2026年6月24日

採用ノウハウ

【2026年最新】アルムナイ採用とは?成功のカギは『退職時の見送り方』

中途採用の難度が高まるなか、近年注目されているのが「アルムナイ採用」です。

アルムナイ採用とは、一度自社を退職した人材と関係を継続し、再入社や業務委託、リファラル採用などにつなげる採用手法です。人材の獲得競争が激しさを増すなかで、一度退職した元社員をもう一度"戦力"として迎える動きが広がっています。

この記事では、アルムナイ採用のメリット・デメリットから、導入ステップやイグジットマネジメント(退職体験設計)までわかりやすく解説していきます。

アルムナイ採用とは?出戻り・カムバック採用との違い

退職者を再び迎える採用手法には、アルムナイ採用、出戻り採用、カムバック採用、リターン採用、、ジョブ・リターン制度など複数の呼び方があります。

ここでは、アルムナイ採用の基本的な意味と、出戻り採用・カムバック採用との違いを解説します。

アルムナイ採用の意味と語源

アルムナイとは、英語の「alumni」に由来する言葉で、もともとは学校の卒業生や同窓生を意味します。人事・採用領域では、過去に自社で働いていた退職者を指す言葉として使われます。

アルムナイ採用は、単に退職者を再雇用することだけを意味するものではありません。退職後もゆるやかな関係を保ち、本人が再入社を希望したタイミングや、自社に合うポジションが生まれたタイミングで採用につなげる考え方です。

また、アルムナイ制度は採用だけでなく、退職者コミュニティの運営、情報発信、イベント開催、業務委託、リファラル採用などを含む広い概念です。採用活動の一部でありながら、人的資本経営やタレントアクイジションとも関わる取り組みといえます。

出戻り採用・カムバック採用との違い

アルムナイ採用は、出戻り採用やカムバック採用とほぼ同じ意味で使われることもあります。ただし、ニュアンスには少し違いがあります。 また、退職した社員が再び戻ってくることに着目して「リターン採用」と呼ぶこともありますが、これも出戻り採用とほぼ同じ意味合いで使われます。

呼び方

ニュアンス

主な特徴

出戻り採用

本人からの再応募を受け入れる

個別対応・受け身になりやすい

カムバック採用

制度として復帰を歓迎する

退職理由を限定する場合がある

アルムナイ採用

退職者と継続的につながる

制度・ネットワークとして設計する

つまり、出戻り採用やカムバック採用が「再入社」という結果に焦点を当てるのに対し、
アルムナイ採用は「退職者との関係を継続し、将来の採用可能性を広げる仕組み」と捉えると理解しやすいでしょう。

アルムナイ採用が注目される3つの背景

アルムナイ採用が注目されている背景には、人材不足だけでなく、働き方やキャリア観の変化があります。

ここでは、採用現場で特に影響の大きい3つの背景を見ていきます。

労働人口の減少で即戦力人材のニーズが高まっている

1つ目の背景は、働き手そのものが減っていることです。少子高齢化が進むなかで、採用市場では人材の取り合いが続いています。特に専門職、マネジメント層、事業開発、エンジニア、営業の即戦力採用では、母集団形成そのものが難しくなっています。 

その点、元社員は自社の事業や文化をすでに理解しているため、入社後すぐに活躍してもらいやすい人材です。

出典:矢野経済研究所「リファラル採用・アルムナイ採用支援サービス市場に関する調査」

実際に市場の伸びも顕著です。矢野経済研究所(2025年)によると、リファラル採用・アルムナイ採用支援サービスの市場規模は拡大を続け、2028年度には300億円規模に達すると予測されています。

では、実際の採用現場ではどこまで広がっているのでしょうか。
トラックレコードがTOPIX100の企業を対象に、アルムナイ採用への取り組み実態を調査したところ
業界ごとに大きな差が見られました。

大手99社のアルムナイ採用活用状況をみる

人的資本経営と転職の一般化で退職者が「資産」になった

近年は、人材を単なるコストではなく、企業価値を生み出す「資本」として捉える人的資本経営の考え方が広がっています。

加えて、転職が一般的になったことで、退職者を「会社を離れた人」として終わらせるのではなく、社外で経験を積み、将来的にまた関わる可能性のある人材として捉える企業が増えています。

リクルートの調査でも、アルムナイネットワークを活用する企業では、採用や従業員エンゲージメントにおいて前向きな傾向が見られることがわかっています。

 

アルムナイ採用を導入するメリット・デメリット

アルムナイ採用には多くのメリットがある一方で、制度設計を誤ると社内の不公平感や情報管理のリスクを招くこともあります。導入を判断するには、良い面と注意点の両方を知っておくことが大切です。

ここでは、アルムナイ採用の主なメリットと、導入前に押さえておきたいデメリット・注意点を解説します。

アルムナイ採用の4つのメリット

アルムナイ採用には、採用の効率化だけでなく、入社後の定着や組織の活性化につながるメリットがあります。主なメリットは次の4つです。

  1. 採用・育成コストを削減しやすい
    元社員との接点を活かせるため、求人広告や人材紹介に頼りきらずに候補者へアプローチできます。事業や文化を理解しているぶん、入社後の教育負担も抑えられます。

  2. ミスマッチを防ぎ、定着率の向上が期待できる
    本人は会社の良い面も課題も知ったうえで再入社を検討し、企業側も過去の働きぶりを把握しています。お互いを理解しているので、入社後のギャップが起きにくくなります。

  3. 即戦力として活躍し、組織を活性化させる
    業務の進め方や社内の判断プロセスを理解しているため早期に活躍しやすく、社外で得た経験や知見が組織に新しい視点をもたらします。

  4. 企業ブランディングやエンゲージメント向上につながる
    退職者を快く送り出す姿勢は「人を大切にする会社」という評判につながります。在籍する社員にとっても、辞めた後もつながれる環境は安心感になります。

アルムナイ採用のデメリットと注意点

一方で、制度設計や運用を誤ると、既存社員の不満や情報管理上のリスクを招くことがあります。導入前に押さえたい注意点は次の3つです。

  1. 既存社員の不公平感につながることがある
    退職者が好条件で戻ると、在籍し続けた社員が不公平に感じかねません。待遇や役職は「元社員だから」ではなく、現在のスキルや期待役割で決めることが大切です。

  2. 情報漏洩・利益相反のリスクがある
    退職者が競合や取引先に在籍している場合は、機密情報の扱いや利益相反への配慮が必要です。守秘義務や情報管理のルールを事前に決めておきましょう。

  3. 運用に一定の工数がかかる
    コミュニティは作るだけでは機能しません。退職者情報の管理や定期的な情報発信など、続けるための体制が欠かせません。

アルムナイ採用を成功させるカギは「イグジットマネジメント(退職体験設計)」

「退職者にまた戻ってきてほしい」と思っても、辞めるときに気まずい思いをさせていたら、声をかけても応じてもらえません。

アルムナイ採用の成否は、採用活動そのものよりも、社員が辞めるときにどう見送ったか、
つまりイグジットマネジメント(Exit Management):退職時の体験を設計することで決まります。

ここでは、退職体験を設計するうえで重要な3つのポイントを解説します。

円満退社を前提にした送り出しのカルチャーづくり

まず土台になるのが、退職を快く送り出す文化です。退職を「裏切り」と捉える雰囲気が残っていると、辞める社員は後ろめたさを抱えたまま会社を去り、関係はそこで途切れてしまいます。

会社として、「新しい挑戦を応援する」というスタンスを示しながら、今後のキャリア、在籍中に感じた課題、会社への期待を丁寧に聞くことが重要です。最後のコミュニケーションが誠実であれば、退職者は将来また関わる選択肢を残しやすくなります。

退職者をファン・アンバサダーに変えるオフボーディング

オフボーディングとは、社員が退職するまでの引き継ぎ、手続き、面談、送り出しを設計するプロセスです。アルムナイ採用では、このオフボーディングが非常に重要です。

たとえば、退職日に事務的な手続きだけで終わらせるのではなく、感謝を伝える、成果を振り返る、今後のつながり方を案内することが大切です。アルムナイコミュニティへの参加を希望制で案内し、会社のニュースやイベント情報を受け取れる状態にしておくと、関係を継続しやすくなります。

良い形で会社を離れた人は、自社の製品やサービスを外から応援してくれたり、知人に「いい会社だよ」と勧めてくれたりします。いわば社外のアンバサダー(応援者)として、再雇用の候補になるだけでなく、新しい人材を呼び込む入り口にもなってくれます。 

評価・ノウハウを引き継ぐ仕組み

アルムナイ採用では、退職時の情報を適切に残しておくことも重要です。過去の評価、担当業務、強み、改善点、退職理由、再雇用の可能性などが整理されていないと、数年後に再応募があった際に判断が属人的になります。

ただし、個人情報の取り扱いには注意が必要です。退職者本人の同意を得たうえで、保管目的、利用範囲、保管期間を明確にしましょう。

現場視点では、「また一緒に働きたい人か」「どのような環境なら力を発揮できるか」「退職理由は解消可能か」を記録しておくと、再雇用時のミスマッチ防止に役立ちます。

アルムナイ採用導入までの4ステップ

「取り組む価値はわかったけれど、何から手をつければいいのか」と迷う方も少なくありません。これから紹介するアルムナイ採用の手順に沿って導入することで、社内の混乱や不公平感を防ぎながら、無理なく制度を立ち上げられます。

ここでは、アルムナイ採用を導入するための具体的な4つのステップを解説します。

ステップ1|制度要件の整備(待遇・試用期間・評価基準)

最初に整えるべきなのは、再雇用のルールです。対象者、応募条件、選考フロー、待遇決定の基準、試用期間、評価制度を明確にします。

特に待遇は慎重に設計しましょう。退職前の給与をそのまま引き継ぐのか、現在の市場価値や役割に応じて見直すのかを決めておかないと、不公平感が生まれます。

また、再入社後の評価基準も明確にする必要があります。「元社員だから分かっているはず」と期待しすぎると、本人にも現場にも負担がかかります。再入社者も現在の組織に適応する時間が必要です。

ステップ2|社内風土の醸成と目的の共有

制度を作っても、現場が退職者の再入社を歓迎していなければうまくいきません。まずは、アルムナイ採用の目的を社内に共有しましょう。

目的は、単なる採用コスト削減だけでは不十分です。「外部で経験を積んだ人材を迎え、組織に新しい視点を取り入れる」「退職者とも良い関係を築ける会社にする」といったメッセージが重要です。

特に在籍社員に対しては、「即戦力を確保して現場の負担を減らすため」「外の知見を取り入れて組織を強くするため」といった目的を丁寧に伝えることが重要です。 

ステップ3|交流チャネルの形成と支援ツールの選定

退職者とつながり続けるための"接点"をつくります。同窓会のようなイベントや、オンラインのコミュニティ、定期的な近況連絡など、ゆるやかに関係を保てるチャネルを用意します。 

人数が増えてきたら、退職者の情報を管理し連絡を効率化できる専用ツールの導入も検討するとよいでしょう。 代表的な支援ツールには、Official-Alumni.com、MyRefer Alumni、エアリーfor Alumniなどがあります。

ツール選定では、機能の多さだけでなく、自社の運用体制に合うかを確認しましょう。人事担当者が少ない場合は、立ち上げ支援や運用サポートがあるサービスを選ぶと安心です。

ステップ4|選考フローと再オンボーディングの整備

最後に、実際に再雇用するときの流れを整えます。通常の中途採用とは別に、アルムナイ向けの選考フローを用意しておくと、スムーズに迎え入れられます。

また、ブランクがある分、復帰後のフォロー(再オンボーディング)も大切です。離れている間に変わった社内ルールやメンバー、システムなどを改めて共有し、安心して立ち上がれるようサポートします。「知っているはず」と任せきりにせず、丁寧に再導入することが、定着につながります。

リファラル採用とアルムナイ採用を組み合わせるリファアルムという考え方

アルムナイ採用をさらに広げる考え方として、「リファアルム」があります。リファアルムとは、リファラル採用とアルムナイ採用を組み合わせた考え方です。

リファラル採用は、社員が知人や友人を紹介する採用手法です。一方、アルムナイ採用は、退職者との関係を活用する採用手法です。リファアルムでは、現役社員だけでなく退職者も自社の紹介者・アンバサダーとして位置づけます。

ただし、紹介制度を設計する際は、報酬ルール、紹介対象、選考基準、個人情報の取り扱いを明確にしておく必要があります。紹介だからといって選考を甘くするのではなく、通常の採用基準に沿って判断することが重要です。

アルムナイ採用に関するよくある質問

アルムナイ採用を導入する前に、人事担当者からよく挙がる疑問を整理します。導入前に基本的な疑問を解消しておくことで、自社に合う進め方を判断しやすくなります。

ここでは、アルムナイ採用に関するよくある質問に回答します。

アルムナイ採用とリファラル採用の違いは?

対象となる人材が異なります。アルムナイ採用は「一度退職した元社員」を再び迎える手法で、リファラル採用は「社員の知人・友人」を紹介してもらう手法です。

どちらも自社とつながりのある人を起点にする点では共通していますが、アルムナイは過去の在籍者、リファラルは社外の人材が中心になります。両者を組み合わせた「リファアルム」のように、退職者から知人を紹介してもらう形で併用するケースも増えています。

アルムナイ採用で使えるおすすめ支援ツールは?

アルムナイ採用で使える主な支援ツールには、

  • Official-Alumni.com

  • MyRefer Alumni

  • エアリーfor Alumni

などがあります。

Official-Alumni.comは、アルムナイネットワーク構築やコミュニティ運営を支援するサービスです。制度設計や運用支援まで相談したい企業に向いています。

MyRefer Alumniは、退職者をサポーター化し、アルムナイ採用とリファラル採用を組み合わせて進めたい企業に適しています。退職者の活動データを可視化したい場合にも検討しやすいサービスです。

エアリーfor Alumniは、アルムナイネットワークの形成、情報発信、チャット、プロフィール管理などに対応したサービスです。退職者との継続的な接点を仕組み化したい企業に向いています。

ツールを選ぶ際は、機能だけでなく、自社の対象者数、運用担当者の人数、セキュリティ要件、導入後のサポート範囲を確認しましょう。

アルムナイ採用とリターン採用の違いは?

リターン採用は、出戻り採用と同じく、一度退職した社員が再び自社に戻ってくることを指す言い方です。一方アルムナイ採用は、退職者と継続的につながりながら、再入社や知人の紹介などにつなげていく、より幅広い取り組みを指します。

リターン採用が「再び戻ってくる」という結果に注目した呼び方なのに対し、アルムナイ採用は退職後の関係づくりまで含めた仕組みと捉えると整理しやすいでしょう。

アルムナイネットワークはどうやって作る?

退職者とゆるやかにつながり続ける「接点」を用意することから始めます。具体的には、同窓会のようなイベント、オンラインコミュニティ、定期的な近況連絡などが挙げられます。

大切なのは、辞めるときに良い関係で送り出しておくことです。円満に退職してもらえていれば、ネットワークへの参加にも前向きになってもらえます。最初から大きな仕組みを作る必要はなく、まずは連絡先を残し、ゆるくつながり続ける状態をつくることが第一歩です。

まとめ|アルムナイ採用を戦略的に設計し、採用力を高めよう

アルムナイ採用は、一度退職した元社員を即戦力として迎え入れる、これからの採用に欠かせない手法です。

採用・育成コストの削減や定着率の向上といったメリットがある一方で、成否を分けるのは「退職時の見送り方」、つまりイグジットマネジメントにあります。制度の整備と目的の共有を進めながら、退職者とつながり続ける仕組みを設計していくことが、採用力の底上げにつながります。

トラックレコードは、採用ブランディングを通じて「また働きたい」と思われる会社づくりを支援しています。退職を"縁の終わり"ではなく"次のつながり"に変えることから、自社の採用を一歩前へ進めていきましょう。

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