2025年3月4日

採用ノウハウ

母集団形成がうまくいかない原因は?採用手法12選と課題別の改善策

「求人を出しても応募が集まらない」「応募数はあるのに、会いたい人材が少ない」。こうした採用課題を解決する起点となるのが、母集団形成です。

母集団形成は、単に応募者を増やす施策ではありません。採用したい人物像を定め、その候補となる人材と継続的に接点をつくり、選考へ進む可能性のある候補者群を形成する取り組みです。

この記事では、母集団形成の意味やメリット、代表的な採用手法12選、必要な母集団数の計算方法、よくある3つの課題と改善策を解説します。

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母集団形成とは?採用における意味と目的

母集団形成という言葉は知っていても、「応募者を増やすこと」と捉えている企業は少なくありません。

ここでは、採用における母集団形成の定義と、量だけでなく質が重視される背景を整理します。

母集団形成は「採用候補となる人材の集まり」をつくること

採用における母集団形成とは、自社の採用要件に合う候補者の集まりをつくる活動のことです。統計で使う「母集団」は調査対象の全体を指しますが、採用の母集団はもう少し狭く、自社が採用したい人材像に近い候補者の集まりを意味します。

求人に応募してきた人だけでなく、スカウトに返信してくれた人、カジュアル面談に来てくれた人、過去に接点があってタレントプールに残っている人も母集団に含みます。

母集団の「量」と「質」の両方が求められている

採用市場では、候補者の「量」だけでなく「質」を確保する難しさが増しています。

マイナビの「中途採用状況調査2026年版」では、正社員の不足感がある企業のうち、量的な不足を挙げた割合は69.6%、質的な不足は55.6%で、後者は前年比6.7ポイント増加しています。

さらに、総務省統計局によると、2025年3月時点の15〜64歳人口は前年同月比22万4千人減少しています。採用対象となる人口が縮小するなか、待ちの採用だけでなく、企業側から接点をつくる施策や、仕事内容・開発環境・カルチャーを具体的に伝える採用ブランディングがますます必要になっています。

母集団形成に取り組む4つのメリット

母集団形成を仕組み化すると、応募数の確保だけでなく、採用活動全体の課題を数値で捉えやすくなります。

ここでは、採用計画、コスト、定着、候補者プールの4つの観点からメリットを解説します。

①採用計画を数値で管理できる

応募、書類通過、面接、内定、承諾の各段階を数値で捉えると、「応募が足りないのか」「選考通過率が低いのか」「内定承諾で失っているのか」を切り分けられます。採用目標と実績の差を早期に把握でき、追加施策を打つ判断も速くなります。

②採用コストと現場工数を最適化できる

チャネルごとに応募数、採用数、採用単価、選考工数を比較すると、費用対効果の低い媒体への投資を見直せます。応募の質が高まれば、採用担当者だけでなく面接に参加する現場社員の負担も抑えられます。

③カルチャーフィットと定着を高めやすい

候補者が仕事内容や期待役割、組織の価値観を理解したうえで応募すれば、入社後のギャップを減らせます。母集団形成の段階から情報を十分に開示することは、選考通過率や内定承諾率だけでなく、早期離職防止にもつながります。

④継続的な候補者プールを作ることができる

すぐに転職しない潜在層とも、イベント、SNS、オウンドメディア、タレントプールなどを通じて関係を保てます。
募集が始まるたびにゼロから集める状態を脱し、中長期で採用しやすい基盤をつくれる点も大きなメリットです。

母集団形成の採用手法12選と選び方

求人媒体に掲載するだけでは、採用ターゲットへ十分に届かないことがあります。
ここでは、母集団形成に活用できる12の採用手法を、主なコスト、社内工数、向いている人材層で比較します。

手法

主なコスト

社内工数

向いている層

求人メディア

中〜高

幅広い職種・母集団の量の確保

求人検索エンジン

低〜中

幅広い職種・母集団の効率的な確保

人材紹介

成功報酬

専門職・管理職・スピード重視の採用

ダイレクトリクルーティング

エンジニア・ハイクラス・潜在層

リファラル採用

カルチャーフィット重視の採用

アルムナイ採用

低〜中

即戦力・自社の事情を理解する人材

SNS採用

低〜中

若手・潜在層との継続的な接点づくり

採用サイト/オウンドメディア

制作費

中〜高

志望度の高い層・中長期の基盤づくり

合同説明会・転職フェア

出展料

新卒・第二新卒・地域採用

自社セミナー/ミートアップ

低〜中

志望度を高めたい候補者・専門職の潜在層

インターンシップ

低〜中

新卒・専門性を見極めたい採用

正社員転換(副業・業務委託から)

業務委託費

中〜高

相互に見極めてから決めたい採用

中途採用では応募前の接点づくりが重要

だからこそ中途採用では、募集を始めてから探すのではなく、その前から候補者とつながっておけるかが差になります。ただ、これを仕組みにできている企業はまだ限られます。

トラックレコードがTOPIX100社の採用メディアを調査したところ、退職者と再接続するアルムナイ採用の導線を用意していたのは41社、今すぐ応募しない層に向けたタレントプール登録を設けていたのは36社でした。国内を代表する企業でも、応募前の関係づくりを仕組みにできているのは半数に届いていません。

詳しい結果は「中途採用メディア活用実態調査2026年」にまとめています。
12のメディア・施策ごとの活用企業数と業種別の傾向に加えて、30秒で判定できるメディア活用レベル診断も載せているので、次に何から手をつけるかを決める材料としてお使いください。

必要母集団数の計算方法と確認すべきKPI

採用目標だけでなく、各選考段階の通過率から必要な母集団数を逆算します。
計算式は「次の段階で必要な人数÷通過率=前の段階で必要な人数」です。

例えば、内定承諾率50%、最終面接通過率30%、一次面接通過率60%、書類通過率40%と仮定した場合、3名の採用には約84名の母集団が必要です。

実際の通過率は、募集職種やチャネルによって異なります。

応募数が多いのに書類通過率が低い場合は、採用要件とチャネル・訴求がずれている可能性があります。一方、面接後の辞退が多い場合は、選考中の情報提供や候補者体験を見直す必要があります。以下のKPIをチャネル別に確認し、候補者との接点がどこで途切れているかを特定しましょう。

観点

主なKPI

確認すること

母集団の量

応募数、スカウト送信数、イベント接点数

採用目標に対して接点が足りているか

母集団の質

ターゲット該当率、書類通過率

採用要件とチャネル・訴求が合っているか

候補者反応

スカウト返信率、面談設定率

文面の個別性や企業魅力が伝わっているか

選考体験

選考辞退率、内定承諾率、選考期間

連絡速度、面接、情報提供に問題がないか

効率

採用単価、担当工数、チャネル別採用数

投資と成果のバランスが取れているか

母集団形成でよくある3つの課題と改善策

母集団形成が進まない理由は、応募数の不足だけではありません。訴求内容、採用ターゲット、選考移行など、候補者との接点が途切れている場所によって対策は異なります。

ここでは、よくある3つの課題と改善策を、トラックレコードの支援事例とともに紹介します。

課題1.求人やスカウトの反応が得られない

求人やスカウトへの反応が少ない場合は、候補者に伝える情報や訴求の切り口を見直します。事業や仕事の魅力を整理し、求人票やスカウトで具体的に伝えましょう。

< 見直したいポイント >

  • 求人票で事業や仕事内容を具体的に伝える

  • スカウトや採用コンテンツで接点を増やす

  • 候補者の反応をもとに訴求を改善する

< 参考になる当社支援事例 

福利厚生サービスの開発・OEM提供を手がける企業の支援事例を紹介します。

項目

内容

支援前の背景

開発組織の立ち上げに向け、エンジニア・PdMの採用を本格化する段階だった

取り組み

・ 求人票とスカウト文面を見直し、訴求を「OEM」から「地域貢献・社会性」へ変更
・ 媒体データをもとに毎週改善

成果

支援開始約4ヵ月でエンジニア・PdMの採用計画を3ヵ月前倒しで達成

詳細は株式会社Leafea様のインタビュー記事へ。
「依頼先ではなく、仲間」── ゼロから立ち上げた開発組織、エンジニア・PdM採用計画を3ヶ月前倒しで達成

課題2.採用ターゲットを絞りすぎて、母集団が広がらない

経験やスキルを細かく設定しすぎると、条件に合う候補者が限られます。採用要件を緩めるのではなく、入社後に身につけられる条件を分け、活躍の可能性がある人材まで対象を広げましょう。

< 見直したいポイント >

  • 必須条件と歓迎条件を分ける

  • 経験だけでなく、志向性やポテンシャルも見る

  • ターゲットごとにチャネルと訴求を変える

参考になる当社支援事例 >

レシピ動画サービス「クラシル」などを運営する企業の支援事例を紹介します。

項目

内容

支援前の背景

サービス開発経験のある学生を中心に採用しており、より幅広い候補者層との接点づくりが次のテーマだった

取り組み

開発に関心を持つポテンシャル層までターゲットを広げ、ペルソナ設計、インターン、スカウト運用を見直し

成果

ターゲットに合う学生と安定的に接点を持ち、2026年卒エンジニアを中心に目標の10名を採用

詳細はクラシル株式会社(旧:dely株式会社)様のインタビュー記事へ。
同じ景色を見ながら、プロ視点で背中を押す ー delyがトラックレコードと築いた、勝てる新卒採用モデル

課題3.面談から次の選考につながらない

面談が会社説明だけで終わると、候補者は入社後の仕事を具体的にイメージできません。面談数を増やすのではなく、選考へ進むか判断するための情報を届けることが重要です。

< 見直したいポイント >

  • 候補者が重視する情報を事前に整理する

  • 事業や仕事内容を候補者目線で伝える

  • 採用資料と面談で伝える内容をそろえる

参考になる当社支援事例

世界100カ国以上で利用される現場DXサービス「KANNA」を提供する企業の支援事例を紹介します。

項目

内容

支援前の背景

ポテンシャル層からミドル層の採用が進む一方、専門性の高いシニア層に事業や開発環境の魅力を伝え、次の選考につなげることがテーマだった

取り組み

現場へのヒアリングをもとに、世界での利用実績、開発プロセス、AI活用などを採用ピッチ資料に反映

成果

面談数を増やさず来訪者の属性が変化し、選考意思のある候補者の8割が次の選考へ進んだ

詳細は株式会社アルダグラム様のインタビュー記事へ。
「穴の開いたバケツに水を入れていた」状態から脱却。シニア層への魅力訴求を劇的に変えたアルダグラムの採用ピッチ資料刷新プロジェクト

母集団形成は採用活動全体で見直す

3つの課題は、採用ターゲット、訴求内容、候補者との接点、実行体制がつながっていないことで起きている場合があります。媒体の追加や求人票の修正だけでなく、採用活動全体のどこに課題があるのかを見極めることが大切です。

トラックレコードは、採用戦略や採用要件の整理から、採用ブランディング、スカウト運用や候補者対応を担うRPOまで一気通貫で支援しています。施策の設計だけでなく、継続的に実行する人員やノウハウが足りない場合も、現在の課題を整理するところからご相談いただけます。

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母集団形成に関するよくある質問

最後に、母集団形成について採用担当者からよく寄せられる質問をまとめました。

母集団形成はいつから始めるべきですか?

入社希望時期から、募集準備、母集団形成、選考、内定後の引き継ぎ期間を逆算して決めます。採用難易度の高い職種ほど時間がかかるため、事業計画の段階から必要な人材を確認しておきましょう。

母集団形成と採用広報の違いは何ですか?

母集団形成は候補者の集まりをつくる活動全体を指し、採用広報はそのなかで自社の情報を発信する取り組みを指します。採用広報は母集団形成の手段の1つという関係です。

発信する情報がないとスカウトも求人票も条件の話に終始してしまうため、多くの企業が並行して取り組んでいます。

母集団形成の費用対効果はどう測りますか?

チャネルごとに採用費用を採用人数で割り、採用単価を算出します。あわせて書類通過率、採用担当者・面接官の工数、入社後の定着も確認すると、実質的な費用対効果を比較できます。

原因を切り分け、母集団形成を採用の成果につなげよう

母集団形成では、応募者数を増やすだけでなく、採用したい人材との接点を入社までつなげることが重要です。採用要件やペルソナを明確にし、必要人数を歩留まりから逆算したうえで、採用手法・訴求内容・候補者体験を一貫して設計しましょう。

特にエンジニアや管理職などの採用では、自社の魅力が候補者に十分伝わらず、接点をつくれても応募や選考につながらないケースがあります。
ブランディング導入事例集」では、採用ピッチ資料や採用サイト、イベントなどを通じて、各社がこうした課題にどう向き合ったのかを紹介しています。母集団形成や採用広報を見直す際の参考として、ぜひご覧ください。


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