2020年2月18日

インタビュー

エンジニアとして転職したはすが……キャリアの“不意打ち”を乗りこなすCAMPFIRE 新規事業PdMの成長戦略

2019年3月から、株式会社CAMPFIREでプロダクトマネージャーを務める久津 佑介さん。同年9月にリリースされた融資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤーオーナーズ)」を担当しています。

未経験からエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた後、プロジェクトマネージャー(以下、PjM)、プロダクトマネージャー(以下、PdM)へ転向。職種にとらわれず活躍してきた久津さんは、自身の歩みを「予想外の連続」と振り返ります。どのように“予想外”と対峙しキャリアを築いてきたのか、新卒時代に遡って話を伺いました。

プロフィール| 久津 佑介

株式会社CAMPFIRE プロダクトマネージャー/ディレクター。1986年生まれ。2009年に新卒で凸版印刷株式会社に入社。基幹システム開発の上流工程から下流工程を経験(要件定義・Java/C開発・インフラ構築・プライベートクラウド運営)。2014年に株式会社リクルートテクノロジーズに転職。リクナビなどの大規模Webサービスやスマートフォンアプリのプロダクトマネジメント・プロジェクトマネジメント・開発ディレクション・性能チューニングなどを担当。2019年3月、株式会社CAMPFIREへプロダクトマネージャーとして入社。

営業からエンジニアへ、予想外の配属から始まったキャリア

—久津さんはもともとエンジニア志望だったのでしょうか?

いえ、大学では生物学が専門で、ITに関心はありませんでした。かといって生物学の分野でやりたい仕事もなく、「とりあえず営業職でもやってみるか」と大企業をたくさん受け、凸版印刷に入社しました。そしたら、なぜかエンジニアとして配属されてしまった。

—なぜ、未経験の久津さんがエンジニアとして配属されたのでしょう?

当時、エンジニア組織のなかで目的の言語化やコミュニケーションに課題があったそうです。そこで、そこそこ言語化も得意そう、かつ理系出身の僕を入れてみようという判断だったと聞いています。

—希望の職種に就けなかったことに抵抗はなかったですか?

あまり抵抗はなかったですね。絶対に営業がいいと思っていたわけでもなかったので。研修や分厚いマニュアルも用意されていて、必要な技術は問題なく身につけられました。生物学の研究の中でデータ解析や統計に触れてきたので、理解が早かったのかもしれません。研修後すぐに生産管理や受注管理などの基幹システムの開発に携わりました。

技術を磨き、解決できる課題が増えれば、評価も得られて仕事も増える。そこにモチベーションを感じていましたし、それなりに社内でも評価していただけていました。

井の中の蛙ではないか。焦りを原動力に次なる道へ

—順調にステップアップしていった。

最初の数年はそうですね。ただ、4年目にインフラチームへ異動して、いかに見ていた世界が狭かったかを思い知りました。

インフラチームではIBMやオラクルなど他の企業と仕事をする機会が多いんです。そこで出会った、とある同い年のエンジニアが非常に優秀で、自信を失ってしまいました。技術力や思考力、知識すべてが秀でていた。僕も思考力には自信があったのですが、彼とは比べ物にならない。

「同い年でここまで優秀な人がいるのか」と衝撃を受けましたね。井の中の蛙ではいけない。成長できる場所を探さなければと思いました。

—そこで転職を考えたのですか?

見極めた上で転職したかったので、イベントに足を運んだりエージェントに登録したりして、しばらく細々と活動していました。そのなかでリクルートに出会い、「まさに自分が求めていた環境だ」と感じ、入社を決めました。

—どのような点に惹かれたのでしょう?

選ぶための軸は二つ。一つはtoC向けのサービスであること。閉じられた業界内ではなく、広く社会に出ていくサービスに携わりたかったからです。二つ目は、井の中の蛙を圧倒してくれるような優秀な人が集まっていること。リクルートはとくに後者が当てはまっていました。面接で出会う人たちの優秀さや、論理的思考力の高さに惹かれましたね。

板挟みでも最適解を導く。PjMとしてのチャレンジ

—リクルートにはエンジニアとして就職したのですか?

そのつもりでしたが、PjMの部署に配属されていました。部署名は聞いていたのですが、仕事内容をちゃんとわかってなくて。「あ、僕コード書かないのか」と思いましたね(笑)

入社後はPjMとして、学生向けの体験型就活サービス「キャリフル」や就活情報サイト「リクナビ」の開発、ポイントアプリ「Pontaカード」の開発などに携わりました。

—急に職種が変わったことに抵抗はなかったんですか?

ないですね。toCのプロダクトに関わり、優秀な人と働くという目的は達成できていたので、すんなりと受け入れられました。あまり目的に対するHOWを気にしない性格なのだと思います。

それにPjMとして働いてみると、エンジニア経験を活かせている実感が得られました。エンジニア経験のあるPjMだと、リードエンジニアを介して開発側とコミュニケーションを取る場面でスムーズにやり取りができる。開発側の事情も汲み取りやすく、ミスコミュニケーションも防げました。

—それは大きな強みですね。とくに難しさは感じなかったですか?

企画側と開発側の板挟みになったとき、いかに両者の意見を整理して、成果が最大化する方針に落とし込むかは苦労しましたね。

とくにリクナビで「高負荷担当」という、役割を担っていた頃。リクナビは就活解禁日に大量のアクセスが集中します。高負荷担当は、そのアクセスに耐えるためのサーバー構築を検討したり、負荷試験を行ってリスクを洗い出したりする役割です。システム障害は絶対避けなければいけない一方、解禁日に向けて企画側からは新たなアイディアが出てくる。両者の言い分がわかるので、バランスを取るのが大変でした。

—どのように調整したのでしょうか?

表面的な要望だけではなく目的を聞き出しましたね。例えば、解禁日の前に企画チームからレコメンド機能を実装したいと要望がありました。その機能は別のサーバーとの通信が必要なため待ち時間が発生し、サーバーへの負荷が増えてしまう。高負荷担当としてはできれば避けたいわけです。でも企画チームの、「ユーザーのためになる機能を提供したい」という思いも理解できるので、板挟みになりました。

そこで企画側に改めて機能の目的を聞くと、「ユーザーに次のアクションを提示したい」という答えが返ってきました。それならサーバーに負荷のかからない別機能を用意すれば解決できると思いつきました。レコメンド機能はその目的のための唯一の手段ではなかったんです。

そうやって、時間をかけて何度もコミュニケーションを繰り返しました。結果的にシステム障害も起きず、学生のエントリー数も過去最高を記録しました。

自らサービスを成長させた達成感を求めCAMPFIREヘ

—元エンジニア経験を活かして成果を出せていたなか、なぜ再び転職を考えたのですか?

たまたまメルカリやZOZOのPMと話をする機会があり、彼らが「いかにサービスを伸ばしたか」を語る姿にハッとさせられたんです。僕は果たして自らの力でサービスを成長させたと言えるのか、と。

リクナビも、後に携わったPontaも事業としては成長している。でもそれは優秀な人が多く集まる組織だからできたのではないか。組織から離れたら何もできないのではないかという危機感がありました。優秀な組織に依存せずどれだけ成果を出せるか試そうと、転職を検討し始めたんです。

—そこからCAMPFIREへの入社を決めた経緯を教えてください。

自分の力でプロダクトを伸ばす経験を積むため、裁量が大きく新たな挑戦ができる環境を検討していました。そこで最もピンときたのがCAMPFIREだったんです。

とくに新規事業を担当できる環境とチーム体制に魅力を感じました。CAMPFIREは120人の組織なのに、新規プロダクトが数多く存在する。各プロダクトを別々のチームが担当し、意思決定に責任を持っています。これなら裁量を持ってプロダクトのグロースに取り組めそうだと感じました。

—入社してから新規事業にはどのように関わっていますか?

2019年9月にリリースした融資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Owners」のPdMを担当しています。基本的にはプロダクトをグロースさせるための“何でも屋さん”。プロダクトの長期的なKPIの決定や開発ディレクション、メンバーの採用や業務フローの整備など幅広く担当しています。

—組織の規模もカルチャーも大きく変わったと思いますが、入社してみた印象などいかがですか?

ギャップは想像以上でしたね。リクルートはロジカルかつ数字で物事を判断する文化。過去のデータを徹底的に検証して判断を下します。一方ベンチャーであるCAMPFIREは、まずはやってみて、全速力で走りながら修正していく。

—意思決定の方法から全然違うんですね。

そうですね。これまでの成功体験は通用しないです。リクルートでうまくいった手法を試して、チームの雰囲気が悪化したこともありました。

当初チーム内で「会議で意見が出ない」「目的が共有されていない」といった課題があったので、1on1を実施し、意見を出しやすい土台をつくりました。ここまではよかったのですが、議論が多方向に広がりすぎて、肝心のプロダクトづくりが滞ってしまったんです。

リクルートでは既存サービスのPjMであり、すでに目的もビジネスモデルもある程度固まっていました。発散しすぎて滞るようなことは少なかったです。

ただ、今取り組んでいるのは前例のない事業。進むべき方向を模索している状況では、リーダーが多少強引にでも意思決定をしなければいけない場面も多い。答えのないことに関してはロジックがなくてもPdMの独断で決め、それ以外の専門性が求められるようなことはボトムアップで行うようにするなど、試行錯誤を続けているところです。

PdMに必要なのは「固執」を捨てられる潔さ

—今日話を聞いていて、職種にこだわりがなかったり、目的に応じてやり方を変えたり、久津さんの柔軟さを感じました。

僕は「〇〇になるんだ」という強い意思や、強烈な原体験があったわけではないんです。だから柔軟にやってこれたのかもしれないですね。

結果的に、それがPdM、PjMとしての強みになるように感じています。というのも、PdMには、手段を問わずサービスをグロースさせる姿勢が求められるからです。何でも屋さんですから「この仕事以外したくない」とか、手段に強いこだわりがあると難しい。

—エンジニアからPjMやPdMへの転向を考えている人は、こだわりを捨てられるかを振り返る必要はありそうです。

とくに日本のスタートアップで転向する場合は尚更ですね。プロダクトの方針は考えたいけど組織マネジメントはやりたくないなら、選択肢はかなり絞られると思います。Googleのような規模の大きい企業であれば、組織マネジメントとプロダクトの方針策定を担う人は別かもしれませんが、ほとんどの企業はそうではないですから。

—組織マネジメントといえば、久津さんは「心理的安全性を0から80ぐらいに上げた話」というスライドを書かれていますよね。日々組織のメンバーと向き合う上で心がけていることはありますか?

相手を型にはめないことですね。「エンジニアは2タイプに分かれる」とか「この人は〇〇寄りだから」とか雑にラベリングしないよう心がけています。

—一人ひとりと丁寧に向き合うことが大切なんですね。

1on1などを行うときも、その人にとって何が一番楽しいのか辛いのかを聞くよう心がけます。そうした感情が動いた経験のなかにモチベーションを高める種が埋まっている可能性もあるからです。

僕自身を振り返っても、人と比較をして落ち込んだ気持ちがいい意味での焦りに変わり、次のアクションを起こすモチベーションになってきたように思います。今後kiitokのメンタリングでも、そうしたモチベーションを見つける後押しができたら嬉しいですね。

—ありがとうございました!


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