのリールやYouTubeショートなどの縦型ショート動画は、潜在層の目に留まりやすく、職場の空気感をそのまま伝えてくれます。
凝った編集よりも、リアルさと継続しやすさを重視するのが成功企業のスタイルです。
SNS活用がうまい企業は、SNSを単体で完結させず、採用サイトとの導線設計をセットで行っています。
採用ページにSNSアカウントへのリンクを置き、SNSの発信から採用サイトの募集職種へ誘導するという設計があることで、興味を持った候補者を応募まで迎えにいけます。SNSはあくまで入口であり、受け皿となる採用サイトとの連携が成功のカギです。
「中途採用メディア活用実態調査 2026年」では、アカウントを開設したものの1年以上投稿のない「休眠アカウント」も少なくありませんでした。更新が止まったアカウントは、かえって企業の印象を下げてしまうリスクすらあります。
SNSの活用がうまい企業は無理のない頻度と体制を決め、月1本でも発信を継続しています。SNS採用は続ける仕組みづくりが何より重要です。

事例を見て「自社でもやってみたい」と思っても、いきなり複数のSNSに手を広げるのは失敗のもとです。大切なのは、自社の採用課題から逆算して、順番に整えていくことです。
ここでは、SNS採用を始める際の4つのステップをご紹介します。
最初に行うべきは、採用したい人物像の言語化です。職種・年齢層・経験・価値観まで具体化することで、「どのSNSに、どんな情報があれば候補者に響くか」が見えてきます。
即戦力のミドル層と第二新卒層では、利用するSNSも知りたい情報もまったく異なります。ターゲットが曖昧なまま始めると、発信内容も媒体選びもぶれてしまいます。
ターゲットが固まったら、媒体を1つに絞って始めるのがおすすめです。
専門職・グローバル人材ならLinkedIn、エンジニア採用ならXやテックブログというように、ターゲットと業種特性から逆算して選びます。
複数媒体の同時スタートは運用が分散して続かなくなりがちなので、まずは1つで運用の型をつくりましょう。
発信の軸は「候補者が応募前に知りたいこと」です。社員インタビュー、仕事内容の紹介、職場の日常、福利厚生やイベントの様子など、テーマをあらかじめ決めておくと継続しやすくなります。
あわせて、投稿前の確認フローやNG表現を定めた運用ガイドラインを整備しておくと、炎上リスクを抑えながら安心して運用できます。
運用開始後は、月1回程度の振り返りで改善を重ねていきます。このとき、フォロワー数だけを主指標にしないことがポイントです。
投稿の継続率、採用サイトへの遷移数、カジュアル面談や応募への転換数など、採用成果につながる中間指標をあわせて見ることで、施策の手応えを正しく判断できます。
とはいえ、とはいえ、自社がいまどの段階にあり、次に何をすべきかを判断するのは簡単ではありません。
「中途採用メディア活用実態調査 2026年」では、30秒でできる採用メディア活用レベル診断を収録しています。自社の現在地を確認したい方は、ぜひご活用ください。


SNS採用を社内で提案するとなると、「どの媒体から始める?」「いつ成果が出る?」といった質問に答えられる準備も必要です。よくある疑問を先に解消しておけば、社内の検討もスムーズに進みます。
ここでは、採用担当者の方からよくいただく3つの質問にお答えします。
採用ターゲットによって最適な媒体は異なります。
即戦力・専門職・グローバル人材ならLinkedIn
若手中途や職場の雰囲気を伝えたい場合はInstagram
エンジニア採用ならXやテックブログ
が定番です。迷う場合は、自社と同じ業種の大手企業がどの媒体に発信を集約しているかを参考に、まず1媒体から始めるとよいでしょう。
SNS採用は即効性のある施策ではありません。最初の3ヶ月は運用の型をつくる期間と割り切り、半年から1年かけてコンテンツを資産として積み上げていくのが現実的な目安です。
短期の応募数よりも、発信の継続率や採用サイトへの遷移数を見ながら、長期目線で育てていくことをおすすめします。
可能です。企画設計や取材・ライティング、運用代行までを支援するサービスは増えており、RPO(採用代行)の一環としてSNS運用を任せるケースもあります。
社内のマンパワーだけで内製しようとすると、リソース不足で頓挫してしまうことも少なくありません。社内は素材提供と承認に絞り、採用支援(RPO)や外部パートナーに運用を任せるのも有効な選択肢です。
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本記事では、SNS採用の基本からメリット・デメリット、大手企業の活用実態、成功企業の共通点までを解説しました。SNS採用は応募を直接増やすだけの手段ではなく、転職潜在層との接点をつくり、応募前の心理的ハードルを下げてくれる「採用資産」です。
まずは採用ターゲットを明確にし、1つの媒体から発信を始めてみてください。
トラックレコードでは、採用戦略の設計からブランディング、RPOまで一気通貫で支援しています。
自社だけでは運用設計や継続発信に不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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